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焦点:「水素社会」に及び腰の中小企業、赤字覚悟の決断下せず
2015年 04月 14日 23:24 JST
[東京 14日 ロイター] - アベノミクス成長戦略が重要施策と位置付ける水素インフラ関連事業への参入をめぐり、中小企業には戸惑いの声が目立つ。
水素社会の実現に向けて、政府は規制緩和を進め、高額な水素スタンド設置費に補助金も出すなどして積極参入を促しているが、経営体力のない中小企業には「いつ採算が取れるのか」との不安が根強い。「水素社会」への参加企業のすそ野を今後どう広げるか。政府がさらに手厚い支援策を求められる可能性もありそうだ。
<社内で意見まとまらず>
「社内で意見がまとまらなかった」――。政府は2月末から1カ月間、燃料電池車の普及に必要な水素スタンド設置への補助金募集を行ったが、応募を見送ったある中堅ガス事業者はその理由をこう打ち明けた。補助金を受けてスタンドを設置しても、何年も続く赤字のリスクは確実だ。「どこまで覚悟できるか、飛び込む決心がつかなかった」。
水素スタンドは設置費用が1カ所5億円前後と高い。政府は少しでも参入企業の負担を減らすため、2013年度から総額200億円以上の補助金をつぎ込んで設置を促進しており、20年代半ばには補助金なしでも水素スタンド経営が自立できるというロードマップを描いている。
だが、実際に走っている燃料電池車の数はまだ少なく、スタンド事業の採算がいつ取れるのかは不透明だ。これまでに設置したのは、JX日鋼日石エネルギー(JXHLY.PK)や岩谷産業(8088.T)など大手事業者がほとんどだ。
政府は政策目標として15年度末に100カ所のスタンド設置をめざしているが、補助金交付が決まり設置が確定したのは、4月に決まった32カ所を含めて計76カ所。このままのペースでは、全国に約3万5000カ所あるガソリンスタンド並みの普及は、早期にはとても望めない。
岩谷産業の上田恭久・水素ガス部長は、同社自らが掲げる15年までに20カ所設置という目標に対しては「遅れていない」とする一方、JXなど一部の大手は「頑張っているが、残りはなかなか進んでいないという印象だ」と話す。
<地方自治体も支援策>
政府は今年度の水素スタンド関連事業の補助金として約96億円を予算計上し、さらにその対象を設置費だけでなく、スタンド運営に伴う人件費や水道光熱費などにも拡大した。今回の設置費に対する公募ではトヨタ自動車(7203.T)から燃料電池車「ミライ」が昨年12月に発売されたことも背景に、大手だけでなく、地方の中小事業者への交付も決まった。
水素社会の普及加速に向けて、地方自治体なども動き始めている。神奈川県横浜市で723万6000円のミライを購入すれば、国・県・市の補助金で400万円以下になる。東京都も20年までに都内35カ所をめざして水素スタンドの設置・運営費などの支援を決めた。
トヨタ、ホンダ、日産自動車(7201.T)の3社は水素インフラの普及促進で合意し、今年中ごろまでに具体的な支援策をまとめる予定。JXや岩谷も採算を度外視し、水素価格を1キロ当たりJXが1000円、岩谷は1100円とした。政府が20年の目標として設定した価格に相当し、目標を約5年前倒しで達成する戦略的な価格にした。
「ミライの発売当初からみると、行政やインフラ業界の方にはより前向きに、より積極的に、より具体的に行動していただいている」。トヨタの豊田章男社長は2月のミライのラインオフ式で、水素スタンドの普及スピードの印象をこう述べ、東京五輪が開催される20年に向けて「さらにスピードアップしていくのではないかと期待できる行動がみられる」と関係先に感謝の意を示した。
<「国を信じて飛び込む」>
しかし、過去に補助金を受け、政府の支援策を歓迎しているガス大手企業でさえも「いつ採算が取れるのか見えない状況に変わりはない。国を信じて飛び込むしかない」(幹部)というのが本音だ。
人気のミライでもしばらくは1日3台しか作れず、納車は3年後の2018年以降になる。今年はホンダも燃料電池車を投入する計画だが、水素スタンド設置については「1日に1台、客が来るかどうか。何年も開店休業状態だ」(中堅ガス事業者)、「水素社会が出来上がってからでは遅いが、もう少し考えたい」(別の中堅企業幹部)との反応が返ってくる。
補助金申請を検討する中小企業からは国にさらに手厚い支援を求める声も出たが、経産省は「もうめいっぱい。これ以上は厳しい」(担当者)と話しており、水素スタンド普及に向けてすべての関連企業が大きく動き出せる情勢にはまだなっていないようだ。
(白木真紀 編集:北松克朗)
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原油市場のひっ迫遠のく可能性、OPECの生産急増=IEA
2015年 04月 15日 18:32 JST
[ロンドン 15日 ロイター] - 国際エネルギー機関(IEA)は15日公表した月報で、原油需要は高まる兆しが見られるが、石油輸出国機構(OPEC)の供給が増えており、需給の引き締まりは予想よりも後ずれする可能性があるとの見方を示した。
2015年の世界の原油需要の伸びは日量108万バレルになるとして、予想を9万バレル引き上げた。今年の原油需要は平均日量9360万バレルとした。
ただ供給についても3月のOPECの産油量は3102万バレルと約2年ぶりの高水準になったとしている。
イランの核開発問題をめぐる協議がまとまれば、制裁が緩和され同国の原油生産が増える可能性がある。またイランが市場に復帰する前にシェアを確保しようと生産を増やす動きが見られるという。
世界的な原油需要は予想を上回っているが、供給も増える形となっている。IEAは「均衡を探る市場の動きはまだ初期の段階だ」と分析し、需給の引き締まりは予想よりも先になるとの見方を示した。
これまでは米国で供給の伸びが鈍り、低価格により原油需要が増えるとして今年下期に需給がひっ迫すると予想していた。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0N60WL20150415
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