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生き残りを懸けて鳴門海峡をまたぐ経営統合に打って出るトモニホールディングスの動きは、瀬戸内海周辺の地銀再編機運を高めるとみられる
Photo:JIJI
地銀再編は四国・関西に波及 金融庁新検査が次の波乱要因
http://diamond.jp/articles/-/70071
2015年4月14日 週刊ダイヤモンド編集部
「新方針になって初の金融庁検査を味わった地銀が悲鳴を上げている。対象行が広がれば、再編に追い込まれる地銀はさらに増える」。地方銀行界で新たな業界再編が明るみに出たが、ある地銀幹部は早くも“次”の衝撃に身を構えていた。
昨年11月、横浜銀行(神奈川県)と東日本銀行(東京都)が関東で、肥後銀行(熊本県)と鹿児島銀行(鹿児島県)が九州で相次いで経営統合を発表した。
「次はどこだ」とさまざまなうわさが飛び交う中で、これに続いたのが四国に地盤を持つトモニホールディングス(HD)だった。第二地銀の香川銀行(香川県)と徳島銀行(徳島県)を傘下に持つトモニHDが、同じく第二地銀の大正銀行(大阪府)と経営統合の交渉中であることが、新年度に入って早々に明らかとなったのだ。
地元の香川や徳島では、それぞれトップバンクの百十四銀行や阿波銀行の牙城に阻まれていることもあり、大阪府や兵庫県へ越境進出していたトモニHD。一方、大正銀はそれらの地域に拠点網を持ち、地銀再編の際にネックとなりがちな基幹システムも同じものを使っていた。なおかつ約25%の株式を保有する大株主、三菱UFJフィナンシャル・グループが「地銀の保有株の整理に動いていた」(前出の地銀幹部)状況も重なり、トモニHDにとって大正銀は触手を伸ばす条件がそろっていた。
■3分の1の支店長に聴取
人口減少による地元経済の弱体化や超低金利時代の利ザヤ縮小など、生き残りを懸けた再編へと地銀を駆り立てる悪材料には事欠かない。そこへ追い打ちとなるのが冒頭の金融庁の新検査だ。これまで検査の根幹にあった、融資が不良債権化する恐れがないかを調べる資産査定をなくし、融資ビジネスの収益力を見る「初めての検査」(金融庁幹部)なのだ。
検査では、地場の中核産業や取引先企業をどのように育てていくつもりなのかという地銀の方針を確認。地元経済の環境や融資残高の推移などのデータ分析に基づいた営業戦略が練られ、実行されているのか、10年先も生き残っていけるのかといった議題について、時に激論も交わされたもようだ。
ある対象行では、約3分の1もの支店長たちが金融庁に呼ばれ、各支店での営業手法などについてのヒアリングも行われたという。「うちも含めて、いまだに融資のボリュームばかりを求めて、ろくな営業戦略を持たない地銀は多い。新検査に入られたら、お茶を濁すことは不可能」(第二地銀幹部)と、地銀界は戦々恐々としている。
「金融庁も納得する、10年先も生き残れる未来の“絵”が描けなければ、再編の道を選ぶしかなくなる」(同)。新検査の対象行が本格的に広がる7月以降の次期事務年度は、地銀再編の正念場。さらに“次”の再編案件が出るのも時間の問題だ。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 鈴木崇久)
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