03. 2015年4月06日 23:25:43
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FRBの利上げ時期、雇用低調で混迷深まる―6月は見送り濃厚 By JUSTIN LAHART 原文(英語) 2015 年 4 月 6 日 09:44 JST 製品生産部門の雇用者数の前月比増減数 3日に発表された3月の米雇用統計を受け、連邦準備制度理事会(FRB)の今後数カ月の道筋はより明確になった。だが、決して良い意味ではっきりしたわけではない。 米労働省が発表した3月の非農業部門就業者数は前月比12万6000人増にとどまり、エコノミスト予想の24万7000人増を大きく下回った。これは約1年ぶりの低い伸びだ。さらに悪いことに、1月と2月の就業者数は合計6万9000人下方修正された。FRBは6月の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを見送るかという疑問があるとすれば、問題は解決した。 実際、世界経済の低迷が米雇用市場の重荷になり始めている兆候がある中、大半のエコノミストが予想する9月の利上げさえ疑わしく見える。 3月の雇用市場の弱さは、製造業、建設業、鉱業・林業など製品生産部門で特に顕著だった。同部門の雇用者数は合わせて前月比1万3000人減と、2013年7月以来の落ち込みを記録した。 これは寒波が一因だったようだ。仕事には就いているが天候のせいで働かなかったとする人の数が増え、製品生産部門にはそうした影響が表れやすい。 しかし、もっと気掛かりなのは海外の景気減速による影響だ。海外諸国の景気低迷を受け、原油などのコモディティー(商品)価格は下落し、ドル高が進んでいる。これはとりわけ、石油採掘を含む鉱業や、世界を主戦場とする製造業に打撃を及ぼしている。 おそらく雇用市場はこれらの難題にうまく対処できるだろう。米国にとって原油安はマイナス面よりもプラス面の方が大きく、時間の経過とともに雇用者数を純増させるはずだ。冬場には、悪天候だけでなく、西海岸の港湾労働者ストライキや企業の在庫取り崩しなどが景気を圧迫していたが、春になればこれらの要因がなくなり、経済は改善すると予想される。そして、雇用にも弾みがつくはずだ。 ただ、FRBは確信を持ちたいと考えるだろう。前述の海外要因の影響もあってインフレ率は目標の2%をはるかに下回っており、それを踏まえるとなおさらだ。現在の大きな問題は、FRBがそのような確信を得て9月までに利上げするかどうかだ。フェデラルファンド(FF)金利先物市場では、9月会合で利上げが見送られる確率はほぼ五分五分とされている。 6月の利上げの可能性がなくなっても、FRBの次の動きに備えた慢性的な不透明感は消えない。向こう数カ月の経済指標がどう転ぼうが、誰かが必ず足をすくわれるだろう。 FRBの利上げ計画、債券市場の機能不全で複雑化 MICHAEL J. CASEY 2015 年 4 月 6 日 15:36 JST 米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長 CHIP SOMODEVILLA/GETTY IMAGES 米債券市場が機能していない。 銀行は債券売買に消極的、短期金融市場で担保として使われる債券は不足気味、社債発行は大型案件に偏り過ぎなど、市場は至る所で機能不全に陥っている。このため、米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げ準備を進める中、信用創造プロセス、すなわち経済的目標を達成するための伝達メカニズムをどれほどうまく管理できるのかについて疑問が浮上している。金融混乱を招くリスクを冒していることも示唆しているかもしれない。 債券市場関係者は流動性がないことに不満の声を上げている。市場に十分な量の買値や売値が立たないため、投資家は自由に持ち高を積み上げたり解消したりできないのだ。