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日銀が買う国債は、誰が責任を負うのか 異次元緩和の「都市伝説」のカラクリ(東洋経済)
http://www.asyura2.com/15/hasan95/msg/322.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 4 月 13 日 12:56:06: igsppGRN/E9PQ
 

日銀の異次元緩和から2年。国債を大量に買っている日銀だが、それによって国民負担が減っているわけではない(写真:ロイター/アフロ)


日銀が買う国債は、誰が責任を負うのか 異次元緩和の「都市伝説」のカラクリ
http://toyokeizai.net/articles/-/66165
2015年04月13日 土居 丈朗 :慶應義塾大学 経済学部教授 東洋経済


黒田東彦・日本銀行総裁の下での「量的・質的金融緩和」が始まって2年が経つ。「アベノミクス」3本の矢のうちの第1の矢と位置付けられ、デフレ脱却のカギを握っている。

■「満期が来た国債は、元本返済が不要」のカラクリ

異次元緩和政策ともいわれる「量的・質的金融緩和」では、日本銀行が国債を大量に市場で買い入れている。日本銀行が大量に国債を買い入れている間は、国債金利は上昇しにくく、発行した国債が満期を迎えて元本を返済しなければならないものでも、日銀が持っている限り、返済のための税負担は要らない。あくまでも、「日銀が持っている限り」であるが。

そのカラクリはこうである。日銀が国債を大量に買い入れているのは、市中に通貨(マネーストック)を増やしたいからである。市中に通貨を増やすことで通貨価値の低下につながれば、通貨価値と表裏の関係にある物価(ここでいう物価とは、専門用語でいえば一般物価)が上昇する。つまり、物価が下がり続けるデフレから、脱却できる。

そして、異次元緩和政策を続ける限り、日銀は市中に通貨を増やすことを目指しているから、買い入れた国債で満期が来ても、政府に元本の返済を求めても意味がない。なぜなら、仮に満期が来た国債に対して政府に現金償還を求めれば、政府は国民から得た税収を使って現金を日銀に支払うことになるが、それだと市中から通貨が減ってしまうことになるからである。異次元緩和政策を続ける間は、市中から国債を買い入れて通貨を出回せることが狙いなのだから、満期が来た国債の元本返済を日銀が求めては意味がなくなってしまうのである。

ちなみに、日銀が買い入れた国債で満期が来たものを、引き続き借り換えるときには、「日銀乗換」という方法がある。満期が来た以上、いったん返済したことにしなければならない。しかし、その国債を借り換えることにすれば、日銀が買い入れた国債をそのまま保有し続けることができる。そこで、政府と日銀の間で、満期が来た国債と取り換えるように借り換えるための国債を日銀に引き受けてもらうことにしている。これが、日銀乗換である。

だから、異次元緩和政策で日銀が買い入れた国債は、日銀が持っている限り、返済負担が生じない。それなら、いっそのこと日銀が保有する国債は、政府の借金とみなさなくてよいではないか、との声がある。

■デフレ脱却後は国民の税負担で返済必要に

だが、それは誤りである。日銀が買い入れている国債は、デフレが脱却できたら、国民の税負担で返済を迫られる。

そもそも、日銀が保有する国債で満期が来ても元本返済が必要ないのは、異次元緩和政策を実施しているためである。では、異次元緩和政策を実施しているのはなぜか。デフレを止めたいからである(異次元緩和政策でデフレを止められるか否かの議論は、ここでは不問とする)。

仮に異次元緩和政策でデフレが止められたとしよう。デフレが止まること、すなわち物価上昇が持続的に起こる状態となる。異次元緩和政策が功を奏して緩やかなインフレにできるか否かは、これまた議論が分かれるところだが、いずれにせよ、デフレが止まれば高率か低率かを問わず物価が上昇する。

そうなれば、まず、日銀は、異次元緩和政策をやめる。いわゆる「出口」である。そこで、国債の新たな買い入れはやめる。問題は、日銀がすでに買い入れた国債の行方である。

物価上昇は、その裏表の関係で通貨価値が下落し始める。お金を貸す側はその通貨価値の下落を補うために物価上昇率よりも高い金利をつけて貸そうとする。預金金利もデフレ期はほとんどゼロだったものがプラスの金利になる。すると、デフレ期に現金を持っていた民間の経済主体は、現金を金融機関に預けたり、プラスの金利がつく金融資産(国債を含む)に持ち替えようとする。民間の経済主体から預金等の形で現金を受け取った金融機関も、現金のまま持つことは望まないので、日銀に現金を引き取ってもらおうとする。

