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情報キュレーションアプリ「グノシー」
グノシー上場に不安続出で暗雲 「第2のgumi」懸念 主幹事証券、またあの野村
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150416-00010000-bjournal-bus_all
Business Journal 4月16日(木)6時2分配信
今、株式市場で最大の“嫌われ者銘柄”といえばgumi(3903)だろう。人気のスマホゲーム関連銘柄でもあり、大きな期待を集めて昨年12月18日に東京証券取引所1部へ直接上場。しかし上場初日、早々とついた初値は公開価格と同じ3300円で、それにがっかりした投資家は少なくなかった。
年が明けて3月5日、2015年4月期第3四半期決算の発表前日に突然、通期業績見通しを当初の黒字から一転して赤字へ下方修正し、市場にショックが走った。株価は3月19日には1282円まで下落している。その後は韓国子会社で横領が発覚したり、希望退職者の募集を始めるなど「悪材料のデパート」のような状態で、現在も株価低迷が続いている。
怒ったのは投資家だけでなく、東証を管轄する日本取引所グループの斎藤惇CEOも3月31日、「投資家の信頼を損ないかねない」「上場後3カ月で黒字見通しを赤字に変えるなど経営者としてあり得ない」とgumiを批判。さらに主幹事証券会社に対して「長い間、外交をしてきて(上場予定の企業の実情について)知っているはず。知らなかったら上場できるはずがない」と指摘した。ちなみに同日、日本取引所グループは新規公開企業の取引について上場審査を強化し、業績予想の前提条件や根拠の適切な開示を要請することを発表。これで東証の新規上場の審査が厳しくなっては困ると、上場予備軍のベンチャー企業は戦々恐々だ。
そして今、「下手をしたらgumiの二の舞いにもなりかねない」と市場関係者の間で噂されているのが、4月28日に東証マザーズに新規上場するGunosy(グノシー/6047)である。事業内容は情報キュレーションアプリ「グノシー」が主で、政治や経済、芸能やスポーツなど、ユーザーの興味に応じてパーソナライズした情報を自動的に配信する。13年1月からサービスを開始した。
大量のテレビCMを流し、人気のあるスマホアプリ関連なので株式市場での関心は高いが、Gunosyは28日の上場時に、gumiと同じように投資家を落胆させる可能性がある。その理由は、昨年、今年の新規上場のデータをチェックすれば浮かび上がってくる。
●「吸収金額」より検証
その最大の懸念材料は、上場時の公募で調達する「吸収金額」。「公開株数×公開価格(公募価格)」で計算される。公開価格は4月17日に決まるが、今年のこれまでの新規上場銘柄はすべて、公募の際の想定価格上限で決まっている。Gunosyのそれは1520円なので、公開株数679万6500株×1520円=103.3億円が吸収金額になる公算が大。なお、gumiのそれは450億円という巨額だった。
吸収金額が100億円を超えるのはたいていの場合、公募株数が300万株、500万株を超えるようなケースである。それにより発行済み株式数が一気に増加すると「希薄化」という現象が起こり、株式マーケットで株式の供給が需要を上回って株価は下がりやすくなる。そのため小規模なベンチャー企業は新規上場時に投資家の心証をあまり害したくないので、公開株数を抑え気味にするもの。
吸収金額が100億円を超えるケースは大企業を除けばあまりなく、昨年は12回で、今年はまだ1回だけである。具体的には、リクルートホールディングス(6098)、すかいらーく(3197/再上場)、西武ホールディングス(9024/事実上再上場)、ジャパンディスプレイ(6740)、日立マクセル(6810)など大企業が並ぶ。
その昨年、今年の計13回で、初値>公開価格(白星)は3回、初値=公開価格(引き分け)は3回、初値<公開価格(黒星)は7回だった。昨年は新規上場全体でも引き分けは3回、黒星は15回しかなかったが、引き分けはすべて、黒星も15回中7回の46%が吸収金額100億円以上だった。やはり新規上場時の成績はよくない。
今年これまでの吸収金額100億円以上の上場となった1件、4月8日に新規上場したサンバイオ(4592)は、人気のバイオ関連銘柄ながら初値は公開価格を14.5%も下回り、新規上場では今年2回目の黒星だった。昨年以来、吸収金額100億円以上が「3勝7敗3引き分け」の負け越しなのは、Gunosy関係者や公募に応募した投資家にとって、気になるデータだろう。
ちなみに、昨年と今年、新規上場の初値が黒星を喫するか、または引き分けになった計20件の主幹事証券は、野村證券がトップの7件で全体の35%を占めていた。gumiとGunosyの主幹事証券も野村證券である。
