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公的資金、株買い越し 最大の5兆円:昨年度、年金・日銀・かんぽ 相場押し上げ存在感、株価形成にゆがみも
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投稿者 あっしら 日時 2015 年 4 月 08 日 02:51:34: Mo7ApAlflbQ6s
 


公的資金、株買い越し 最大の5兆円
昨年度、年金・日銀・かんぽ 相場押し上げ存在感、株価形成にゆがみも

 公的マネーが株式相場を押し上げている。2014年度、公的年金や日銀による日本株の買越額は5兆円を超え、過去最大になった。海外投資家を上回って東京市場の最大の買い手に浮上した。需給環境が大きく改善し、日経平均株価が14年度に3割上昇した原動力となった。ただ、急ピッチな資金流入で一部の銘柄に株価形成のゆがみが生じたとの指摘もある。

 公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は昨年10月、運用資産に占める国内株式の比率を12%から25%に高めることを決めた。これ以降、国債を売った資金で日本株を大量に購入してきた。

 14年4〜12月の購入額は約2.6兆円だった。今年1〜3月にさらに買い増し合計額は3兆円を超えたもようだ。株価の低迷時に資金を振り向けた08年度(約2.7兆円)を上回り、「旧年金福祉事業団の時代を含めても最大の購入額」(ゴールドマン・サックス証券の西川昌宏金融商品開発部部長)になった。

 政府は1992年から数年間、年金福祉事業団や郵便貯金などを通じ株価を下支えしたことがある。株価維持策(PKO)と呼ばれ、購入額は年2兆円程度とされた。14年度のGPIFの買いはPKOを上回る規模だ。

 92年当時との違いはGPIFだけでなく日銀や他の共済年金も日本株の「買い手」になったことだ。日銀は昨年度、上場投資信託(ETF)を前の年度に比べ3割多い1.7兆円購入した。昨年10月末からは追加緩和の一環として購入ペースを3倍に増やしている。

 国家公務員共済組合連合会などの共済年金もGPIFと同様に国内株式の比率を25%に高める方針で、すでに日本株を買っているもようだ。かんぽ生命保険も株式投資の拡大に動いている。GPIFや日銀の買いにこうした動きを加えると、14年度の公的マネーの買いは5兆円を大きく上回った計算になる。

 東京証券取引所によると、年金などの売買が含まれる信託銀行の14年度の買越額は約3.5兆円と、6年ぶりの規模になった。海外勢は約2.5兆円の買い越しで、企業の積極的な自社株買いで事業法人も約1兆円を買い越した。一方で個人は約6.5兆円と大幅な売り越しだ。日本企業の株主が、個人から年金や海外勢に変わる構図だ。

 2日の日経平均株価は大幅に反発し、終値は前日比277円高の1万9312円となった。「GPIFの買いは3月末でほぼ一巡した」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘投資情報部長)とみられているが、日銀がETFを年3兆円規模で買うなど公的マネーの支えは続いており、下値不安は小さい。株式上場を目指すゆうちょ銀行も株式投資を増やす方針を掲げている。

 ただ、大規模な公的マネーの流入で市場の価格形成に影響もでている。公的マネーは幅広い銘柄をまとめて買う運用が中心だ。企業業績や株価水準に関係なく買うため、地方銀行や鉄道など普段は売買が少ない銘柄が急騰する場面が多く見られるようになった。

 上場企業の業績は15年3月期に最高益を更新した可能性が高い。日本株の上昇は好調な企業業績が反映されており、海外の株式市場の水準と比べても割高感はないが「一部には需給でしか理由を説明できない値動きが散見される」(みずほ証券の永吉勇人チーフクオンツアナリスト)という。

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年金、成長性で銘柄選別 GPIF今年度運用方針 利回り向上へ転換

 約137兆円の運用資産を持つ年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は市場全体の値動きに連動する投資手法を転換し、2015年度から成長企業を選んで投資する「アクティブ運用」の比率を高める方針を決めた。相場全体を押し上げてきた公的マネーが企業の成長性を見極めるようになり、投資家からの評価を高める企業努力が一段と重要になる。

 GPIFは2日発表した15年度の運用計画と今後5年間の中期計画に運用手法の見直しを盛り込んだ。これまでは東証株価指数(TOPIX)など市場全体の値動きを示す株価指数に連動した運用が中心だった。15年度はこの方針を改めてアクティブ運用と併用する。

 アクティブ運用では資金を振り向ける銘柄を選別することで、市場平均を上回る運用利回りを目指す。GPIFは将来の物価上昇を見据え、アクティブ運用の比率を高めて利回りの向上を狙う。

 GPIFの国内株式のアクティブ運用残高は14年3月末時点で2兆5671億円で、国内株の12%にとどまっていた。アクティブ運用の数値目標は定めず、段階的に増やしていく方針だ。

 指数連動の投資では個別企業の動向に関係なく一律に株価が上昇するが、アクティブ運用では自己資本利益率(ROE)の高さなど企業の稼ぐ力で株価に格差が生じる。市場関係者からは「企業業績が株価に反映されやすくなる」(外資系証券)と評価する声が多い。

[日経新聞4月3日朝刊P.3]

 

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