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異次元緩和の「2年で2%」未達をどう考えるか(ダイヤモンド・オンライン)
http://www.asyura2.com/15/hasan95/msg/182.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 4 月 08 日 00:14:05: igsppGRN/E9PQ
 

異次元緩和の「2年で2%」未達をどう考えるか
http://diamond.jp/articles/-/69682
2015年4月8日 山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員] ダイヤモンド・オンライン


■約束の価値は、結果か、行動か インフレ目標はまだ有効

 2013年4月、新しく日銀総裁に就いた黒田東彦日氏が、「異次元緩和」あるいは「黒田バズーカ」と称された大がかりな金融政策を発表してから、丸2年が経過した。

 当時、消費者物価の上昇率を「2年で2%」に持っていくことを目標として掲げたが、現実の消費者物価上昇率は、昨年の5月に3.4%まで上がったものの、今年の2月では2.0%と、消費税率の引き上げ分の影響を2%とするとほぼゼロまで戻っている。物価目標は現時点では未達と言わざるを得ない。これをどう評価すべきか、様々な意見が交わされている。

 異次元緩和を含むアベノミクスの政策パッケージ全体としての「効果」を考えると、失業率は顕著に低下したし(2012年度末4.3%→今年2月3.5%)、物価上昇率も2012年度末の前年比▲0.2%よりは好転しており、効果はプラスだったと評価していいだろう。

 他方、「2年で2%」が実現しなかったことで、今後、日銀のアナウンスメントの効果が薄れるのではないか、という批判がある。

 経済の環境として「年率2%程度の物価上昇率が現実にも人々の期待にも定着することが望ましい」というのは、今でもその通りだと考えておくべきだろう。目標が実現できた方が今後の日銀の情報発信が信用されるだろうから、今後の金融政策がやりやすくなる。これはその通りだ。

 黒田総裁が説明の際に強調する原油価格下落という予想外の外的要因があったとしても、通貨の価値を上手に落とすことができたなら、より望ましかったとは言える。

 2%のインフレ目標は、「2年で実現する」という期限の目処に関して結果を出すことはできなかったが、一方で、「物価上昇率が2%に達するまで政府・日銀が金融緩和を継続する」という行動の意味での約束は守られているから、現在でも一定の有効性を持っている。

 インフレ目標が今後の金融政策を縛る効果があるからこそ、ここまでの円安になったし、それによって株価と景気(特に雇用)に対するプラス効果があった。政府・日銀が「2%」の目標を降ろさないことは、適切であるし、必要でもある。

■表れてきた異次元緩和の「効果」と「副作用」

 筆者は、大筋として、金融緩和は適切であり必要だと考えているが、異次元緩和の開始から2年が経過して、様々な面に影響が表れてきた。そして、その影響には「効果」と考えるべきものと、「副作用」と考えるべきものがあるように思う。

 アベノミクスによる大きな変化は「円安」だが、これは総合的にはプラスの「効果」の方が今のところ大きい。日本企業の競争力は、輸出企業だけでなく、国内需要中心の企業も輸入品との競合関係が楽になって好転しているし、訪日する外国人旅行者の増加も経済にプラスだ。実質賃金は下がったが、これは、雇用市場の需給を改善するために必要な変化だった。

 一方、現在の1ドル120円程度の為替レートは、企業業績を後押しし景気を改善すると共に、雪崩を打って海外に向かいつつあった投資をある程度国内に回帰させる効果も持っており、おおむねこの辺りの水準が維持できるなら「ほどよくてかつ十分な円安」だろう。

 ただし、海外との関係、さらに国内の円安がデメリットになる産業・消費者の利益との対立からすると、ここから先の円安は、これまでの円安ほど、差し引きで大きなプラス効果を持たないと考えるべきだろう。今後さらに大幅な円安を実現することは難しいかもしれない。

 長期金利が人為的に低く抑えられていることは、デフレ脱却に向けた総合的な効果としてはプラスだろう。今後、インフレ率が目標を達成した後の長期金利変動と、それが金融システムに与えるかもしれないショックには気を配る必要があるが、日銀による長期国債購入は、ETFによる株式購入よりも弊害が小さいと筆者は考える。

 一方の短期金利だが、日銀の補完当座預金制度に基づく超過準備に対する付利(0.1%)は、民間銀行の資金が日銀に滞留するインセンティブとして働いており、金融緩和の効果を抑制している。実質的マイナス金利の適用も含めて、この見直しは、今後、追加緩和の手段になり得る候補の一つだろう。

 日銀のETF(上場型投資信託)を通じた株式購入、さらに、日銀が国債を買う一方で国債を売却した公的年金の株式投資で株価の上昇を図る「公的相場操縦」は、株価が「安い」と言える水準でないことと(東証一部の平均PERで18倍台は既に安くない)、公的機関が民間企業の株式を大量保有することの企業ガバナンス上の弊害を考えると、そろそろ効果よりも副作用が大きくなりつつあるのではないかという懸念を覚える。