しかも、連邦公開市場委員会(FOMC)が約8年ぶりとなる利上げの時期をめぐって意図的に不透明感を助長していることも重なり、投資家は大きな損切りを強いられかねない状況にある。そしてこうしたリスクは、銀行や資産運用会社の債券投資意欲を一段と減退させる可能性がある。 ドイツ銀行のエコノミスト、トルステン・スロック氏は「予測可能性を高める必要のある市場で流動性が不足している一方、FRBはより柔軟性を持ちたい意向だ。この両者間に矛盾があるように思える」と述べている。「FOMCの決定内容にかかわらず、投資家の持ち高調整に伴い、債券市場は流動性不足の影響で大きく反応する恐れがある」という。 国際決済銀行(BIS)は先月、「債券市場では脆弱(ぜいじゃく)さが増している兆候に加え、市場ごとの流動性状況の違いが増大している様子が見受けられる」と指摘した。BISによると、問題なのは「マーケットメイクが最も流動性の高い証券に集中しており、流動性の低い債券ではマーケットメイク機能が悪化していることだ」。つまり、資産運用会社などの機関投資家が流通市場ですぐに取引できるよう債券の売買や保有を担うはずのブローカーやディーラーは、米国債や発行残高の多い社債に特化しており、それほど取引量の多くない債券のマーケットメイクを行っていない。 これは金融政策がうまくいっていないということだ。FRBは過去6年間、数兆ドルもの米国債と住宅ローン担保証券(MBS)を買い入れ、金利をゼロ近くに維持してきたが、その第一の目標は信用市場のリスク取引を推奨し、借り入れや経済プロジェクトへの投資を助長することだ。 今のところ、FRBは少なくとも全体でみると企業の借り入れは急増したと言えるだろう。米通信大手ベライゾン・コミュニケーションズが2013年に過去最大規模となる490億ドルの社債発行を行うなど、大手企業は過去最低の金利をうまく利用してきた。しかし、調達した資金の大半は、高リスクの新規投資よりもむしろ、より割高な既存債務の返済に充てられた。中小企業の社債発行については、これまで目立った動きはない。 さらに、FRBの政策引き締め後は、流動性不足を背景に社債利回りがしかるべき水準よりも大きく上昇すれば、大手企業の発行さえストップする可能性がある。 一方、銀行やマネーマーケットファンド(MMF)、その他の機関投資家が短期資金を貸し借りする2兆6000万ドル(約309兆円)規模のレポ市場では、担保として利用される高格付け債券が不足している。米国債の不足が原因で短期金利は変動幅が拡大し、オーバーナイトの資金が必要な銀行などにとって調達コストや不透明感が増している。余分な資金コストの負担を強いられる場合もある。FRBは利上げ開始後、市場からの資金吸収と金利目標達成のために「リバースレポ」取引を実施する予定だが、担保不足の問題を受け、同取引の規模を拡大せざるを得なくなるとの意見もある。FRBはこれまでのところ、企業などの民間の借り手に回るはずの資金まで吸収してしまう恐れがあるとしてリバースレポの増額には消極的だ。しかし、選択の余地はないかもしれない。 FRBが金融のリスクテイクを助長するために6年にわたり前例のない政策措置を講じてきたにもかかわらず、市場がいまだ乗り気でないのはなぜなのだろう。 多くの米大手銀行は金融危機後の規制強化に原因があると主張している。これらの規則の主眼はまさに、危機を招いた過度のリスク取引を抑えることだった。矛盾する二つのことを同時に実現することは不可能だ。 高頻度取引(HFT)を手掛ける企業との競争も、従来のブローカーやディーラーが不採算を理由にマーケットメイクを渋る一因となっている。HFTとは、超高速コンピューターを使い、一般のブローカー・ディーラよりも速いスピードで価格のゆがみを捉えて利益を上げる取引を言う。HFT業者が代わりに流動性を供給することは本質的に問題ではないが、唯一厄介なのは、これらの業者が肝心な時に取引から手を引く傾向があるという点だ。