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タイより低い大学進学率…世界の一流ホテルマンは大学院を出て修士号を持っているのに日本の人材育成は瀬戸際
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150415-00046540-playboyz-pol
週プレNEWS 4月15日(水)6時0分配信
ついに日経平均株価が2万円を超えたが、それでも市井の人々には「景気が良くなった」という実感がある人はまだ少ない。その大きな理由は、停滞する地方経済にある。
たとえ株価が上がっても人口減少、人材育成の困難さ、グローバル競争などといった数々の問題にさらされ、日本全体が元気になる日は遠いように感じられる。
こうした閉塞感を打破するヒントは、どこにあるのか。最先端の高齢社会対策プロジェクト「首都圏2030」に携(たずさ)わるふたりの論客、実業家で投資家の山本一郎氏と、文部科学大臣補佐官の鈴木寛氏に聞いた。
* * *
山本 今回の統一地方選、「自民・公明対民主」のガチンコ対決だった北海道と大分県の知事選で、いずれも主要な論点にきたのが景気・雇用です。地方に産業が誘致できない、あるいは誘致しても雇用に結びつかない。産業政策の転換の失敗で、求められる人材の育成が行なわれていないという部分が全部、地方にかぶさっています。
鈴木 まさにそうですね。ちなみに全国47都道府県中、その北海道と大分を含む17道県は大学進学率が30%台。失礼な比較になるかもしれませんが、フィリピンの全国平均は約40%です。
また、1990年には日本、韓国、オーストラリアはいずれも35%前後でしたが、現在の日本は約50%、韓国は約70%、オーストラリアは約90%。タイも約55%と日本の上です。これで日本がやっていけますか。
山本 この20年で、一気に差が開きましたね。
鈴木 続いて、全従業員に占める高等教育(大卒以上)修了比率を見ると、かつて日本を支えた製造業は約40%。ところが、これから伸びるICT(情報通信技術)分野は約95%、医療介護分野は約90%という数字です。
山本 大学で意味のある勉学をしないと話にならない。しかし、まだ製造業時代の考え方が根強い地方にその認識があるのかという問題ですね。
鈴木 もうひとつ、グローバル化で今後有望なのは観光業ですが、世界の一流ホテルマンはみんな大学院を出て修士号を持っているんです。
山本 日本が様々な観光資源で外貨を稼ごうといっても、それをエスコートできる人材が育成できていない。
鈴木 今後の観光業は、英語は当然でさらにプラスαのコミュニケーションが必要です。例えば、地域によっては中国語が必須。自分たちの地域は誰がお客さんなのか、逆算して人材育成しないといけない。
山本 場合によってはロシア語も必要になる。日本でロシア語ができる層は圧倒的に少ないので、その語学に折衝能力があれば産業界は間違いなく採用しますよ。私はある程度しゃべれるので、いろいろな場面で重宝されます。
鈴木 地域の特徴に合わせた語学の重要性なんかを、例えば北海道の高校生に教えてあげなきゃいけない。ところが現在、第二外国語は大学受験では評価されなくなりました。2040年、50年あたりにはアフリカの人口増加もあってフランス語圏の人口が英語圏を超えるというのに。
山本 鈴木先生は以前、民主党の参議院議員をされていましたが、今年2月から自民党政権下で文部科学省の大臣補佐官に就かれました。大きな心境の変化といいますか、決断に至ったお考えがあったと思うのですが。
鈴木 日本にはもう残された時間がない、瀬戸際だという認識からです。2020年、私が招致に携わった東京五輪の後に大きな分岐点がくる。それまでに2012年から始まった教育改革を推進し日本は大きく変わっていなくてはならない。
これまで日本は「ものづくり」の工業社会、ハードパワーの国でしたが、今後はICTやスポーツ、文化などソフトパワーの国に変わる必要があります。変革のカギは教育。このたび文科省の仕事を引き受けたのも私の中では極めて自然な流れです。
山本 これからの日本社会に求められる人材は、従来とは全然違うものになると。
鈴木 戦後日本の教育はマニュアルを正確かつ高速に再現する人材育成でした。しかし、それが世界的に通用したのは1980年までの話。とっくに変わっていなくてはいけなかったんですが、惰性でそのままの状態が…。
山本 もう35年近くも変わらず続いている。
鈴木 しかし、長年依存し続けた家電産業がいよいよもたなくなり、辛うじて残っている自動車産業だけで引っ張るのはもう難しい。
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従来の“ものづくり”とは違う産業を生み出すためには、それを創造し支える人材をまず育成しなければならない。だが、そのためには日本の教育に対する考え方を根本から変える必要があるということだ。
鈴木氏が言う「大きな分岐点」の2020年まで、わずか5年。時間はほとんど残っていない。
(構成/佐藤信正 撮影/�橋定敬)
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