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カネの動きは「遅れて」やってくる!
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/42793
2015年04月12日(日) ドクターZ 週刊現代 :現代ビジネス
量的緩和政策を巡る「決着」がついてきた。'08年頃から米英、'13年からは日本、'15年からは欧州が実施したことで、量的緩和に批判的な学者も世界ではほとんどいなくなった。量的緩和でインフレ率が上がるということもコンセンサス化し、いまやその理論的メカニズムの細かい論争に移っている。
ところが日本では、物価を論じるときに、「マイルドなインフレ」がなぜベストなのかがわからないという人がいる。企業というのは「よりよいものをより安く」ということをやってきたわけで、その結果、物価が下がるというのは「消費者」にとってはいいことなのでは、と。
また、最近のニュースで、民間金融機関が日銀に預ける当座預金残高が過去最高になると聞けば、「金融緩和をしても市中にカネが回らないのだから意味がない」とくさす人もいる。
確かに、高いインフレ率、たとえばかつての狂乱物価のような20%くらいのインフレになるのはまずい。そこまでいくと、値段が信じられず、あってないようなものになる。ものの値段が誰の目にもわかるというのは資本主義経済では重要なことだ。
ではデフレ、つまりインフレ率がマイナスになるとどうだろうか。すべてのものの価格の動きがマイナスになるだけなら、さほどたいした問題にはならない。
しかし、世の中にはなかなかマイナスになりにくいものもある。正規雇用者の賃金と金利だ。インフレ率がマイナスで賃金がプラスなら、既得権者の正規雇用者には嬉しい。しかし、会社にとっては大変なので、会社は正規雇用者を減らす動きに出る。結果、失業者が増えたり、低賃金の非正規が増えるので、社会全体でまずいことになる。
加えて、インフレ率がマイナスなのに金利がマイナスにならないと、実質的な金利負担が重くなる。そうなると、企業が銀行からカネを借りて投資をしなくなる。これも経済にとって大打撃だ。
ということで、デフレもまずい。となると、高いインフレでもなく、デフレでもない、マイルドインフレがベストということになる。インフレのコストは、だいたいインフレ率2%くらいが最小になるという研究が多い。日本を含めた先進国がインフレ目標を2%と決めているのはそのためだ。
ただし、ここまでわかっても、「金融緩和をしても市中にカネが回らない」との批判に答えるのはなかなか大変だ。
量的緩和は燃えやすい藁に火をつけただけ。火はそのうち薪につき、大きな火になる。これと同じで、大きなカネの動きは、遅れて起こる。
量的緩和でカネが世の中に出回り始めた時に、ビジネスをすぐに起こして成功する人もいるし、遅れてビジネスをする人もいる。銀行からカネを借りてビジネスをやろうとする人が多くなってから、銀行の貸し出しが伸びるので、本格的なカネの動きは景気のピークから2〜3年遅れて起こる。だから、いま市中に十分にカネが回っていないと感じるのは正しい動きになっている証でもある。
今まで20年間もデフレだったので、新しい世界が読めない人が多い。しかし、新しい時代を読めば大きなチャンスが待っている。
『週刊現代』2015年4月18日号より
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