この場合、相場は激しく変動し、「フラッシュ・クラッシュ(瞬時の急落)」が起きる恐れがある。 さらに、FRBの政策そのものも影響している。「量的緩和」第3弾は昨年10月に終了したが、FRBはバランスシートの規模を維持するため、保有する米国債とMBSの償還資金をいまだ再投資に回している。このように民間債券よりも政府系債券が特別に買い支えられていることを考えると、欧州中央銀行(ECB)の国債買い入れ措置が始まったいま、超低利回りのユーロ圏の債券から逃げ出した資金が米国債やMBSへ過度に流れ込む状況は変わらないといえる。 理想的な解決方法は、流動性を分散化させ、ファンドマネジャーらが仲介業者を介さずに直接取引できる効率的な市場を生み出すことだろう。その奨励策として米資産運用大手ブラックロックは、社債の仕組みを標準化して銘柄や年限を減らすことを提唱している。そうすれば、ファンドマネジャーが相互に取引できる債券の範囲が拡大することになる。また将来的には、即時決済や、ビットコインで利用されているような透明性の高いデジタル台帳に基づく決済技術の導入により、取引相手の破綻リスクが減ることで相対取引に参入する投資家が増えるかもしれない。 あいにくFRBにはそうした技術革新を待つ時間はない。景気情勢から年内の利上げを余儀なくされた場合、現在の壊れたモデルに向き合うしかないだろう。 市場が嫌気するのを恐れて行動を見送ることは許されない。そのようなことをすれば、債券市場の機能不全はいっそう深刻化し、FRBの出口戦略は実現が一段と難しくなる。FRBには、一部の投資家を犠牲にするしか選択肢はないかもしれない。 原文(英語):Broken Bond Market Complicates Fed’s Plan to Raise Rates
ドル、最大の上昇局面は収束か IRA IOSEBASHVILI AND MIN ZENG 原文(英語) 2015 年 4 月 6 日 11:50 JST FRBの利上げ時期予想を先送りする投資家が増えている J. Scott Applewhite/Associated Press ドルの記録的な上昇相場は、原油市場や米企業決算など至るところに影響を及ぼしたが、現在は収束しつつある。 投資家の多くは、ドルの長期見通しを強気に維持しているが、最大の上昇局面は過ぎたとの見方もある。 ドルの失速は、米経済が冷え込みつつあるという懸念の高まりを反映している。こうした懸念は、3月の雇用統計が予想を大きく下回ったことで強固なものとなった。米連邦準備制度理事会(FRB)が2015年末まで利上げを先送りするとみる投資家は増えている。 わずか数カ月前、多くの投資家はFRBが06年以来となる利上げを6月にも実施すると予想していた。米金利が上昇すれば、ドルを保有する妙味は高まる。 低迷する欧州経済の見通しが明るみを帯びていることも、ドルを圧迫している。今年1-3月期にドルの急伸を促したのは、ユーロ圏国債の利回り低下につながった欧州中央銀行(ECB)の量的緩和だ。ドルはユーロに対して12.7%高となり、四半期ベースでは1999年のユーロ導入以来最大の伸びを記録した。 バンクオブアメリカ・メリルリンチのグローバル金利・為替部門責任者、デービッド・ウー氏は「ドル高の容易な部分は間違いなく終わっている」と述べた。 米国の投資家にとって、ドルの上昇が失速すれば良くも悪くも幅広い影響を受ける可能性がある。 ここ1年の大幅なドル高は、米多国籍企業の収益減少の原因とされている。ドル高で国際市場での価格競争力が落ち、株価や生産活動に影響したためだ。 左からWSJドル指数、ドル買い・ユーロ売りの持ち高、ISM製造業景況指数 ドルが下落すれば、こうした逆風が弱まる上、原油価格の下げ圧力が抑えられ、疲弊したエネルギー部門には安心感が与えられるかもしれない。原油は世界的にドル建てで取引されるため、ドルが下落すれば他通貨を使用する買い手にとって原油は割安となり、需要が支えられる。 