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「ユーロ人民元市場」に狙い定め 英国AIIB参加の思惑〈AERA〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150413-00000010-sasahi-eurp
AERA 2015年4月20日号より抜粋
中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)に、50以上の国・地域が参加表明した。潮目は英国の参加。その裏には、遠大な国家戦略があった。
ロンドンの金融街シティーは、植民地貿易に一獲千金を託した投資家や商人が開いた街だ。対岸は造船業で栄えたドックランド。今はモダンな再開発ビルが立ち並び、シティーからあふれ出る金融ビジネスの受け皿になっている。ここに「人民元センター」ができるという。
旗振り役はジョージ・オズボーン財務相。オックスフォード大学から保守党本部に入り、2010年に38歳で財務相になった。「次の次の首相」ともいわれる。3月12日、アジアインフラ投資銀行(AIIB)への参加を表明し、「アジアとの相互投資によって成長する大きな機会となる」と語った。
AIIBは鉄道、道路、通信回線などのインフラ建設に資金を融資する。「ユーラシア大陸の西と東を結ぶ現代のシルクロードは地域に飛躍的な発展をもたらす」と財務相は確信し、ロンドンは一方の極になることで繁栄しようというもくろみだ。
13年には北京を訪問し、「ロンドンを人民元ビジネスの中核センターにする」と打ち上げ、ポンド・人民元の直接取引を馬凱(マーカイ)副首相と合意した。経済規模で日本を追い抜いた中国は、人民元を世界のどこでも交換できる「国際通貨」にしようと懸命だ。
オズボーン氏が唱える「人民元ビジネス」の中核は、「オフショア(沖合)取引」だ。銀行は金融街にあっても、口座は「国外」扱い。つまり、税金や規制の対象にならない金融取引をロンドンで行おうという構想だ。
それぞれの国には自国通貨がある。日本の銀行が円取引で儲けるように、どの国でも取引は自国通貨だ。例外がある。「基軸通貨」のドルだ。よその国でもドルで決済できる。世界通貨となったドルは海外に流れ出て、ロンドンに「ユーロドル市場」ができた。ドル以前の基軸通貨だったポンドで金融技術を磨いたシティーは、ドルを扱って繁栄を続けた。そしてシティーは今、「ユーロ人民元市場」に狙いを定める。世界通貨の行方をにらみ、オズボーン氏はAIIBへの参加を決めたのだろう。
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