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すぐ辞める“ヘタレ新入社員”増殖のナゾ
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投稿者 rei 日時 2015 年 4 月 15 日 06:49:36: tW6yLih8JvEfw
 

ニューロビジネス思考で炙り出せ!勝てない組織に根付く「黒い心理学」 渡部幹
【第23回】 2015年4月15日 渡部 幹 [モナッシュ大学マレーシア校 スクールオブビジネス ニューロビジネス分野 准教授]
すぐ辞める“ヘタレ新入社員”増殖のナゾ
企業も大学も頭を悩ませる
日本の若者は「ヘタレ化」しているのか?

 筆者の住むマレーシアでは、年度始めは1月なので、4月でも人々の暮らしに変わりはない。だが、日本では春の訪れとともに新年度を迎え、新しい環境で心機一転かんばっている人も多いだろう。筆者のもとにも、職場が変わったという挨拶メールがいくつも届いている。

 その一方で、「新入社員が3日でやめた」「やっぱりこんなブラックなところには勤められない、と1週間で辞めていった」「初日の出勤時間前に電話があって『やっぱりしんどいので辞めます』と言われた」といったニュースがいくつも出ている。今どきのゆとり社員はこらえ性がない、などというコメントもよく見る。


高度成長期のモーレツ社員たちから見れば、イマドキの若者はヘタレに見えるのだが … 
Photo:jedi-master-Fotolia.com
 事実、そういった傾向は強くなっていて、それは10年以上前から始まっている。大学新入生や新入社員の中には、いわゆる5月病と言われる状態にハマってしまう者がいる。新しい環境に慣れてきた頃に、当初の興奮が去り、倦怠感や無気力に襲われて、登校・出社する気力がなくなってくる現象だ。

 10年以上前、筆者の勤めていた京都大学の教務担当の先生が、当時「前は5月病ってゆうておったけど、今は4月半ば病になってきとる(笑)。授業1回か2回やったら、もう学生は授業に来んようになって、教室スカスカでタイヘンや」と話していた。

 ニュースに載るような極端なケースは別としても、全体としては、実際に雇用期間は短期化しているし、大学でも退学が最も多い季節は春だ。

 その意味では、もう10年以上前から、日本の若者は「ヘタレ」化しているように見える。だがそれは本当だろうか。

 1970年代の日本のビジネスマンの是は、「努力・根性・忍耐」だった。電通の社長だった吉田秀雄氏が作った「鬼十則」はその典型だ。電通マンの行動規範といわれるそれが作られたのは、51年、終戦直後の大好景気時代幕開けのときだ。

1. 仕事は自ら創るべきで、与えられるべきでない。
2. 仕事とは、先手先手と働き掛けていくことで、受け身でやるものではない。
3. 大きな仕事と取り組め、小さな仕事は己れを小さくする。
4. 難しい仕事を狙え、そしてそれを成し遂げるところに進歩がある。
5. 取り組んだら放すな、殺されても放すな、目的完遂までは……。
6. 周囲を引きずり回せ、引きずるのと引きずられるのとでは、永い間に天地のひらきができる。
7. 計画を持て、長期の計画を持っていれば、忍耐と工夫と、そして正しい努力と希望が生まれる。
8. 自信を持て、自信がないから君の仕事には、迫力も粘りも、そして厚味すらがない。
9. 頭は常に全回転、八方に気を配って、一分の隙もあってはならぬ、サービスとはそのようなものだ。
10. 摩擦を怖れるな、摩擦は進歩の母、積極の肥料だ、でないと君は卑屈未練になる。

「巨人の星」「アタックナンバーワン」…
流行漫画とシンクロしていたビジネスマンの価値観

 かつては、夜明け前の銀座でスーツを着て歩いている社会人は電通マンだけと言われたり、血尿を出しながら働いているのは当たり前、といったことまでささやかれたくらいだ。

 80年代になって、日本経済の勢いが収まってくると、これらの価値観は薄れてきたものの、基本的には「努力・根性・忍耐」の価値観はバブル崩壊まで続いた。

 これらの価値観が全盛だった70年代前半、当時の一橋大学の大学院生たちが興味深い論文を書いている。彼らは、当時流行していた漫画の分析を行った。当時、最も流行っていたのは「巨人の星」「アタックナンバーワン」などの、「スポ根」ものだった。