LPLフィナンシャルの経済担当チーフストラテジスト、ジョン・カナリー氏は「ドル安はさまざまな面で救いになり得る」と述べた。ドルの上昇継続は雇用統計を受けて一層難しくなると言う。 3日の外国為替市場では、3月の雇用の伸びが予想を下回ったことを受け、ドルが約2週間で最大の下げを記録した。米労働省が発表した3月の非農業部門就業者数は前月比12万6000人増となり、エコノミスト予想の24万8000人増を大幅に下回った。 米経済の成長見通しが不確かなため、投資家はFRBの利上げ時期予想を先送りにしている。 雇用統計の発表後、フェデラルファンド(FF)金利先物市場に織り込まれている9月利上げの確率は33%から28%に低下した。12月の確率は発表前の65%から57%に低下した。 ニューバーガー・バーマンの為替運用担当者、ウゴ・ランチオーニ氏は、FRB高官のハト派的発言や低調な経済指標が相次ぐ中、ここ数週間でドルの買い持ち高を「大幅に解消した」と言う。 「ドルの上昇が止まると言っているわけではない」が、「ドルは以前より選択肢として魅力が薄れている」と述べた。 一部の投資家は、ここ最近の米経済指標が低調な結果でなくても、ドルの上昇相場は一服していたと指摘している。 ブルーベイ・アセット・マネジメントの投資適格債部門共同責任者、マーク・ダウディング氏は、足元のドル高について「20年に一度程度しか実現が見込めないような動き」だと述べている。 昨年夏からドルの見通しを強気としているダウディング氏は、ドル買い・ユーロ売りの持ち高をここ数週間で縮小している。それでも、ユーロが年内にパリティ(等価)、つまり1ユーロ=1ドルまで下落すると予想している。 「ドルは上昇すると引き続き予想しているが、はるかに緩やかな動きとなるはずだ」と語る。 ユーロ圏経済に見られる改善の初期兆候も、ドルの上昇の妨げとなっている。 先週発表された3月のユーロ圏製造業景況指数(PMI)は10カ月ぶりの高水準に達した。欧州中央銀行(ECB)は3月の理事会で、今年と来年の経済成長率見通しを上方修正した。 それでも、投資家はFRBがECBより先に利上げすると予想している。 サンライズ・キャピタル・パートナーズのクリストファー・スタントン氏は「欧州は緩和のペースを落としそうになく、米金利は今なお上昇が見込まれる」と指摘している。「それに変わりはない」とした上で、結果的にドルはユーロに対して長期的に上昇傾向が続くはずだと述べている。 ウォール街の所得格差が縮小―CEO報酬伸び鈍化 PETER RUDEGEAIR 原文(英語) 2015 年 4 月 6 日 12:10 JST 画像をクリックして、米金融機関各社のCEOの報酬の変化を見る> 米金融機関の社員の報酬はやや増加しているが、トップの報酬はそれほど増えていない。 5大金融機関が証券取引委員会(SEC)に届け出た報酬関係の書類をウォール・ストリート・ジャーナルが調べた。それによると、金融危機以降主に経営陣の報酬減少を受けて、各社の最高経営責任者(CEO)と社員との報酬格差は大幅に縮小している。5大金融機関とは、JPモルガン・チェース、ゴールドマン・サックス・グループ、モルガン・スタンレー、バンク・オブ・アメリカ、シティグループ。 2014年の5大金融機関の社員の平均賃金は過去最高に達したが、CEOの報酬は金融危機以前の水準を依然大きく下回ったままだ。CEOの報酬と社員の平均賃金の格差は124倍で、2006年の273倍から大幅縮小した。 それでも、金融機関首脳の報酬は高水準であることに変わりはない。これら5大機関のトップの昨年の報酬は合計9250万ドル(約110億円)で、1人当たり平均は1850万ドルだった。しかし06年の報酬合計は1億7360万ドルで47%の減少となる。一方、社員の平均賃金は17%増の14万8740ドルで、06年の12万7379ドルを上回り、データを収集した過去9年間で最高だった。 