06. 2015年4月11日 00:22:33
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日欧の金融緩和、長期的には米国の利益=WSJ調査 By BEN LEUBSDORF 2015 年 4 月 10 日 10:01 JST欧州中央銀行(ECB)本部 MARTIN LEISSL/BLOOMBERG NEWS ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が実施したエコノミスト調査によると、米国以外の中央銀行による積極的な緩和策は、長い目で見れば米経済の利益になりそうだ。 欧州中央銀行(ECB)と日本銀行の緩和策に関する質問では、「これら主要国の経済成長を促す努力が米国の長期的成長には不可欠」との回答が69%に上った。一方、9%は「(日欧の)通貨安競争が米国の成長を阻害する」と回答。残りの22%は、米国への正味の影響は最小限にとどまるとの見方を示した。 エコノミック・アウトルック・グループのチーフ・グローバル・エコノミスト、バーナード・ボーモール氏は「米国は現在、かつてないほど世界経済へ組み入れられている。このため、他の主要国経済が慢性的に停滞しているときに、米国の企業活動が無限に拡大するとは望めないということだ」と指摘した。 WSJの調査は4月3日から7日にかけて行われ、企業と学界のエコノミスト55人が質問に回答した。 米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げの時期を議論する一方で、他国中銀の多くは景気てこ入れとインフレ押し上げを目的に金融政策を緩和している。日銀は昨秋、「量的・質的金融緩和」を拡大した。ECBは3月に大規模な量的緩和を開始した。 こうした政策相違の結果の一つとして、ドルがユーロと円に対して上昇しており、米国の輸出品が海外市場で割高になっている。イエレン議長をはじめとするFRB高官らはドル高について、少なくとも当面は輸出の伸びやインフレ、ひいては経済全般の妨げになると懸念している。 だがFRB高官らは、米国の主要貿易相手である日本や欧州の経済成長が加速することの長期的利益についても指摘している。 パウエルFRB理事は8日の講演で、ECBの緩和策に言及し、「短期的には純輸出がやや逆風に見舞われるかもしれない」と述べた。「だが長期的には、われわれにとっても実際に利益となり得る」と語った。 原文(英語):WSJ Survey: What’s Good for Europe and Japan Is Good for America, Eventually 米利上げ、問題は時期より方法 By JON HILSENRATH 2015 年 4 月 10 日 15:03 JST
FRB本部(ワシントン) Andrew Harrer/Bloomberg News 米連邦準備制度理事会(FRB)が公表した3月の連邦公開市場委員会(FOMC)議事録は、FRBが短期金利の引き上げ開始を決めた場合、運用面で真の課題に直面する恐れがあることを思い出させた。 FRBは債券購入策の一環として、銀行システムを2兆7000億ドルもの準備金であふれさせた。ポケットに入れたお金と同様、銀行準備には利息が付かない。この膨大な資金が重しとなり、短期金利はゼロ付近にとどまっている。しかし、利上げすべきときが来たら、FRBはこうした準備金を減らすか、準備金と引き換えに民間金融機関へゼロより高い金利を支払うかしなければならないだろう。FRBは利上げサイクルの初期段階としては後者を選んでいたが、議事録では高官らが利上げを成功させるための手段を決める上で、いまだに苦労していることが明らかになった。 市中銀行はFRBに口座を持っているため、銀行により高い金利を支払うのは簡単だ。だが、この準備金は銀行システムからマネー・マーケット・ファンド(MMF)など他の金融機関へ流れ出ており、高官らは銀行システム外の金利を管理するために考案した新たな手段、つまり翌日物リバースレポ・オペ取引の利用に乗り気ではなくなっている。FRBは昨年9月、この取引の1日当たりの上限を3000億ドル(約36兆1600億円)に定めた。3月の議事録によると、高官らは自ら設定した上限を無視する必要があるかもしれないという考えで一致している。 FRB高官らはまた、一部証券を償還前に売却したり、償還金を再投資せずそのまま償還させたりして、準備金を予定より早急に削減する方法も検討していた。3月のFOMCで準備金削減の新戦略が話し合われていたことは特筆すべきだ。というのも、ここ数カ月の高官発言は、この点に関して計画が決まっているような印象だった。つまり、利上げ開始後まで資産は売却せず、保有証券の満期償還金の再投資を続けるという計画だ。彼らは今やその戦略に確信を持っていないようだ。議事録では「多数の出席者が、こうした点や、利上げ開始後のさまざまなシナリオ下での政策正常化の詳細について、具体的な計画を検討することは有益だと提案した」とされている。 FRB高官は何年もの間、銀行システムにこれほどの準備金があっても、利上げすべきときに必要な手段は全てそろっていると主張し、国民を安心させようとしてきた。だが議事録では、FRBが年内の利上げを目指す中、それを実施する仕組みについては検討中であり、市場の不透明感の原因になり得ることが明らかとなっている。 原文(英語):Grand Central: Big Question for Fed Is Not When, But How To Raise Rates 米国の物価、ドル高の影響長引く見込み By JUSTIN LAHART 原文(英語) 2015 年 4 月 10 日 15:56 JST 今年2月オークランドに入港するコンテナ船。米労働省は10日、3月の輸入物価指数を発表する Ben Margot/Associated Press ドル高の影響が米国の物価を抑えている。この影響がなくなるまで、しばらくかかるだろう。 過去1年間のドル相場の上昇は類をみないものだった。米連邦準備制度理事会(FRB)が算出するドルの実効為替相場指数でみると、ドルは3月に主要通貨に対して前年比で20%上昇した。FRBのドル実効為替指数の算出は、1971年に当時のニクソン大統領が金本位制から離脱しドル安誘導に踏み出した直後に始まった。3月の上げはこの算出開始以来で最大だった。 ドル相場の動きは、米労働省が10日に発表する3月の輸入物価指数に直ちに反映されるはずだ。ウォール・ストリート・ジャーナルによるエコノミスト調査では、全体の輸入物価は前月比で0.3%下がり、前年同月比では10.1%の低下が見込まれている。 だが物価下落の大半は原油相場の下落に関連したものであるため、より適切な尺度は燃料を除いた輸入物価となる。UBSのエコノミストは、燃料を除いた輸入物価は前月比0.2%下がり、前年同月比で1.7%の低下になると予想している。 このドル高を背景とした輸入物価の下落が、米国の消費者物価を圧迫している一因で、インフレ率がFRBの目標とする2%を大きく下回っている理由の一つだ。ドル相場の影響は一時的なものだが、FRBはいずれにしても引き締め政策をとる前にこの影響がなくなる兆しを確認したがっているかもしれない。 だが、影響はそうすぐには消えないだろう。海外からの購入は数カ月前にドル建て契約することが多い。このため、今年のドル高は、大半がまだ輸入物価に反映されていない。ドル相場が消費者物価に及ぼす影響は、はっきりするまで最大1年かかる。輸入品やこれを材料として生産される製品が店頭に並ぶまでには、時間がかかるのだ。販売業者もすぐに値段を調整はしない。 そのため、このところ見られるドル相場安定の兆しが続いた場合でも、最近のドル高による物価への圧力は、夏の初めまで残るだろう。FRBがもはや6月の政策会合での利上げを目指さずに9月にしようとしていると思われるのは、これが一因だ。そしてドル高傾向がさらに強まれば、利上げ時期も疑わしくなるだろう。 |