 彼らは、そういった文化的な流行の中に、日本国民が持っている無意識的な価値観が反映されていると考えていたのだ。そして、彼らの分析によると、それら「スポ根」ものの流行程度は、日本の経済成長とシンクロしているという。それはつまり、「苦しくって、悲しくったって、職場の中では平気なの…」という「努力・根性・忍耐」を美徳とする価値観の共有が、日本の経済成長の一因となっている可能性を意味する。

 当時は、終身雇用制、年功序列制が一般的であり、いったん就職すると、その会社には一生いることが前提だった。辞めても他に就職先を見つけることは困難で、履歴書に退社した前歴が書かれているだけで、相手にされなかった。

 このような状況では、新入社員はいくら辞めたくても辞めることはできない。逆に「この会社に骨を埋めるつもりで体張って頑張ります!」というモーレツ型新人のほうが歓迎されるし、出世対象にもなりやすい。日本の新卒人事で、体育会系が重宝されてきたのにもこういった背景がある。

 つまり、簡単に言えば、当時の日本は「努力、根性、忍耐」を価値観として持っている方が、社会の中で得をするような構造になっていたのだ。個々人は、生き残りやすい戦略として、それらの価値観に従っているに過ぎない。

 ところが、価値観というものは変化する。それはすなわち、生き残りやすい戦略も変わってくるということだ。80年代に入り、経済成長が鈍化し、三種の神器(白黒テレビ、洗濯機、冷蔵庫)も新・三種の神器(カラーテレビ、クーラー、自動車)も、誰にでも入手可能になってくると、「努力、根性、忍耐」といった価値観は薄れてきた。漫画でも、スポ根ものは次第に流行らなくなり、ファンタジーやラブコメという分野がメジャーになってくる。

 80年代から、若者は「しらけ世代」「新人類」などと呼ばれて、上の世代の価値観とは異なるというニュースが出てくるようになった。

 だが、それは若者の社会への「適応戦略」が変わっただけだと筆者は考えている。筆者自身「新人類」と呼ばれた世代で、スポ根型世代の後だった。スポ根的価値観は理解できるものの、それほど共感できたわけでもないし、勤めた会社に一生いるというのもピンと来なかった。事実、筆者の同世代の友人は、半分以上転職している。

会社を辞めても“生き残り”が可能な社会の
メリットとデメリットとは?

 このように考えると、新入社員が3日で辞めることができる現在の社会は、そういう辞め方をしても、生き残ることができる確率が、昔に比べると格段に高いような構造にシフトしてきているといえる。

 逆に、明らかに本人には向いていない業務なのに、「頑張ります!勉強させてください!」と粘り学習スピードも遅い新人を、粘り強く教える時間と労力を上司や周りが割けるかといったら、昔よりもはるかに難しいだろう。かつてのように、新人の教育にコストをかけることが合理的ではなくなってきている。組織のほうもまた、変化しているのである。

 だが、ここで重要なのは、マクロな視点で見た場合、こういった組織の変化とそれに適応する個人のセットが、日本経済にとって合理的なのか、ということだ。

 自分に合わないからといって、職場を転々としている若い世代の人々は、仕事に必要なスキルを学ぶ機会を自ら失っていることになる。組織のほうも、長く勤めてくれる保証もない新人を、ほいほいと採用することはできない。

 さらに極端なケースも横行している。一つ例を紹介しよう。

 飲食業界の友人から聞いた話だ。その友人は、ある店舗のチーフであり、採用担当だった。その店舗は、オーセンティックなバーで、数百本にものぼるシングルモルトや本格的なカクテルを出す場で、文化人や「うるさがた」の客も多い店だった。したがって、店員の接客にはそれなりの高いスキルが要求される。すでに業界での経験がある人ならばよいが、そうではない新人の場合、まずは1ヵ月間、アルバイトとして雇い、仕事を覚えてもらってから社員採用となる。