ゴールドマン・サックスのブランクファインCEO Agence France-Presse/Getty Images ウォール街のCEOの報酬は、金融危機以降規制当局や株主の目が厳しくなったことで抑えられているのに対し、社員の賃金は回復している。ゴールドマン・サックスのブランクファイン会長兼CEOの2007年の総報酬は6850万ドルに達したが、現在の各社CEOの報酬は一般的には業績によりばらつきはあるが、1000万〜2500万ドル。 ウォール街の社員の平均報酬が金融危機以前を上回ったのは、人材をプライベートエクイティー・ファンドやIT企業に奪われることに企業側が神経を尖らせているからだ。CEOは巨額の報酬を得ていたことから、規制当局や株主の監視が厳しくなっている。 過去50年間の全業種の所得格差は拡大している。労組と関係のあるシンクタンク、エコノミック・ポリシー・インスチチュート(EPI)によると、公開企業上位350社のトップと社員平均の報酬格差は1965年に20倍だったのが、2013年には約296倍に達した。 http://jp.wsj.com/articles/SB12112543374486784702504580563300953382616
ユーロ圏PPI、景気加速の兆候示すか RICHARD BARLEY 原文(英語) 2015 年 4 月 6 日 15:21 JST ユーロ圏の生産者物価指数(PPI)は2013年8月から前年同月を下回っている Martin Leissl/Bloomberg News 市場はインフレの有無にかかわらず、あらゆる数字に目を光らせている。 ユーロ圏の生産者物価指数(PPI)は、対象範囲の広い総合消費者物価指数(HICP)ほど経済指標として重視されない傾向がある。それも理解できる。生産者物価は変動が大きくなりがちで、金融政策を動かすものではない。だが、欧州中央銀行(ECB)の国債購入に伴い、ユーロが急落し、域内に成長の兆しが浮上し始めている。このため、グリニッジ標準時(GMT)7日午前9時(日本時間午後6時)に発表される2月のユーロ圏PPIには注目の価値がある。 1月のPPIは前月比0.9%低下、前年同月比3.4%低下と大幅に落ち込んだ。ユーロ圏のPPIは2013年8月から前年同月を下回っている。1月はルクセンブルク以外全ての国で前年同月から低下した。 これは消費者物価と同様、エネルギー価格によるところが大きい。1月はエネルギー価格を除くPPIが前年同月比0.7%の低下だった。ただ、企業には価格決定力がないことがうかがえる。このため、各社が見通しを一段と控えめにとどめるリスクは高まっており、事業の拡大や投資計画に悪影響が及ぶ恐れもある。これがひいては、始まったばかりの域内景気回復の持続可能性を脅かしている。現段階では追い風も多いが、成長はまだ広範囲には及んでいない。 ユーロ圏の生産者物価指数(PPI)上昇率、前年同月比 だが、生産者物価は明るい兆しを見せ始める可能性がある。消費者物価上昇率は2月と3月に過去最低を上回った(3月速報値は依然、若干のマイナス圏内だが)。また、ユーロ圏の回復に製造業者が加わっていることを、景況調査が示している。 調査会社マークイットが1日発表した3月のユーロ圏製造業景況指数(PMI)確報値は52.2と10カ月ぶりの高水準を記録し、新規受注が上向いた。調査対象企業は雇用のペースがここ3年半余りで最高の水準に達したと報告した。重要なことに、調査では投入価格が7カ月ぶりに上昇する一方、販売価格がおおむね横ばいだった。ユーロ安が輸入物価に影響している兆候もある。ドイツとフランスではいずれも、輸入物価が2月に前月比で上昇した。 一方、収縮した信用は企業にとって緩和しつつある。最も重要なのは、債務を抱えることをいとわないように思われることだ。製造業者は力を取り戻せるかもしれない。 ユーロ圏の生産者物価が持ち直せば、経済成長が一段と加速していると信じるもう一つの理由になりそうだ。また、昨年のデフレ懸念が取り越し苦労だったことを示す証拠にもなるだろう。
