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ADBとAIIBの“相互乗り入れ”こそ世界の利益(ダイヤモンド・オンライン)
http://www.asyura2.com/15/hasan95/msg/368.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 4 月 15 日 08:21:05: igsppGRN/E9PQ
 

            国際社会での影響力拡大を図る中国に、日本はどう向き合うべきか Photo:jundream-Fotolia.com


ADBとAIIBの“相互乗り入れ”こそ世界の利益
http://diamond.jp/articles/-/70174
2015年4月15日 田中 均 [日本総合研究所国際戦略研究所理事長] ダイヤモンド・オンライン


■中国への向き合い方の試金石 AIIB設立の背景と意図は

 アジアインフラ投資銀行(AIIB)への参加問題は、急速に台頭する中国とどう向き合っていくのかについての極めて重要なテストケースであり、国際社会の対応如何によって中国の将来の方向性も変わってくる。日本はそのような問題意識をもって参加の是非を考えなければならない。

 まず、中国がAIIB構想を推進する背景やその意図を考えてみたいと思う。

 中国が急速に台頭する過程で目立ってきたのは、一方的で攻撃的な中国である。南シナ海の係争地域近くで中国は引き続き埋め立てを続け、巨大な施設の構築を急いでいる。これは尖閣諸島周辺海域への頻繁な船舶の侵入、防空識別圏の一方的設置、南シナ海でのベトナムやフィリピンとの衝突など、海洋を中心とした中国の攻撃的な活動の一環と捉えられる。

 このような中国の行動は、その意図について周辺諸国に強い猜疑心を生む原因となっているが、日本や米国は抑止力を維持しつつ、関係国と共に一方的な行動に反対する姿勢を強化してきた。

 中国は、こうした2010年頃からの東シナ海や南シナ海における強硬な対外路線がもたらした国際社会との摩擦の反省もあってか、2013年後半から経済面を中心に国際社会との協調を意識した戦略を打ち出してきた。

 AIIB構想は2013年10月のジャカルタでのAPEC首脳会議で習近平国家主席が提唱したものである。2014年10月には21ヵ国により設立覚書が締結され、今年3月末には創設メンバーとしての参加申請が締め切られた。現在50近くの国・地域が参加を申請している。

 AIIBは、中国が力を入れている「一帯一路構想」(陸と海のシルクロード構想)を実現するための重要な柱と考えられている。これは中国から中央アジア、欧州に繋がる陸路及び中国から東南アジア、インド、アフリカ、中東を経て欧州に繋がる海上路を整備しようという壮大な構想である。AIIBは貸出条件の緩やかな借款を、同時に構想されているシルクロード基金は商業ベースのローンを担う機関と想定されている。

 もちろん、このような構想は中国自身の経済的及び政治的利益の増大を意識したものである。

■中国の国内課題の解決と国際社会での政治的立場の強化

 中国にとって、国内諸課題を解決していくためには高い成長率を維持していくことが至上命令である。ところが安い労働力を活用し、世界の工場として生産した製品の輸出が成長を引っ張るという図式には、明らかな限界が見えだしている。国内の過剰生産力や労働力を、AIIBの融資の下で形成された海外のプロジェクトで活用していくことは、大きな意味を持つのだろう。金融面の活動の拡大は中国が欲する人民元の国際化にもつながる。

 さらに、多くの国々に便益をもたらすと思われる壮大な構想は、中国の政治的影響力を拡大することにも繋がっていく。AIIBは特に米国と直接ぶつかることのない西への展開であり、ウクライナ問題に起因するロシアの中国への接近も中国にとっては好ましい戦略環境となる。まさに中国にとっては一石二鳥、三鳥の構想であり、米国による第二次大戦後のマーシャルプラン実施が欧州に対する米国の大きな政治的影響力に繋がったことも想起される。

 また、中国によれば、現在の国際金融機関は経済発展により台頭した新興国の声を十分に反映できていないし、意思決定に時間がかかり非効率的であり、こうした現実を踏まえてよりアジアのインフラ需要に迅速に応えるべくAIIBを設立するという。

 たしかに、これまでも新興国の台頭を踏まえて世界の統治体制を変えなければいけないという問題意識に基づき、1990年代末にG20が創設され、2000年代に入り世界銀行(世銀)や国際通貨基金(IMF)の改革も俎上に上った。しかしながらこうした改革は不十分で、特に中国の発言権の拡大を含むIMF改革は2010年に合意されたものの、米国議会にブロックされ、実現していない。

■二つの世界の対決を回避せよ AIIBを正しい軌道に乗せる努力を

 このような背景を持ち設立されるAIIBへの、日本の参加をめぐる議論と参加の是非について論じてみよう。

 まず、先進国が容易には既得権益を手放さない状況の中、中国が他の多くの途上国の支持を得て「一帯一路構想」やAIIBを追求し独自の価値に基づく世界を構築していくのは好ましいことではあるまい。日米の参加がなく、米国を中心とする民主主義・自由経済世界と中国を中心とする国家資本主義世界の、二つの世界の対決に繋がっていくことは避けなければならない。

 次に、共産主義中国が政治的影響力を拡大していくのは好ましくないので、それに手を貸す必要はないという議論がある。一部の識者は、中国には国際機関をマネージしていくような能力はなく、とりわけ国際金融の世界では失敗が目に見えており、傍観するのが良いと論じる。

 しかし、世界の相対的な国力のバランスは大きく変わってきており、好むと好まざるとにかかわらず中国の存在は大きなものとなり、中国との経済相互依存も拡大する。そして膨大なインフラ整備のニーズを前にアジアの多くの国はもろ手を挙げて参加をする。