こうして、インフレになると民間の経済主体や金融機関はできるだけ通貨を持たなくなり、日銀は通貨を吸収するため、保有している国債を放出せざるを得なくなって、売りオペレーション(市場で国債を売る)を行うことを迫られる。

インフレになると(それはハイパーインフレでなくとも)、プラスの金利となるので、民間の経済主体は通貨でなく利息等が得られる金融資産を持とうとし、その中で国債は日銀ではなく民間が保有するようになる。民間の経済主体が保有する国債は、満期が来ると元本を(全額でなくとも一部は)返済しなければならず、そのために国民の税負担が生じる。

■インフレ甘受なら、結局「インフレ税」で負担することに

したがって、かつて日銀が買い入れた国債といえども、デフレが止まると、民間が保有することになって償還のための税負担が生じることになる。異次元緩和政策の狙いと、その狙い通りになった後のことを考えれば、自明のことである。デフレが止まっても、日銀が買い入れた国債の返済のための税負担が生じない、などということはありえない。

では、日銀は買い入れた国債を売りオペしなければよいのだろうか。そうすれば、インフレ下で、民間が保有する通貨が市中に過剰に残るため、高率のインフレになる圧力がかかることになる。そうなれば、やはり日銀は、物価の安定のために売りオペをして市中の通貨を吸収せざるを得なくなる。

多少高率のインフレを甘受すれば、日銀は異次元緩和政策で買い入れた国債を売らずに済むとみるなら、今度はインフレによる国債の価値の目減りに直面する。確かに、国債の返済負担が、インフレによって実質的に軽くなっているかのように見えるが、その裏表の関係で生じているのは、国民や日本円保有者に対する「インフレ税」の徴収である。

「インフレ税」は、東洋経済オンラインでの本連載の拙稿「経済財政諮問会議の『ゆるい議論』を許すなhttp://toyokeizai.net/articles/-/61348」(2015年2月23日)でも触れた。日本円を持つ者はインフレによってその通貨価値が奪われ、それと同時に日本国債の実質返済負担が軽くなる。この場合でも、誰かが日本国債の返済負担を負わされることには変わりない。

デフレ脱却は目指すべきである。しかし、デフレ脱却後のことも考えれば、これまでに負った日本国債の返済負担から逃れられないことを肝に銘じなければならない。だからこそ、日本国債の残高の増加は抑えなければならないのである。


 

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コメント
 
01. 2015年4月13日 13:45:58 : nJF6kGWndY

最近の原油安で、いくら日銀が緩和しても、デフレ脱却は無理などと批判している人も、まだいるみたいだが

現実には、静かにインフレは進んでいる

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NMKX9X6K50YA01.html 
実質値上げ犯人か、物価指数と実感の差−鍵は「一橋物価指数」
2015/04/13 09:51 JST

