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「貧乏暇なし」と柳美里氏
売れっ子でも“食えない”出版界の裏側を激白 芥川賞作家・柳美里氏
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20150413/dms1504131526007-n1.htm
2015.04.13 夕刊フジ
芥川賞作家・柳美里氏(46)の新著「貧乏の神様 芥川賞作家困窮生活記」(双葉社)が話題を呼んでいる。昨年11月、注目を集めた月刊誌の原稿料未払い問題の顛末(てんまつ)など困窮ぶりを示すエピソードなどが満載。貧困層の広がりが社会問題となる中、発行部数が1万部を突破するヒットとなっているのだ。人気女流作家が、ベストセラーを出しても“食えない”出版界の裏側を激白する。 (安里洋輔)
「返せないほどに借金が膨らみ、多重債務に陥ったこともありました」
取材に応じた柳氏は、自らが陥った苦境をこう振り返る。仕事上のトラブルから鬱病を悪化させた約10年前には、執筆活動ができなくなり、数カ月収入が途絶えたこともあったという。
今春から高校に通う1人息子を抱える柳氏は、「家族の食費をまかなうため、消費者金融に手を出し質屋に貴金属を持ち込んだりもしました」と惨状を語る。
1994年に小説家としてデビュー。97年に発表した「家族シネマ」で芥川賞を受賞し、人気作家の仲間入りを果たした。その後もコンスタントに作品を発表し、連載も多数手掛けた。
売れっ子作家が生活苦にあえぐとはにわかに信じがたいが、柳氏は「作家が印税で優雅な暮らしをしているなんて幻想。そもそも裕福になろうと思えば、作家なんてやらない」と笑い、こう続ける。
「出版不況の影響もありますが、昔から家計簿つけて貯蓄して先々のことを考えるということができないんです。あればあるだけ使ってしまう」
金銭的に困窮しつつも、不思議と本人に悲壮感はない。
「崖っぷちを走っている快感というか、貧乏をどこかで楽しんでいる部分もあります。貴金属の中でも真珠は売れないとか、借金の返済が滞ると、機械にクレジットカードを入れたとき、そのまま中に吸い込まれるとか。新しい発見もありますしね」
同著の中では、2007年8月から7年間にわたって原稿料が未払いとなっていた月刊誌の編集部との交渉記録も明らかにしている。
「金額の問題ではありません。筋が通らないじゃないですか。何度も嘘をつかれたことが我慢できなかった」
昨年、生活保護世帯が過去最多を更新し、社会問題化するなど「貧困」が深刻な影を落している。
柳氏は「貧困は自ら望まずに制度の穴にはまりこんでしまう状態で、貧乏とは違う。貧困は一度はまれば抜け出せない側面がある」と前置きし、こう提言する。
「ただ、お金があるのはいいことだという価値観を変えれば違ったものも見えてくる。『ない』ことから生まれるものもたくさんある」
今月から新たなチャレンジを始める柳氏。11年3月の東日本大震災から復興を目指す福島県南相馬市に移住し、現地で劇団を立ち上げる予定だ。
「南相馬は、これまで住んでいた鎌倉や首都圏に比べると、ないものが圧倒的に多い。根無し草に戻って、何が書けるのかを見つめ直したい」
先行き不透明なこの時代、「貧乏暇なし。不服もなし」と語る柳氏の言葉から生きるヒントが得られそうだ。
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