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東日本大震災の復興事業は地方創生の失敗モデルになっている
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150408-00046201-playboyz-pol
週プレNEWS 4月8日(水)6時0分配信
日本各地で地方政治の担い手を選ぶ、4年に一度の「統一地方選」が間近に迫った(4月12日と26日の2日間に分けて実施)。
世間の関心は低いが、安倍政権が掲げる「地方創生」の是非を問う意味も含め、実はものすごく大事な選挙であることは間違いない。
だがそもそも、現状の「地方創生」はうまくいっているのか? そこで今回は、「地方」の厳しい現実をよく知るふたりに語ってもらった。
ひとりは、実業家で投資家の山本一郎氏。最新技術動向や金融市場に精通するデータ分析と未来予想のスペシャリストで、東京大学政策ビジョン研究センターと慶應義塾大学SFC研究所が共同で立ち上げた「政策シンクネット」では高齢社会対策プロジェクト「首都圏2030」の研究マネジメントを行なっている。
もうひとりは、一般社団法人エリア・イノベーション・アライアンス代表理事で内閣官房地域活性化伝道師の木下斉氏だ。
* * *
山本 間もなく統一地方選ですが、人口減少、高齢化、自治体の財政逼迫(ひっぱく)…といった問題山積の日本の地方をどうしたらいいかと考える時、木下さんの活動が参考になるのではないかと思いました。あらためて肩書を拝見すると、「地域活性化伝道師」なんですね。
木下 「伝道師」は小泉政権の頃にスタートした制度で、面白い名称なので任命された時から使っています。ただ私は、基本的に民間人として経営的な視点から地域の市街地や商店街などの活性化、まちづくり会社の立ち上げをやっています。これからの地方は自ら稼ぐことを考えないといけないですよね。
多くの地方議会は、国から補助金を取ってくるだけの仕組みのひとつになっていて、それが不幸の連鎖を生んでいます。地方の都市圏で見ていけば、それなりに人もいて経済活動もやっているのに地元の名士の人たちも「金を引っ張ろう」ということばかり考えていますし。
山本 私は都市型の高齢化問題を検証する「首都圏2030」という研究プロジェクトを担当しているのですが、地方都市でも、例えば岩手県の一関や花巻を見ても、観光資源をもっとうまく使いながら集客して活性化できるはずです。それなのに今は多くの場合、地域活性化だと言った瞬間に「補助金はどのぐらい出るのか」という反応になりやすいです。
木下 国のほうが「補助金を配らなきゃいけない」という前提でやっていて、もらう人たちも当たり前のようにもらいにくるという。
山本 大前提として、必要なお金を必要なところに渡すのは当然のことです。東日本大震災にしても、人々が緊急避難的に生きていくために住居の問題や道路の復旧といった生活基盤に関わる部分をきちんと保障するのは、基本的に政治の責任ですから。
木下 自然災害は誰にでも降りかかる可能性がありますから、そこまではいいんです。しかし、そこで終わらない。町によっては売り先が決まっていないのに不便な場所で大規模な整備をやってしまう。そこに上下水道を整備して、電気も通しちゃって…となると、一体、維持費はどうするんだと。
山本 「もらえるものはもらっておこう」から「もらうんだったら何かしておこう」みたいな話になり、不要な事業が大量に発生し、それが後々、自治体の重荷になる。
木下 阪神・淡路大震災後の復興事業では、二千数百億円をかけて再開発した神戸市新長田地区の商業施設が現在はほぼ壊滅してしまった。ところが、規模は違えど今回また同じような復興計画に同じようなコンサルが入り込んでたくさん動かしている。
東日本大震災の復興は、ある意味で従来の失敗事例の集大成になってしまっています。お金をたくさん使って、そこで生活する人のベストバリューになるどころか、むしろ負担になるという…。
山本 最初に資金をぼんと入れて施設をつくるだけで、運営・維持コストを考えないことが多いんですよね。それに、何も考えずに例えば、道の駅を整備してそっちに商店街のお客さんが取られました、となると、民間の商業活動を阻害しているだけですから。
木下 一方、民間側の方々が政治力を発揮し始めて「民業圧迫だ!」という声が上がると、今度は公共スポーツ関連施設や宿泊施設の利用料が劇的に高くなり、誰も使わない施設になったりもする。結局、最初からその施設をつくる代わりにバウチャー(民間施設利用割引券)でも配って、普通に民間の宿に泊めればいいという話なんですが。
●この続きは発売中の『週刊プレイボーイ』16号にてお読みいただけます!
(構成/佐藤信正 撮影/�橋定敬)
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