 参加する欧州などの先進国は、銀行の失敗を傍観するわけがない。さらに銀行の失敗はアジア諸国の経済に打撃を与えようし、日本の利益も害する結果となる。だとすれば国際社会や地域を益するようにAIIBに参加し、国際的な協力により正しい軌道に乗せる努力をすべきではないか。

 さらに、日本の参加は構想に賛成していない米国との同盟関係を損なうという議論がある。AIIB構想の流れを変えたのは、間違いなく英国の参加決定の判断である。その後、時を経ずして独仏伊の欧州主要国は雪崩を打って参加意図を発表したし、東アジア地域で鍵を握ると見られた豪州と韓国も参加に踏み切った。

 米国政府高官はそのような英国の判断を「恒常的に中国にすり寄っている」と非難したとフィナンシャルタイムズ紙は報じている。米国の反対が伝えられていた英国は、何故このような判断をしたのだろう。

 英国政府スポークスマンは、「AIIB加盟は英国の国益に符合する。米英関係を損ねるものではない」と述べている。英国の動きはオズボーン蔵相が先導したと伝えられ、戦略的な観点はさておき経済的観点からの判断であったと報道されている。

■英国とは立場の異なる日本 米国との緊密な協議を

 英国は、シティがグローバルな金融センターとしての地位を維持することとの関連でAIIBへの参加を決めたのだろう。また、ルクセンブルクが参加発表をする前に欧州から真っ先に参加を決めることに意味を見出していたのだろう。

 英国と米国は「特別な関係」と形容されているが、この同盟関係は「インテリジェンス情報と核技術の共有」を中心とした軍事的な結びつきが中核にある。英国にしてみればAIIBへの参加判断は経済的判断であり、同盟関係を大きく損ねるとは考えていないのだろう。

 日本の場合には、米国との同盟関係は、歴史的に見ても、また英国とは異なり日本が米国と共に戦闘することが想定されていないという意味でも、より脆い要素がある。したがって仮に日本がAIIBへの参加判断をするような場合には、米国と緊密に協議をしなければならない。

 共和党が多数を占め中国に対して強硬になりつつある米国議会で、AIIB設立協定が批准されるのは難しく、同国が参加決定をするとはなかなか考えにくい。しかし世銀やアジア開発銀行(ADB)との協力関係は拡大していけるわけで、AIIBへの色々な形の協力はありえる。仮に米国が参加しない場合でも、世銀などを通じて米国が全面的にAIIBを支持する中での日本の参加が好ましい。

 AIIBへの不参加によって、経済的にも日本が将来失うものは大きい。アジア開発銀行は2010年から20年の間に8兆ドルのアジアのインフラ整備需要があると推計している。ADBの資本規模はおよそ1600億ドルに対し、AIIBの資本規模は1000億ドルとされている。

 いずれにせよ、これらの開発金融機関では賄いきれない膨大なインフラ整備需要がある。日本のこの地域でのインフラ整備プロジェクトへの参入には大きな利益がある。日本の企業進出にとっても、インドやミャンマー、メコン地域のインフラ開発は不可欠である。

■アジアのインフラ開発のニーズ 日本企業にとっても大きな利益

 中国は当初は中国独自の国際金融機関を構想していたのかもしれないが、現段階では先進国の協力を得て成功させることが重要と考えているのだろう。日本の参加から得るものは大きいはずであり、中国自身が日本の参加を真剣に望んでいると考えられる。

 中国はAIIBの融資に必要な情報を、日本が主導し経済シンクタンクとしてジャカルタに創設したERIA(東アジア・アセアン経済研究センター)に依存したいと考えているようである。またインフラプロジェクトにはADBや世銀、さらには民間銀行との協調融資も想定される。プロジェクトの実施に当たっては日本がODA並びに企業投資で培ってきた経験が大きな意味を持つのだろう。

 以上のような観点から考えたときに、日本が参加しないという選択肢はないように思える。ただ、日本がAIIBでそれなりの発言権を持つためには相応の出資をしなければならない。逆に経済規模に応じた出資をしなければ中国の出資比率が圧倒的に高くなる。

 ADBでは日米が約15%で中国は第三位の6.5%の出資比率である。AIIBに参加する場合には現在の経済規模から見て、中国に次いで第二位の出資比率になるのだろう。日本が主導するADBと中国が主導するAIIBに両国が相互乗り入れをして協力していくのは、今後のアジアの好ましい姿ではないだろうか。

 AIIBは6月末までに設立協定を決めると伝えられている。日本は米国との協議とともに、参加を前提にした中国との協議を加速させるべきであろう。AIIBへの出資比率、投票権、融資基準の考え方は定款が固まってからでは変更は難しい。

■外交では能動的に動くことが重要 日本の知見を活かせ

 外交に関して認識しなければならないのは、受身になるよりも能動的に動くことから得る利益は大きいということである。

 AIIBが国際水準の開発援助機関になることが、中国や国際社会にとっての利益である。ADBを主導してきた日本の知見を使うべき時である。ADBのみならず世界銀行や欧州開発銀行など幾多の国際金融機関と、人員を含む相互乗り入れを実現していくべきだろう。それがAIIBの活動の透明性を担保するための梃子となるのだろう。日本は戦略を早期に決め、能動的に動いていかなければならない。

 

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コメント
 
01. 2015年4月15日 18:05:57 : J73EH7M30E
AIIBに参加しないと日本は不利になると言うが、それにしてはしつっこいですな。 日本が不参加でも、中国側はさっさと話しを進めればよろしい。 何故そんなに日本を参加させたがるのかが、返って怪しいように思うがね。 日本とアメリカが不参加では成り立たないのなら、話としては駄目と言う事になりますね。 装じゃないのなら、日米不参加でも早く具体化すれば良いだけではないですか。  

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