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「過去3回」と「今の日経平均2万円」はどう違うのか(写真は1997年11月の山一證券破たんでの会見。同年は一時2万円を維持していたが、後半大きく崩れた:HOSAKA NAOTO/GAMMA/アフロ)
なぜ日経平均は、2万円突破でも「買い」なのか 歴史を知れば、次の相場が見えてくる
http://toyokeizai.net/articles/-/66147
2015年04月12日 平野 憲一 :ケイ・アセット代表、マーケットアナリスト 東洋経済
ついに日経平均株価が一時2万円を突破した。今までは何か「向こう側」だった世界に、初めておそるおそる足を踏み入れたような気になっている読者の方も多いかもしれない。
報道などでは、「約15年ぶりの高値」と盛んにいわれている。だが、過去のコラム「日経平均が2万円を突破する条件http://toyokeizai.net/articles/-/61987」などでも触れてきたことだが、これから2000年の「ITバブル」時の高値2万0833円21銭を抜いてはじめて、本当の意味での15年ぶりの高値となる。
■過去の「日経平均2万円」との比較が大切
それだけ、この2万0833円を抜くことが重要だということだ。この価格は、投資歴15年未満の投資家にとっては「未踏の地」であり、ベテラン投資家にとっても遠い思い出になりかけていたITバブル当時を思い出すことになる。
いずれにしても、「両者」とも、胸わくわくの高揚感に浸っているかもしれない。そして当然、「これからどうなる?買いか?売りか?」と考えを巡らせているのではないか。
その答えを出す前に、「過去の2万円相場」はどうだったのかを見て見よう。
2015年から見れば一番近い2万円は、前出の2000年のITバブル時である。だが、実は2万円を超えていたのは、高値を付けた4月12日を含むわずか3週間ほどだった。しかも「その3週間」は、後から見れば、2003年4月28日の7607円まで落ち込んでいく、「地獄の1丁目」だったのである。
次の2万円は1997年高値6月16日の2万0681円07銭を含む約13週間。この時は現在に似て、同年の4月1日に消費税が5%に引き上げられたが、消費関連が物色されている。しかも、外国人・国内年金主導での「主力株集中物色」は今とそっくりだ。ただ、この時もNY株暴落をきっかけに、年後半の北海道拓殖・山一証券破たんにつながる入口となった。政府は年末に、法人税減税を決めている。
次は、6月の高値2万2666円80銭を含む1996年。この年は住友商事の銅取引での巨額損失が発覚した年としても有名だが、年間を通して2万円を超えていた。自民党が選挙で圧勝し、年後半にはJR西日本とオリエンタルランドが東証1部に上場した。しかし、ここが景気のピークであり、翌1997年の1月10日は1万7303円になっていた。
このように書いてくると、何か空恐ろしい気持ちになる読者もいるかもしれない。
■国内のファンドや外国人は本当に買っているのか
もし、「空恐ろしい気持ち」になっているとすれば、それは過去の2万円相場を知っているベテラン投資家だからだろう。それゆえ、そうした投資家ほど、今回の上昇局面でも相場について行けず、上がる相場におろおろしている。「持たざるリスク」に直面しているファンドマネージャー達は、今や「強制買い入れ」を厳命され、ファンドの「矯正」に必死だ。
なぜそうなっているかと言うと、今回の「日経平均2万円」は、相場観と相場観のぶつかり合いでできたものではないからだ。もともと金融相場は「不景気の株高」に代表されるように人工的な相場で、おカネの絶対量を増やす「QE(量的緩和政策)」とおカネの動きを活発にする「ゼロ金利政策」で、おカネと株式のバランスを良い意味で崩し(そうでないという人もいるが)、株高を誘導する相場だ。
欧州と日本はこの金融相場のまっ最中である。特に、今年に入ってからの株高は、米欧を買いつくしてもなお余った資金が、長い目で見れば「出遅れ日本」に入って来たのがきっかけだ。
1月第3週からの外国人投資家の6週連続計約2兆8000億円の買い越しはそれが爆発した形だった。従って、「売り方」(=売りで儲けようという勢力)は問答無用の買戻しを余儀なくされたが、その動きは陽性で、納得できるものだった。
しかし、3月に入って1万8000円後半から1万9000円を超えてくる段階では、まったく下がらない相場で、下がらないから上がらざるを得ないと言う非常にやりにくい「陰性の相場」に変わった。これが、ベテラン投資家がついて行けなかったもう一つの理由である。ファンドマネージャーが組み入れを思い切り増やせなかった理由でもある。
それは、買い方の主体が、海外年金やオイルマネーと、国内公的ファンドの現物買いに変わったためだ。両者とも日中のトレードでは、売り物薄を買い上がることは絶対になく、ある程度売り物が出たところを「一網ですくう」方法だ。
だから、日々の動きは派手ではないのに、いつのまにか水準を上げている。まさに売り方にとっては真綿で首を絞められているような相場。これが現在の姿である。
さて、話を最初に戻そう。今の2万円前後は売りなのか?買いなのか?
■過去の2万円と決定的に違う「三つの点」
さきほど過去の三つの例を紹介したが、確かに空恐ろしくなる類似点もあるのだが、決定的に違う事象もある。一つは需給だ。海外年金やオイルマネーと、国内公的ファンドの現物買いはまだ終わっていない。売りあがった個人投資家の手持ち資金も潤沢だ。
二つ目は、ファンダメンタルだ。2000年のITバブル時に付けた日経平均の最高PER(株価収益率)をご存じか。何と305倍だ。これは異常としても、他2例の2万円も50倍前後だった。今は前週末の金曜日で予想PER約17.64倍である。しかも、予想数字がほぼ入れ替わる5月連休明けには、10%の増益見通しとしても16倍割れとなる。
三つ目は相場の常だが、株価が上昇していくと、その先々で株高による新しい世界が生まれる。ベースアップを含む賃金の上昇にも、明らかにこの株高が影響している。株高はデフレ脱却にも貢献する。紹介した3例当時は、2万円と言う株高でありながら、多くの問題も内包していた。
今がまったくないとは言えないが、「失われた15年、あるいは20年」の中で企業は多くの問題を解決してきた。株高が素直に世の中を良くする日本経済の構造がいつの間にか出来上がっていたのではないか。
さて、メディアでは盛り上がる2万円相場だが、ここまで「小さな踏み上げ相場」(売りで儲けようとする勢力が負け、株を買って決済させられる相場)を重ねて来たので、適度なガス抜きがされている。
それゆえ、2万円以上で何かが特別に爆発するということも、現段階ではなさそうだ。今週は15日(水)のECB定例理事会・総裁会見を中心に、日米ともそれなりの注目材料はあるが、ここまでの相場と大きくは変わらないと見る。
今後の展開も、25日移動平均(週央予測1万9500円)かい離マイナス1%〜プラス4%の範囲に収まろう。今週一気にマイナスかい離になるとも思えないので、日経平均の予想レンジは下値1万9500円〜上値2万0300円とする。
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