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父娘が対立した大塚家具 娘勝利後の業績はどうなる?
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投稿者 rei 日時 2015 年 4 月 07 日 23:11:04: tW6yLih8JvEfw
 

父娘が対立した大塚家具 娘勝利後の業績はどうなる?
2015/4/7
 大塚家具の株主総会が3月27日に開かれました。経営方針の違いによって、父である勝久会長と娘である久美子社長の間で対立が生まれていましたが、久美子社長の会社提案が61%の賛成を得て圧勝する形で決着しました。
 そもそも、なぜこの問題は大騒動にまで発展したのでしょうか。父娘の争いの影響か、今年3月の売上高が前年同月比で37.8%減に落ち込みました。今後の大塚家具の行方はどうなるのでしょうか。今回は、この問題の背景にあるものと今後について私の意見を述べたいと思います。
 大塚家具の父娘問題が、株主総会で一旦、決着しました。冒頭でも触れましたように、娘である久美子社長の勝利に終わったのです。
 大塚家具は、かつて日本で業界最大手の家具メーカーでした。バブルの余波が残る1990年代、勝久会長の「高級路線」が大当たりして、急成長しました。
>> リーマン・ショックを境に業績が悪化
リーマン・ショックを境に業績が悪化
 業績の推移を見てください。1996年から急速に拡大しています。2001年が営業利益のピークとなり、売上高712億円、営業利益75億円を計上していますね。以降も、戦後最長の景気拡大と呼ばれる2007年にかけて、この業績を維持していました。