●業績面でも不安要素
もちろん、新規上場時の吸収金額が100億円を超えても、リクルートホールディングス、すかいらーく、西武ホールディングスの現在の株価は上場時の初値を上回っている。初値が黒星だったホームセンターのジョイフル本田(3191)は、その後の株価が初値の2倍を超えたこともある。野村證券を主幹事に昨年12月15日に東証1部へ上場したテクノプロ・ホールディングス(6028)は、吸収金額はgumiを上回る531億円で初値は黒星だったが、現在の株価は初値の1.8倍を超えている。
「小さく産んで大きく育てばいい」という大義名分で、上場時には投資家をがっかりさせても、その後の業績が好調だったり、株主還元策を打ち出せば投資家から見直され、株価は上がっていく。gumiの場合はその正反対だったために、投資家はがっかりを通り越して、怒っているわけである。
だが、今回上場するGunosyの場合は、業績やメイン事業であるスマホ向けニュースアプリの市場環境について、不安視する見方も多い。
Gunosyのサービス開始は13年1月だが、収入源の広告の配信を始めたのはその年の11月なので、13年5月期の売上高は0円。テレビCMを14年3月に開始して広告宣伝費が14億円以上とかさみ、14年5月期の売上高は3億6000万円で最終損益は13億9300万円の赤字だった。しかし東証マザーズは赤字企業でも上場できる。
15年5月期決算の業績見通しは、売上高が前期の約8.4倍の30億400万円で、経常利益が500万円、最終利益が500万円で黒字に転換する見込み。15年5月期の第2四半期決算は、売上高は12億7700万円だが最終損益は3億円の赤字で、それを下半期で500万円の黒字にもっていくとしている。
広告収入の基盤になるダウンロード数は、14年8月に500万、15年1月に800万を超えて順調と会社は説明しているが、それでも「薄氷の黒字化見込み」である。資本金10.23億円の会社がその約10倍の103.3億円の資本を吸収するので、15年5月期の1株当たり利益(EPS)見込みはわずか30銭しかない。とはいえ、長短の借入金などの負債を抱えておらず現預金が10.5億円あり、現状の自己資本比率は80%以上と高い。
また、上場前のベンチャーキャピタル(VC)の保有株比率が14.43%と高いのは懸念材料。主幹事証券会社・野村系のジャフコのそれは10.16%の213万株で、しかも売却停止期間90日を定めたロックアップ条項がついていない。主幹事証券系のVCとはいえ、いつ売るかわからない勢力で、投資家はこれをどう見るだろうか。
新規上場する4月28日はGunosyだけでなく、同じ東証マザーズへほかに2社が上場するという巡り合わせの悪さもある。初値>公開価格の白星にするには、当日の投資家の資金が分散されるため不利になる。
●競争が熾烈な、スマホ向けニュースサイト・アプリ
現在、スマホ向けニュースサイト・アプリは乱立気味。総合系でもヤフーニュース、ライブドアニュース、アメーバニュースなどがあり、それに新聞、放送、通信社などの大手メディア系が加わる。ビジネスやエンタメなどジャンルを絞ったニュースサイトも数多く、競争は熾烈だ。Gunosyの「情報キュレーションアプリ」のようなモデルも模倣される恐れがある。
ダウンロード数は900万を超えているが、ライバル的存在のスマートニュースは公称1000万。「Gunosy5000万都市構想」というビジョンを掲げ、将来は配信情報をニュース以外にも大きく広げ、商品やサービスの予約、購買もできるようにするというが、具体像は見えてこない。
このように懸念はいろいろあるが、「野村が主幹事の新規上場は黒星が多い」「gumiで評判を落とした」という汚名をなんとかして返上すべく、野村證券も証券業界の盟主のプライドをかけ、Gunosyの新規上場には力を入れて取り組むことだろう。
株式市場にとって、新しい血が入ってくる新規上場は重要なイベントであることに間違いない。4月10日に日経平均株価は2万円の大台にタッチしたが、その前に2万円台に乗せていた「ITバブル」の2000年、国内では年間200件以上の新規上場があった。その後、リーマンショックで打撃を受けて落ち込んでいたが、今年は100件前後になると見込まれ、もし100を超えれば07年以来8年ぶりになる。新規上場の数は株式マーケットの活気のバロメーターといっても過言ではない。
その足を引っ張ってほしくないという意味でも、Gunosyは、たとえ新規上場時に初値が黒星で投資家をがっかりさせたとしても、gumiのように上場直後の業績下方修正で投資家を怒らせて「第2のgumi」の汚名を着るようなことはあってはならない。
(文=寺尾淳/ジャーナリスト)
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