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世界共通、全社員12万人を最高の人材に育てる方法
http://diamond.jp/articles/-/70235
2015年4月16日 赤津恵美子 ダイヤモンド・オンライン
第1回では、オラクルが組織開発として行っている4つのことや、育てたい人材の条件、そのための取り組みの概要といったベーシックな部分をご紹介しました。今回は、トレーニングに関する具体的なカリキュラムやシステムを、どのように作り上げているか、またグローバルなチームの仕事の仕方についてご紹介します。
■最高品質を提供するセンター・オブ・エクセレンス
オラクル・コーポレーションで組織開発と人材開発の中枢を担っているのは、OTD(オーガニゼーション アンド タレントデベロップメント)という部門で、各国の人材・組織開発担当者で構成されています。
OTDのミッションは「人事のコンサルタント」。
弊社では、たとえば給与の支払いや経費処理といった事務・プロセスは、全世界で統一され、グローバルのシェアードサービス部門が一括して行っています。つまり、日本から見れば、海外にアウトソースしている形になります。
では、経営者が、キープしたいと考える人事機能はどんなものでしょうか。
それは事業戦略に合わせた人事(採用、育成、処遇など)ができること、つまり、ビジネスを推進する上で発生する組織や人材に関する悩みに的確に対応できる、コンサルタント的な役割ではないでしょうか。
我々OTDが掲げているのが、「センター・オブ・エクセレンス」というコンセプト。ひらたく言うと、グローバルOTDのメンバーが一丸となって、人材や組織に関する“最高品質のソリューション”を練り上げ、世界中の拠点に提供していこう、というものです。
■プロジェクトごとに各国のメンバーが集結
新任管理職研修を例に「センター・オブ・エクセレンス」についてもう少しご説明しましょう。
以前、日本オラクルで行う研修は、日本国内のベンダー企業の協力を得ながら、日本で開発・提供されていました。それはアメリカでも、インドでも同様です。
しかし、この方法では、日本に合った研修は作れても、それがアメリカやインドにも展開できるかといえば、そうではありません。つまり、部分最適のソリューションであったわけです。
オラクルはグローバルで12万人の組織ですから、管理職も相当数います。その人たちに対して、各国独自カリキュラムやコンテンツを開発し、提供するのではなく、コーポレーション全体として最適なものを提供しようという動きが起こりました。勤務地に関係なく、新任管理職として必ず身につけるべき知識やスキルを特定し、最高品質のプログラムを作り、提供するのです。
こうして始まったのが、「センター・オブ・エクセレンス」というコンセプトであり、仕事の仕方です。
最高水準のものが完成したら、あとは自国の状況に合わせて、必要があれば翻訳を行います。カスタマイズはほとんどそれだけです。自分たちでゼロから研修を開発することに比べたら、作業量もコストも軽減されますし、なにより標準化された、非常に質の高いものですから、提供する側も受講者も研修への満足度がより高まりました。
オラクルには、プロフェッショナル向け研修だけでも、ファシリテーション研修、プレゼンテーション研修、ロジカルシンキング研修など多くの研修がありますし、リーダー向け研修も、マネージャー向け、ディレクター向け、エグゼクティブ向けなど階層別に用意しています。
これらを「センター・オブ・エクセレンス」方式で、すべて標準化する方針で進めています。
■研修のみにとどまらない標準化
研修のみならず、他の組織開発の分野でも、同様の取り組みをしています。
たとえば、前回 概要をご紹介したタレントマネジメントに関しても、社員が正しくツールに入力したり、上司がポテンシャルを正しく評価できるように、基準を合わせたり研修資料を作成したり、といったことをすべて標準化しています。
実際の作業は、“○○研修は、このメンバーでやりましょう”、“評価の軸の検討は、主な地域の代表を入れて”というように、プロジェクト単位で行っています。
プロジェクトは、非常に多数存在するため、私自身が全部に参加することは出来ませんが、日本で重要度が高い施策や、日本オラクルの声を反映させたいものなどを選んで参加しています。
■チームビルディングも最高品質
日本での仕事も抱えながら、複数のグローバル・プロジェクトに参加し、限られた時間の中で高品質のものをつくり上げるのは、当然ながら簡単ではありません。
しかし、グローバルに仕事をすることに慣れたメンバーの集まりだけあって、チーム作りなど、プロジェクトをうまく走らせるための工夫も巧みです。
グローバルな組織開発を行う部門が、どのように自分たちのチームビルディングを行い、仕事を進めているかもご紹介しましょう。
1つは、ビジョンの共有。
年間目標の策定や大きなプロジェクトを開始する際は、よく米国本社に集まってミーティングを行います。 “この期日までに、これを成し遂げよう”、“達成したあかつきには、こんなことができるようになる!”という明確なビジョンをメンバー全員で作り上げ、共有します。
チームづくりの方法も、長けていると思います。
同じオフィスで机を並べていれば、毎日言葉を交わしたり、時に飲みに行くなどして、時間をかけて仲良くなることが可能ですが、OTDのメンバーは世界中に散らばっています。ですから、皆が一堂に会する3日間や1週間といった限られた時間の中で、チームワークを醸成しなければなりません。
そこで、まずはキックオフの前に、メンバーそれぞれが「MBTI」や「ストレングスファインダー」などのアセスメントツールを使って、自分のパーソナリティ・プロファイルがある程度わかる材料を開示しておきます。
そしてキックオフに集まったら、メンバーは朝食からディナーまでずっと一緒。しかも、ハイキングなど、チームでのアクティビティーもあります。
何時間も一緒にいて、ハイキングで歩いたりしながら、家族のこと、オラクルに入った動機、ローカルで抱えている課題など、いろんなことを話し合ううちに、お互いに対する理解がぐっと深まります。そんな濃密な1週間を終えたら、それぞれが自国に帰っていく。
この体験の後だと、“この分野は彼が得意”、“この件は彼女が詳しいので聞いてみよう”という風に効果的に仕事を進められますし、気心が知れていますから“緊急で申し訳ないけど、これお願い!”なんて無理なお願いをされても、“しょうがないなぁ。でも協力しよう!”と思えるチームができています。
■バーチャル環境では社内SNSが強い味方
チーム全員での話し合いは電話会議などで行いますが、日々の細かな情報交換には、社内SNS(Oracle Social Network)が大活躍。時差のある働き方にとって、最強の支援ツールだと思います。
各メンバーの進捗状況を常に確認できるのはもちろんですが、相談ごとがある時に非常に頼れるツールです。
たとえば“タレントレビュー(評価)について、部門長からこういう質問を受けているけど、どう回答すればいいと思う?”などの相談を投稿すると、“私はこの資料を使って説明したわ”というアドバイスが数時間で返ってきます。
日本から夜、投稿しておけば、次の日の朝には何かしらのヒントがある。これはすごく助かります。
投稿には写真やドキュメントも添付できますし、コメントや「いいね!」もつけられる。トピックごとにスレッドが立てられる(掲示板が分けられる)ので、もし後からメンバーが加わっても、過去のログをさかのぼってもらえば、話の流れが容易に把握できます。
そのおかげで、各国のメンバーのアップデートが毎日山のように届くわけですが(笑)、国内の業務をこなしながら、グローバルで動いているプロジェクトも期日通りに進めるためには、こういう、対面やバーチャルの両面で濃いつながりを持つことが、とても大事だと思います。
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