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公的年金 自前運用を拡大
外国債券も対象に 委託絞りコスト削減
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は運用体制を大幅に見直し、自前での運用余地を広げる。国内債でそうした自前の運用比率を高めるほか、新たに外国債券も対象に加える。これまでは民間の運用会社にほぼ全面的に委託してきたが、自前の運用比率を高めてコストを削る。一方で成績のよい運用会社を機動的に選ぶ仕組みも取り入れ、運用利回りの改善も目指す。
13日の債券市場は10年物国債利回りが0.34%、米国債も2%を下回り世界的な低金利が続く。こうした経済情勢を踏まえ、GPIFは運用体制の見直しにより、金利が低くても運用益を稼げる体制を目指す。現在GPIFは約130兆円の公的年金を運用している。資産の5割を国内外の株式にする運用改革を進めており併せて体制も見直す。2015年度から段階的に実施する。
その柱の一つが自前の運用比率の拡大だ。GPIFは運用資産の9割近くを民間の運用会社に委託する。これまでGPIF自身で手掛ける運用は国内債券のみだった。
GPIFが運用会社などに支払う手数料は13年度で253億円にのぼっている。自前の運用を増やせば外部に支払う手数料を抑えられる。手数料が減ると運用益はその分だけ増え、年金受給者の利益につながる。
GPIFは利回りを高める目的で、今年度から市場平均に連動する「パッシブ運用」中心の方針を改め、市場を上回る成績を目指す「アクティブ運用」と併存することにした。ただ、アクティブ運用の比率が高まると外部への支払いが増えてしまう面もあった。
調査会社モーニングスターによると、国内公募追加型株式投資信託のパッシブの年間平均コストは14年末時点で年0.74%。アクティブは年1.6%だった。自家運用の拡大で、この差を相殺する考えだ。
GPIFは14年3月末時点で約14兆円の外国債券を保有する。1割を自家運用に切り替えるだけでも、1兆4000億円のお金が動く計算だ。国内債券でも自前の運用を増やし、パッシブ運用に加え、アクティブ運用に乗り出す考えだ。
体制見直しのもう一つの柱が運用委託する会社の選び方だ。GPIFは原則、3年間の運用実績を踏まえて、委託先を決めている。これを年1〜2回に短縮したり、運用を受託したい会社を登録制にしたりする。運用会社を機動的に替えられれば市場変化に対応しやすくなる。新たな運用手法を取り入れて成績を伸ばす運用会社に委託することで、GPIFの運用利回りを高める。
運用体制の強化に向け、GPIFは職員を増やす。5年後をメドに職員を150人程度と現状の2倍近くにする。自家運用の拡大で、市場動向を分析するアナリストらを新規採用する。
機関投資家の運用手法とは
▼機関投資家の運用手法 年金基金などの機関投資家が債券や株式を運用する手法は2通りある。日経平均株価などの市場平均に連動する「パッシブ運用」と、市場平均を上回ることを目指す「アクティブ運用」だ。
パッシブは運用にかかる費用が低いのが利点だ。アクティブ運用は投資する銘柄を選ぶ手間などがかかるため、コストは高くなる。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は積極投資を拡大する方針に転換し、アクティブ運用の比率を高める。
[日経新聞4月14日朝刊P.5]
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