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日本の国富が3分の1に 円安戦略で貴重な資源が海外に流出〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150408-00000002-sasahi-bus_all
週刊朝日 2015年4月17日号
日本の国富(資産から負債を引いた国全体の正味資産)は13年末で3048.7兆円。これを1ドル=80円で換算すると約38兆ドル、1ドル=120円で換算すると25.4兆ドルになる。
「過度な円安で、約3分の1の国富が失われたことになる。日本の経済規模は金融政策によって3割以上小さくさせられたのです」
円安戦略は間違いと指摘するのは、慶応義塾大学大学院経営管理研究科の小幡績准教授だ。
「一部の輸出企業が潤う一方で、円安による原材料や外国製品の高騰で国民の生活コストは上昇している。さらには、割安になった日本の企業や不動産、水資源、優秀な人材といった貴重な資産も外国人によって買い漁られるかもしれない」
小幡氏は、黒田バズーカ後の日本経済は、小泉政権時代の「実感なき景気回復」と同じ構造だという。当時も円安で輸出は伸び、景気は拡大したが、資源高も相まって食料品や必需品の価格が上がり、国民の多くは恩恵を享受できなかった。
「そもそもインフレに固執すること自体が間違い。アベノミクスが目指している円安と物価上昇も、長期的にはむしろ国を貧しくする。需要を弱くしたのは将来不安から消費を手控える『デフレマインド』であって、物価下落そのものではないのです」(小幡氏)
日銀は物価上昇率を差し引いた実質金利の低下を狙っている。だが、これも間違っているという。企業への融資や住宅ローンの金利はすでに十分低いうえ、税制優遇などで設備投資も進んでおり、多少金利が下がったところで需要の先食いが起こるにすぎないからだ。
日銀出身で経済アナリストの池田健三郎氏は、「黒田バズーカの出口戦略への切り替えがターニングポイント」という。
「今は日銀が国債を買い上げて、市中に通貨供給量を増やすことで金利を低く抑えています。物価上昇率が目標に達したとき、緩和縮小へと政策転換が行われる。そのときに日本国債の信認に揺らぎが生ずれば、金利の上昇が加速するだけでなく、利払い負担に財政が耐えられなくなるリスクもないとはいえない」
17年4月に予定される消費税10%への増税と、金融引き締めが同じタイミングで起こると、財政危機のシナリオが現実味を帯びると警告する。
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