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2万円乗せは日本経済の本格復活に向けた歴史的な転換を示唆?(撮影:梅谷秀司)
日経平均2万円が映し出す景気は?
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20150415-00066466-shikiho-nb
会社四季報オンライン 2015/4/15 19:01 岡田 晃
日経平均株価が15年ぶりに2万円台を回復しました。実は日経平均などの株価指数こそ、ある意味では究極の景気指標です。
今回の2万円回復の背景は4つに整理できます。第1は、何と言っても景気回復です。昨年4月の消費増税後に停滞していた景気は、ここへきて回復の動きがかなり鮮明になってきています。自律的な回復の動きとともに、原油安のメリットが出始めたこと、為替相場が円安水準で安定しつつあること、訪日外国人の急増とそれに伴う消費増加、賃上げなど、生産から消費、雇用と幅広い分野へ明るさが広がっています。
第2は日本企業の変化です。業績回復という点だけでなく、構造改革を進め競争力を取り戻しつつあることが評価されており、増配や自社株買い、株主資本利益率(ROE)重視の経営への転換なども目立っています。
第3は、政策です。上記のマクロとミクロの両面での変化をもたらしたのがアベノミクスの効果であることはいうまでもありません。12日投票の統一地方選前半戦の知事選で自民党推薦候補が全勝したのも、アベノミクスが地方でも支持されたものと評価できます。成長戦略などでまだまだ課題は多いものの、今後も引き続き政策推進が期待されるところです。
第4は海外経済です。米国経済は好調を持続する一方で、連邦準備制度理事会(FRB)の利上げは6月説よりも9月説、あるいは9月以降との見方が有力です。一方、欧州や中国、新興国では金融緩和の流れが強まっています。地政学リスクなど懸念材料は多いものの、一時期に比べるとやや明るい材料が増えているといえます。
このように、株価は国内経済のマクロからミクロ、政策、そして海外などさまざまな要因が重なって変動します。株価は「経済を映す鏡」と言われるゆえんはここにあります。したがって株価は何を映し出しているのかを読み取ることによって経済の実態が見えてくるのです。これが「究極の景気指標」と表現した理由です。
■ 株高による資産効果が景気を押し上げ
「究極の景気指標」という言葉には、さらに3つの意味が含まれています。1つは、株価がさまざまな要因を反映して変動するということは、「きわめて幅広い範囲をカバーしている」との解釈が成り立ちます。ほとんどの経済指標はある特定の分野に関するデータで、しかもサンプル調査が大半です。GDP統計は経済のすべての分野を表しますが、各分野の統計を基にした推計です。
その点、株価はあらゆる分野の要素を含んでおり、しかも全上場企業という意味では全数調査のようなものです。日経平均は225銘柄なので「全数」とは言えませんが、東証株価指数(TOPIX)と合わせれば全体を見ることができます。
第2は、株価が「速報性」という面でもっとも秀でた指標であるということです。ほとんどの経済指標は通常、1カ月ごと、あるいは四半期ごとの実績が翌月あるいは翌々月に発表されます。これに対して株価はリアルタイムの数字です。景気というものは全体像をリアルタイムで、かつ正確に数字で測ることはなかなかできない宿命を持っているのですが、株価はそれを補う有力な指標といえます。
第3は、株価が経済の現状を映し出しているだけでなく、未来も映し出すという特性です。投資家は株式を売買するにあたって経済情勢や個別銘柄の現状についてだけでなく、いや、それ以上に先行きについての評価を下したうえで取引を実行します。したがって、価格形成にはその時点での見通しが織り込まれ、その集合体である株価指数は景気の先行きを織り込んでいるというわけです。
株価自体が景気に影響を与えるという側面も忘れてはなりません。株価が上昇すれば、実際に資産効果などを通じて消費増加を生み出し景気を押し上げます。
実際、過去の株価と景気の変動を見ると、株価が転換してから早くて1〜2カ月、遅くても1年前後たって景気が転換点を迎えています。内閣府が毎月まとめている景気動向指数のうち11の指標で構成する「先行指数」の一つにTOPIXが選ばれているのも、株価指数が先行指標として有用であることを示しています。
■ 15年前は背伸びした結果の2万円乗せ
こうした観点からいうと、15年ぶりの2万円回復が意味することは重要です。前出の株価回復の4つの背景に即して15年前のITバブル期と現在を比べると大きな違いがあります。
第1の景気回復については、2000年当時の景気回復はIT分野に偏っていたうえ、経済全体としては不良債権問題がほとんど未解決の状態。デフレも拡大中でした。
第2の企業の状況も、当時は終身雇用、年功序列型賃金、企業内労働組合という「3つの雇用慣行」を抱えて競争力は低下したままでした。経営姿勢も守り一辺倒で、ほとんど株主の方を向いていなかったといっていいでしょう。
第3の政策も正反対です。当時は日銀がゼロ金利解除を志向しており、森内閣も低支持率にあえぎ有効な経済政策は打ち出されていませんでした。
第4の海外経済に関しては、ITバブルの本家・米国ではすでに00年4月の時点で株価急落が始まっており、程なくして同バブルの崩壊が日本にも及びました。
こうしてみると、15年前の2万円は最大限に背伸びした結果だったと言えますが、現在の2万円はまだまだ上昇してもおかしくないといえます。「景気の先行指標」との観点から言えば、景気は今後も回復が続き、それがまた、株価上昇につながっていくとの見方が可能です。
当面は達成感から売りが出やすい展開になるとみられるうえ、一時的な調整があるかもしれません。しかし長期的には、日本経済が長年の低迷化から脱して本格復活に向けた歴史的な転換が始まっており、それを反映して息の長い上昇相場が続くとみています。それも株価を「究極の景気指標」ととらえるからこそです。
当然のことながら、株価は一部の投資家の思惑によって変動したり、ファンダメンタルと乖離した動きをしたりすることがしばしばです。ただ、それでも一定期間の動きを追っていけば、そこには何らかのサインが示されているものです。株価指数のチェックが株式投資に欠かせないのは当然のことですが、景気指標としても株価指数をフル活用することは必須です。
※岡田 晃
おかだ・あきら●経済評論家。日本経済新聞に入社。産業部記者、編集委員などを経てテレビ東京経済部長、テレビ東京アメリカ社長など歴任。人気番組「ワールドビジネスサテライト」のプロデューサー、コメンテーターも担当。現在は大阪経済大学客員教授。ストックボイスのメインキャスターも務める。わかりやすい解説に定評。著書に「やさしい『経済ニュース』の読み方」(三笠書房刊)。
※当記事は、証券投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。
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