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大手PR会社のお粗末な総会 不祥事や事業失敗の説明準備不足、議長更迭、会社提案否決
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150407-00010000-bjournal-bus_all
Business Journal 4月7日(火)6時1分配信
世間の目が、大塚家具の株主総会に向いていた3月27日。都内で開催された共同ピーアールの株主総会でも、筆頭株主と会社側との間でプロキシーファイト(委任状争奪戦)が展開され、こちらは会社側提案が否決された。
プロキシーファイトの対象となったのは、取締役の選任議案だ。通常、取締役の選任議案は会社側提案を覆すのが難しいとされる。議決権行使助言会社として有名な米・ISS(インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ)が反対票を投じるよう株主に助言した場合でも、なかなか過半数を獲得するところまではいかない。
共同ピーアールは2011年に創業社長による会社資金の私的流用が発覚し、内部調査委員会に続いて第三者委員会による調査が入り、創業社長やその協力者の役員が辞任した。
さらに昨年2月、創業者個人が保有していた20.6%の株式が、6.5%を保有する大株主の広告代理店・新東通信に譲渡され、同社の保有割合は27%に上昇した。同年9月までに買い増しをして、現在は29.9%になっている。そして、今回の株主提案は、この新東通信から出されたものだ。
●3割保有の筆頭株主と会社側が対立
新東通信は今年2月に、株式の保有目的を「業務提携を行い、関係を密にする」から「株主提案を行うため」に変更し、今回の総会に臨んでいる。
共同ピーアールには現在4人の取締役がいるが、いずれも今回は改選期に当たっていない。新東通信はこの4人に加え、同社の社員2人、会長・谷喜久郎氏の子息で現在社長を務める谷鉄也氏、弁護士の平英毅氏、船井アドヴェンチャー代表取締役の下土井幸雄氏の合計5人を、新たな取締役として送り込む株主提案を行った。このうち、谷氏、平氏、下土井氏の3人は社外取締役で、平氏と下土井氏は有価証券上場規程に定める独立役員の定義にも該当するという。
つまり、現職4人の解任こそ求めないものの、取締役会で過半数を取れるだけの取締役の受け入れを求めたことになる。会社側は、新東通信から受けた提案理由の全文を公開している。
要約すると、
(1)14年12月期で3期連続赤字である
(2)14年12月期にウェブ関連のプロジェクトで5億7500万円もの赤字を出しており、この額は13年12月期の純資産の58%にも当たる巨額である。事業計画の見通しの甘さと経営管理能力の欠如の結果であり、上場会社としての信用を失墜させている
というものだ。
「この経営危機に、筆頭株主として送り込む取締役とともに対応してもらいたい」というのが新東通信の主張であり、言っていることは確かに筋が通っている。しかし、共同ピーアール側はこれに反対し、同社社員3人を含む5人の候補者を立てた。その理由は、
(1)約3割の株式保有で、経営を事実上支配するのはおかしい
(2)ウェブ事業の損失は一時的なもので、創業者による会社資金の私的流用で悪化した本業のPR業は順調に回復している
(3)新東通信が立てた候補者にPRのプロはいないため、経営力の強化には役立たない
(4)他の顧客が嫌がる
というものだ。
4番目の「他の顧客が嫌がる」については、少々解説が必要だろう。要するに、電通や博報堂、アサツー ディ・ケイなどの大手広告代理店は規模こそケタ違いだが、新東通信とは同業である。共同ピーアールに新東通信から取締役が入ると、同業者である新東通信に自社の情報を把握されてしまうことを懸念し、共同ピーアールに仕事を頼まなくなるのではないか、という意味だ。
●会社側の敗北は、まるでオウンゴール?
当日、この総会に出席していた闘う個人投資家・山口三尊氏によれば、議決権総数1万2293個に対し、行使議決権総数は1万425個(行使割合84.8%)、うち新東通信案への賛成が5988個で、行使議決権総数1万425個に対する割合は57.4%だ。新東通信の保有議決権は3776個(行使議決権総数に対する割合は36.2%)だったので、新東通信は21.2%の支持を獲得したことになる。
山口氏は、総会での質疑応答を自身のブログで公表している。その詳細を見てみると、会社側の敗北はまるで「オウンゴール」という印象だ。山口氏も「もともと、3割保有で取締役会の過半数を押さえるという点に納得がいかなかった。だから、会社側に投票しようと思って総会に出席したが、あまりにも会社側の応対が頼りないので、あきれて新東を支持してしまった」という。
総会の経過を簡単にまとめると、以下の通りになる。まず、議長を務めていた共同ピーアールの上村巍社長が、ウェブ関連事業で5億7500万円の損失を出したいきさつについて、こう説明した。
・官公庁から受注したウェブサイトの構築と運営である
・11万ページと膨大で、高齢者や障害者が支障なくアクセスできるものを求められた
・13年5月にウェブ制作会社と共同で受注、その際に取締役会決議は経ていない
・担当者が病気になり、ウェブ制作会社も倒産した
・発注元の官公庁とも協議し、撤退も検討したが、それは望ましくないと判断した
・今後は保守業務なので、追加損失はない
・今後の再発防止策として、一定金額を超える場合は取締役会に報告することとし、外部者にプロジェクトマネージャーの補佐をしてもらうシステムにする
・この損失がなければ、8000万円の黒字になるはずだった
この説明が終わった時点で、上村議長の議長解任動議を新東通信の谷鉄也社長が出し、それが通って議長は谷氏に交代した。この時点で、ほぼ勝負は決したと考えていいだろう。
このあと、取締役が「ウェブ制作会社は共同受注ではなく、下請けだった」と訂正し、取締役会決議なしで契約に至ったことについて株主から責められると、「反省しています」と語った。
また、創業社長の資金流用について、会社として刑事告訴していないことなどを責められると、「流用額はすでに全額回収しているので、刑事告訴はしない」と釈明。株主が上村社長を無能呼ばわりすると「あなたに無能呼ばわりされる覚えはない」とやり返すなど、不毛なやりとりが繰り返された。
懸念事項の「他のクライアントが嫌がるのではないか」という質問に対して、谷議長は「新東自身が大手広告代理店とは恒常的な取引があり、新東が経営参加しても支障があるとは思えない」と回答した。
そして、結果は会社側の負けである。山口氏は「純資産が6割近く減るような巨額の損失を出した取引なのに、社長でありながら内容が頭に入っていないのでは話にならない」と語る。確かに、ウェブ関連事業での失敗を指摘されるのは十分に予想できたことであり、総会までに単独で議決権の過半数をとれるだけの委任状を入手できていなかったならば、メモを用意し、リハーサルもやっておくのがセオリーではないか。そのような準備をせずに総会に臨んでいるのは、あまりにも楽観的すぎる対応といわざるを得ない。今回の共同ピーアールの敗北は、まさにオウンゴールだったということだろう。
文=編集部
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