 友人が面接した人物は20代前半の若い男性で、いくつかのバーでアルバイトをした経験があったという。人あたりもよく、カウンター内での業務についてもある程度知識があったので、アルバイト採用期間は1週間で良いということになり、その後すぐに本格的に働いてもらうということで合意した。

 その店は18時開店だが、皆16時には入って、店の掃除およびドリンクの冷却、カクテル用フルーツの仕込みなどを行う。

 その新人は、初日にいきなり遅刻してきた。17時半に現れた彼は、涼しい顔で何事もなかったかのように入ってきたので、さすがに友人は一言いったという。彼は「すいませんでした、明日からちゃんときます」といって、謝った。

 まだ入ったばかりなので、彼には友人が逐一指示し、カクテルの作り方も見せ(客に出すにはトレーニングが必要なので、彼にはまだ作らせないが)、一通りのことを教えていった。

 バイト期間の1週間が終わり、彼を正式採用にするかどうかを社員で話し合ったところ、意見が分かれた。初日の遅刻を快く思っていない社員がいたためだ。今日1日様子を見ようということになった。

 だが、その日、彼は現れなかった。何の連絡もなく、友人が彼の携帯に連絡しても全く出なかった。結局、彼はその後一度も店には現れなかった。

 いわゆる「ばっくれ」である。だが、友人はそれにはあまり驚いていなかった。飲食の、酒中心の水商売である。そういうヌルい考えの奴もいる、と友人は話していた。

堂々とレシピを盗んだ「ただ乗り」バイト
アメリカで一般的な防止策とは?

 友人が驚いたのは、その2ヵ月後だった。そのばっくれ君が、店に客としてきたのだ。彼は悪びれもせず、「その節はどうも」と笑いながらいい、彼に名刺を渡して来た。

「今度、友達とバーを開くことになりました。○○さんにもレシピ教えてもらったので、いいもの出す自信あります。ここのお客さんにも宣伝してもらってもいいですか」

 友人はあまりのことに怒ることも忘れてしまった。彼は最初からレシピを盗む気持ちで来ていたとしか思えない。それだけならばまだいい。それを盗んだ先にわざわざ知らせて、客を横取りさせてくれないかと頼む神経は全く理解不能だった。

 このように、すぐに辞められる社会では、「ただ乗り」が横行する。会社にたいした貢献もせず、自分の利益だけを求める個人が、結果的に得をするのだ。

 そういうただ乗りが横行すると、社会や組織全体が活力を失うことになる。

 すぐに辞められる社会の先輩格でもあるアメリカでは、そういうただ乗りを防ぐために、評判情報を徹底活用する。かつて勤めていた会社や友人までもに、その人物が組織に貢献できる人材かどうかを詳細に尋ねてから判断するのだ。

 例えば、先の例ならばその人物が、これまで勤めた店でどんな勤務態度だったか、客や上司とトラブルを起こさなかったか、など尋ねるのである。

 アメリカでは、小さな組織から大企業に至るまで、このような評判情報の活用がいたるところで行われている。個人も、自分の今の勤め先での態度が、あとあと評判となって伝わる可能性があるので、下手なことはできない。すぐ辞めるかどうかにかかわらず、全力で組織に貢献しようとする。つまり、評判活用システムが、短期雇用社会においても、ただ乗りを防ぐように働いているのである。

 残念ながら日本社会は、まだそこまで評判活用ができていない。その理由には構造的なものと心理的なものがある。それについては、また稿を改めて、例とともに紹介することにしたい。
http://diamond.jp/articles/-/70128   

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コメント
 
01. 2015年4月15日 12:44:50 : fDG1cWsHyw

結論

採用を決めた人事担当者の能力に問題がある

それだけのこと

これマジ


02. 2015年4月15日 20:20:49 : PHkuSka9vI
すぐ辞める 雰囲気作り 大事だよ
表立っては リストラできぬ

03. 2015年4月15日 23:52:48 : 67AIOGmB2M
フリーライダーは昔からいた
労働組合が勝ち取った権利をちゃっかり使う非組合員
今に始まったことではない

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