  (ブルームバーグ):日本銀行が量的・質的金融緩和の目標としている消費者物価指数で見ると、消費増税の影響を除けばインフレはほとんど起きてない。しかし、人々の物価の実感は逆にじりじりと上昇している。そのギャップを埋める鍵は、値段を変えずにパッケージだけ変えて新商品を装い、量を減らした実質値上げにあるのかもしれない。
総務省が発表する消費者物価指数(生鮮食品を除いたコアCPI )は、2月に前年比2%上昇。増税の影響を除くベースでは、昨年4月に前年比1.5%上昇とピークを付けた後、増税の影響による需要の落ち込みや原油価格の大幅な下落もあって伸びが鈍化し、とうとう前年比ゼロ%に落ち込んだ。
しかし、日銀が2日発表した四半期に1度の生活意識に関するアンケート調査では、1年前に比べ物価が何%変化したか聞いたところ、平均値(極端な値を排除するため上下0.5%を除いて計算)は5.6%上昇と前回調査(5.3%)から加速した。昨年4月の消費増税前後はおおむね4%程度で推移していたが、9月調査以降3期連続で上昇した。
物価指数と人々の実感との乖離(かいり)の謎を解く鍵になりそうなのがSRI一橋単価指数だ。株式会社インテージ、一橋大学経済研究所、新日本スーパーマーケット協会が共同で開発、5月に週次の統計発表を開始する予定だ。新商品の価格をきめ細かくフォローしているのが最大の特徴で、増税後は1−1.5%と安定した伸びで推移している。
CPIが2%なら新指数は4%
一橋大学経済研究所の阿部修人教授は人々の実感と消費者物価指数のギャップについて「既存の商品の値上げではなく、新しい商品に入れ替えて、たとえばアイスクリームを120ミリリットルから110ミリリットルに減らしたり、ヨーグルトを85グラムから75グラムに減らすなど、そういう値上げをしていたというのがわれわれの見方だ」という。
同指数は全国のスーパー約4000店舗を対象にPOSデータを集計。新商品は品目を細かく分類し、ミリリットル、グラムといった単位に直して1年前の商品と比較する。同教授によると、平均的な小売店では半数近い商品が1年前に販売されていない新商品だが、「公式CPIでは、次々に現れる新商品の情報はほとんど含まれていない」という。
コアCPI前年比が前回、2%前後まで上昇した2008年、SRI一橋単価指数の上昇率は4%に達した。同指数は総務省のCPI統計の2割弱しかカバーしてないが、阿部教授は「公式CPIで見るより、物価は上昇している傾向にある」と指摘する。
さらなる緩和は良い影響もたらさない
日銀は2013年4月、消費者物価の前年比2%の物価安定の目標を2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現するため、量的・質的金融緩和を導入した。日銀はコアCPI前年比が2015年度を中心とする時期に2%に達するとの見通しを維持しているが、足元では増税の影響を除くとゼロ%に鈍化している。
黒田東彦総裁は8日の会見で、「物価の基調的な動きに変化が生じ、物価安定の目標の早期実現のために必要になれば、ちゅうちょなく調整を行う」と述べた。ブルームバーグ・ニュースがエコノミスト34人を対象に3月31日から3日にかけて実施した調査では、半数超の22人が年内の追加緩和を予想した。
大和証券の野口麻衣子シニアエコノミストはSRI一橋単価指数について「消費者としての実感に合っている」と指摘。「家計が値上げに対して防衛的な姿勢を強める中、さらなる追加緩和を行い、一段の円安を引き起こすことは決して良い影響を及ぼさない」という。
物価を総合判断するのなら
生活意識に関するアンケート調査では、回答者の45%が消費増税後の物価上昇を理由に今なお支出を控えていることが明らかになった。先行きについても、収入が増えるとの回答が増えた一方で、支出は減らすとの回答が増加。支出を考える際、「価格動向を重視する」との回答が2年連続で増加するなど、家計は防衛的な姿勢を強めている。
SMBCフレンド証券の岩下真理チーフマーケットエコノミストは「SRI一橋単価指数には注目している。これだけ実質値上げが行われているとすれば、家計の負担感が引き続き強いのは当然で、それが家計調査の消費支出がさえない理由の1つかもしれない」と指摘。
その上で「日銀は物価の基調を総合判断すると言っているのだから、こういった指数も判断材料の1つとして取り入れていくべきだろう」としている。
記事についての記者への問い合わせ先:東京 日高正裕mhidaka@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Brett Millerbmiller30@bloomberg.net 上野英治郎, 淡路毅
更新日時: 2015/04/13 09:51 JST


02. 2015年4月13日 15:26:10 : bfiJIUelwU
インフレは消費税率分だけ確実に起こる。それだけの話で、実質はデフレになる。
財政再建しなくても、財政健全化だけでも、実質デフレが起こるのだ。

寝ぼけた幻想はこれから起こる消費税引き上げ後の実体経済を見れば、実質デフレ意味が証明されるだろう。


03. 2015年4月13日 17:51:55 : FdzWvwSYpY
プロの眼 森田長太郎氏 日銀政策の限界

http://www.tv-tokyo.co.jp/mv/nms/expert/post_82307

にっちもさっちもどうにもブルドッグ


04. 2015年4月13日 19:39:10 : ADBFxem7fQ
誰が責任を負うのか。

正解  誰も責任は負えません。また責任をとれません。
    当たり前です。そんな能力は誰もどの組織も持っておりません。

大東亜戦争の結果でも、福島原発事故の結果でもわかります。


05. 2015年4月14日 15:00:24 : ZZRN8DfbzY
今まで責任をとった国の機関があるかどうかから議論しなさい。

06. ピッコ 2015年4月15日 06:41:19 : ldyqn.PAmBFfI : yUvbhZBiGs
>04. 05.

日銀が買う国債は、誰が責任を負うのか…、それは国民なのだと、この投稿文は言っているのです。 デフレ脱却という建前で黒田日銀が買い貯めてきた、今も市場で買占めの状態で買いあさっている国債の後始末は、結局「インフレ」という形で国民が負担することになるというのです。 たとえば、インフレで物価上昇により100円だったものが200円になったとすると、買うときに今までより倍のお金が必要になるわけで、余計に払うことになる100円分がある種の「税」(投稿文では「インフレ税」と称していますが)となるわけですね。

大東亜戦争の結果、塗炭の苦しみを味わったのは国民でした。 福島原発事故の結果も同じです。 当たり前の話ですが、国がすることの後始末は、そこに住む国民がすることになり、国がすることの結果責任は国民が負うのです。


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