 ところが、リーマン・ショックが起こった2008年を境に、売上高と営業利益ともに落ち込み始めます。そのまま業績はほぼ回復せず、低迷を続けて、直近の2014年は営業赤字に転落しました。
 しかし、これはひとえに景気のせいとは言えません。競合であるニトリやイケアなどは、低価格商品を提供することでリーマン・ショック後も成長し続けているからです。ニトリは増収増益を続けました。
 また、2013年以降はアベノミクス景気によって資産効果が生まれ、高級品や宝飾品、家具などの高額商品の売り上げが伸びていました。ところが大塚家具は、その波にも乗ることができませんでした。
 同社は基本的に高価な家具を取り扱っており、営業の手法も、一人ひとりのお客様に担当者がつくというやり方をしていますので、いわゆるワンランク上の家具屋という位置づけになっています。ただし、2008年以降は景気が急速に悪化しましたから、消費者も低価格商品を求める傾向が強まり、大塚家具の販売方法では業績が伸びにくくなってしまったのです。
 ここで戦略を見直そうとすることは、当然のことだと思います。勝久会長が続けてきたビジネスモデルが合わなくなってきているという可能性は否定できません。
 そこで久美子社長は、「従来の高級路線を考え直して、どんなお客様でも来てくれるようなお店にするべきではないか」と言い始めました。これが、父娘の対立を生んだ原因だと言われています。
>> 財務内容は健全な優良企業
財務内容は健全な優良企業
 しかし、はっきり言って、これは株主総会にまで諮って決めることではありません。久美子社長の考えはもっともだと思いますが、それは取締役会で話し合うべき内容であって、株主総会で決める話ではないのです。たとえ取締役会で揉めたとしても、議決すればいいのです。
 そもそも、経営コンサルタントの立場から考えますと、戦略が異なるのであれば、業績の悪い1〜2店舗を使って新しい業態を実験してみればいいはずです。むしろ、すべての既存のやり方をいっぺんに変えてしまう方が高リスクですから、一部の店舗でやるべきです。
 大塚家具は、財務内容が抜群の会社です。会社の中長期的な安全性を示す「自己資本比率(純資産÷資産)」は74.2%もあります。一般的に、小売業は15%あれば安全だと考えますから、同社はかなり高い水準であることが分かりますね。さらに、有利子負債も全く持っていませんし、現預金も月商の2カ月分以上を持っていますから、財務内容という意味では、非常に優良な企業なのです。
 つまり、資金余力は十分にあるわけですから、新しい店舗を出すことも、一部店舗で新しい販売方法を試すこともできるわけです。このようなことは、取締役会のレベルで決められる話ではないでしょうか。
 私自身、経営コンサルタントとして、多くの会社の取締役会に出席してきましたが、株主総会に戦略を諮ることなどあり得ません。
 では、なぜ、この問題が株主総会にまで発展してしまったのでしょうか。それはやはり親子の問題が絡んでいるからではないかと思います。
>> 無借金経営が溝を深める結果に
無借金経営が溝を深める結果に
 久美子社長は、一橋大学を卒業した後、富士銀行(現みずほ銀行)に就職し、当時、女性では珍しい総合職として働いていました。非常に優秀な方なのです。勝久会長にとっては、目の中に入れても痛くないほどかわいがっていた娘さんだったと思います。
 その娘に、自分の成功体験モデルを否定されたのですから、勝久会長はプライドを大きく傷つけられたのではないでしょうか。
 勝久会長は、元々は家具職人でした。一介の家具職人が、一部上場企業をつくるというのは、よほど優秀な人でなければできません。自身で築き上げた会社は、いわば本人にとってはプライドの源泉ですし、実際に彼の方針で業績を上げ、社員たちを守り続けてきたのです。
 その成功モデルを、リーマン・ショック後の業績不振という流れはあったものの、真っ向から否定されたわけです。しかも自慢の娘に否定されて、かなりプライドが傷つけられ、ショックだったのではないでしょうか。結果として、余計に感情的になったのではないかと思います。
 もう一つ、同社にとって不幸だったのは、先にも申しましたように「無借金企業」だったということです。つまり銀行が介入する余地がなかったのです。
 一般的には、取締役会で揉める、あるいは親子で揉めるなどした場合、大塚家具くらいの規模の会社なら、メーンバンクの頭取などが仲裁に入ることがあります。融資している立場ですから、発言権が強いのです。ところが、大塚家具の場合は融資を全く受けていませんから、銀行が介入する余地もなく、親子の対立が加速してしまったのではないかと思います。
>> 大塚家具この先はどうなる?
大塚家具この先はどうなる?
 では、この先、大塚家具の行方はどうなるのでしょうか。
 4月1日に発表になった今年3月の売上高は前年同月比で37.8%減でした。大塚家具では「創業者の大塚勝久氏と大塚久美子社長との委任状争奪戦の影響で客足が落ちた」と説明しています。
 そしてこの先、鍵を握るのは、9カ月後から1年後の業績です。
 3カ月や半年程度では、新業態を試すことは難しいかと思いますが、9カ月から1年あれば、徐々に結果が見えてきます。そこで業績が回復していれば、今回の株主総会の議決は正しかったという話になります。
 勝久会長としては、あまり心地良いものではないでしょうが、しぶしぶ認めざるを得なくなるでしょう。株主もそのシナリオを望んでいます。
 しかし、何らかの理由で結果が出なかった場合は、再び対立が表面化し、大きく揉めるのではないかと思います。勝久会長は大株主として株式を保有していますからね。
 今後もまた株主提案を提出する可能性があるとの話が出ていますが、これは「業績が上がらなかった場合はもう一度責任を問う」ということです。感情的なもつれが非常に強くあると思いますので、そういう点では、これからもなかなか決着がつかないのではないかと思います。
 ただし、業績さえよければ他の株主からは批判が出にくいので、やはり業績次第だと言えます。特に、9カ月から1年後に注目です。
>> 久美子社長の戦略は奏功するのか
久美子社長の戦略は奏功するのか
 勝久会長の方針が正しいのか、久美子社長の方針が正しいのかは、誰にも分からないのが実状ではないでしょうか。確かに、これまでの業績の推移を見ますと、従来のビジネスモデルが機能していない可能性はありますが、かといって久美子社長の新しい方針が正しいかどうかは、やってみなければ分からないのです。
 もっと言いますと、久美子社長が就任した2009年以降も業績は落ち続けていました。未曾有の大不況が日本を襲っていたという背景もありますが、ニトリなど競合他社は伸びていたわけですから、見方を変えれば社長の力量がなかった可能性は否定できません。このあたりのところは、久美子社長が、今後、新たな戦略を打ち出し、業績が出るかどうかでしか判断しようがありません。
 経営というものは、やってみないと分かりません。誰がどんなことを言っても、自分が社長になって実行してみなければ、結果は分からないのです。
 ですから、社長が考えている新しい方針を、まずは業績の悪い店舗から早急にテスト的にやってみればいいのではないかと思います。
 今回の問題で、大塚家具のイメージは大幅にダウンしてしまいました。家具は家庭を象徴する商品でもありますので、親子の対立は特に致命的なものであったと思います。
 今後、そのイメージを回復できるのか。久美子社長の新しい方針が効果を現してくるのか。9カ月から1年後の業績に注目です。(つづく)
>> 本連載は、BizCOLLEGEのコンテンツを転載したものです
◇   ◇   ◇
小宮一慶(こみや・かずよし)

経営コンサルタント。小宮コンサルタンツ代表。十数社の非常勤取締役や監査役も務める。1957年、大阪府堺市生まれ。81年京都大学法学部卒業。東京銀行に入行。84年から2年間、米国ダートマス大学エイモスタック経営大学院に留学。MBA取得。主な著書に、『ビジネスマンのための「発見力」養成講座』『ビジネスマンのための「数字力」養成講座』(以上、ディスカバー21)、『日経新聞の「本当の読み方」がわかる本』、『日経新聞の数字がわかる本』(日経BP社)他多数。最新刊『ハニカム式 日経新聞1週間ワークブック』(日経BP社)――絶賛発売中!
小宮コンサルタンツ facebookページ:
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