 記者会見で「株式のリスクプレミアムにはまだまだ縮小の余地がある」と大胆にも株価が安すぎるという判断を黒田総裁が示した2年前と今とでは、状況が異なる。

日銀には、「ETFの購入は株価がいくらに上昇しても続けるのか?」、「日銀は日本企業の大株主になるが、保有株式の議決権行使についてどう考えるのか?」という2点を是非質問してみたい。後者に関しては、議決権行使に熱心に関わるのは民間企業経営への介入だし、大株主がこれに関わらないのは、企業統治の空洞化を招く。今のところ、日銀は、日本版スチュワードシップ・コードへの賛同には手を挙げていないようだが、その心は何であるのか。

■消費税率引き上げが不適切だった17年の「不景気の予約」も懸念

「2年で2%」が未達となった原因には、原油価格の下落もあろうが、昨年行われた消費税率の8%への引き上げの悪影響が大きかった。金利がほぼゼロになって、金融緩和に直接的な効果が望めない状況にあって、本来なら総需要を追加したいところで、逆に需要を吸収してしまったのだから、大きなブレーキ要因となった。

 実質GDPの推移を素直に見るとして、昨年1〜3月期の駆け込み需要、4〜6月期、7〜9月期の反動減、10〜12月期の回復と辿って、+5.1→▲6.4→▲2.6→+1.5と、4期合算してマイナスになる状況では、物価は上がりにくい。

 効果の行き先が偏る公共事業でなく、減税や給付金の方が望ましいが、デフレ脱却を目指すプロセスにあっては、増税で財政を引き締めるのではなく、財政収支の赤字を拡大すべきだ。財政・金融共に、物価が上昇した場合に引き締めるのが適切だ。状況に関係なく一定のペースで財政赤字を減らすのは愚策だ。

 昨年10月に発表された追加緩和がアクセルとなって、景気は拡大傾向を取り戻したように見えるが、2017年4月には再び消費税率の引き上げが予定されており、いわば「不景気が予約されている」点には注意が必要だ。

 一方、黒田総裁は今年に入ってから「2015年度を中心とする期間」に2%の物価上昇が達成される可能性が高いと述べるようになっており、「を中心とする期間」という奇妙な言い方に2015年度の達成は難しいとするニュアンスを漂わせている。順調にいっても2%の達成は2016年度にずれ込みそうだ。

 仮に、2016年度に物価上昇2%が達成されたとしても、2017年に再び昨年のような景気の後退を引き起こすと、「物価上昇期待」が十分定着しない可能性がある。デフレ脱却を十分達成したと判断してから消費税率を上げるのが妥当だと思われるが、官邸と官僚の力関係によっては、そうできないリスクがある。

■投資家は今後の経済環境をどう考えるべきか

 主に、株式に投資している投資家が今後のマクロ経済環境をどう考えるべきか、簡単にまとめておこう。

 まず、デフレ脱却が遠のいたことは、早期に金融引き締めに至らないという点で、株式投資家にとってはむしろ好都合だ。

 今年の最大の山場は、年後半に予想されるアメリカの金融引き締めへの転換がどの程度の影響力を持つかだろう。日本の株式市場は近年「世界の中のローカル・マーケット」の性格を強めているので、日本だけ金融緩和が継続していても、株価がもたないリスクがある。

 ここがクリアできた場合、2016年に、アベノミクス相場の総仕上げ的な「バブルっぽい」状況を迎える可能性はまだ残っている。2015年内に株式のポジションを落とそうとする慎重な投資家も、ポジションを完全に落としきってしまうと、2016年に高値で買い直したくなるような事態に追い込まれる可能性がある。

 2017年に物価目標達成に伴う金融緩和の「出口」と消費税率の引き上げが重なった場合、株式投資的にはかなりの逆風になりそうだが、前回の消費税率引き上げを教訓として、日銀は、金融引き締めへの移行をかなり遅らせるのではないだろうか。

 言うまでもなく、マクロ経済の先を読むことは簡単ではない。加えて、投資において経済の読みを有効に使うためには、他の投資家よりも優れた読みを持つ必要があり、ますます難しい。

 現実的な対応は、株価水準に応じてマイルドに投資額を調整することだろう。

 東証一部平均の株価に対する利益の利回り(「益利回り」;PERの逆数になる)で「5%以下は株価が高く、7%以上は株価が安い」というくらいに見ておくのがいいように思う。将来、インフレ目標が達成されて、実質長期金利が1%〜2%程度のプラスになってくると、益利回りが7%くらいないと「安い」とは言い難いので、この辺を目処にすべきだろう。

 現在の利益水準(日本経済新聞社、今期予想ベース)だと、2万1000円は高く、1万5000円は安い、というくらいのレベル感だ。

「標準」と思う投資額を、株価が高い場合に少々減らし、株価が安い場合に少々増やす、というくらいの要領だ。「あれこれ考えてはみたが、現状維持だ」という状況は、投資にあっては普通のことだ。

 

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コメント
 
01. 2015年4月08日 23:13:33 : 5aI56T6iSI
インフレ円安は国民財産を減らす、金融などでやってはならないこと
最低時給を上げて360円/ドルに戻すべき、GDP/人は世界一、財政赤字も解消します

▼日本の対外純資産は325兆円と世界ダントツに膨れ上がっている(2013年)、これがデフレ円高の根源ですよ
膨れ上がった原因を是正して頂きたい


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