英中銀、4-6月期も金利据え置きへ By JASON DOUGLAS 2015 年 4 月 6 日 14:54 JST 英イングランド銀行(中央銀行)は政策金利を過去最低の0.5%で維持しているが、4-6月期の終わりも1-3月期の始まりと同じく、この水準に据え置くことがほぼ確実だ。しかし、こうした現状維持の裏に隠れているのは、次に取るべき措置をめぐって議論が高まりつつあるという中銀内部の実情だ。
英国では、原油価格の下落を受けてインフレ率が急低下しており、2月は前年同月比でゼロとなった。これは、50年ぶり低水準だ。カーニー総裁をはじめとするイングランド銀行の高官らは、今後数カ月は低インフレが続き、その後年内に物価圧力が再度上昇するとの見通しを示した。 一方、英国経済は引き続き強い。失業率は低下しており、国際通貨基金(IMF)は2015年の英国の成長率見通しを2.7%としている。これは、先進国としては最も高い部類に属する。 金利デリバティブ(金融派生商品)市場の動向からは、英中銀が来年早期に利上げすると投資家が見込んでいることがうかがえる。金融政策委員会(MPC)の9委員はこのところ全会一致で据え置きを支持しているが、その意見は割れ始めている。 高官らは将来の利上げについて、ゆっくりとしたペースで着実に行われる可能性が高いとの見方では一致しているが、その開始時期について合意していないことを示す兆候が増えている。 9委員のうちマカファーティー、ウィール両委員は、労働市場の改善を示す指標発表がさらに相次げば、早期利上げを支持する可能性もあるとの見方を示している。一方、ホールデン理事は、低インフレが予想以上に長期化するようなら、利下げの必要もあり得るとしている。カーニー総裁を含め、委員の過半数は、当面の様子を見極めたいと考えているようだが、一部委員は景気について、より強気の見解を示している。 今後の見通しについては、二つのリスクが台頭している。一つ目は英ポンド高だ。カーニー総裁は、ポンド高を受けて委員らが引き締めを先送りする可能性があることを示唆している。これは、米連邦準備制度理事会(FRB)の一部高官がドル高に対して懸念を示しているのと同様だ。二つ目のリスクは、5月に予定されている英国の総選挙だ。今回の選挙結果はいつになく予想が困難であり、今後はある程度、政治の不安定化が見込まれる。 インド中銀、来年初のインフレ目標達成困難か By GABRIELE PARUSSINI 2015 年 4 月 6 日 14:28 JST インド準備銀行(中央銀行)のラジャン総裁は、年初から思い切った政策に出た。インフレ率が低下する中、総裁は市場の意表を突く利下げを2回実施し、政策金利を7.5%まで引き下げた。多くのエコノミストは12月までに0.25%の利下げがもう1回だけあると予想している。
インフレ率は1年半前に付けた2桁台のピークから大きく低下し、今年2月には世界的な商品(コモディティー)価格の下落を背景に5.4%まで減速した。ただ、最近は原油相場が持ち直し、インド国内の食料品価格が上昇する可能性もあるため、準備銀行が目標通り来年1月までにインフレ率を6%まで押し下げることは困難を極めそうだ。 先日、インドの国内総生産(GDP)が当初推計から上方修正されたため、準備銀行は統計の「謎」にも注目している。ラジャン総裁が直近の利下げに踏み切った3月4日、インド経済の一部セクターは「弱い状態」にあると言及した。この発言について、世界でも有数の高水準に修正されたインドのGDP成長率と矛盾しているとの指摘は多い。 さらに、ラジャン総裁が国内動向をにらみつつ、米連邦準備制度理事会(FRB)の動きに目を光らせているのは間違いない。国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は3月にムンバイを訪れた際、FRBが実際に利上げを開始すれば、新興国市場は2013年のように急変動に見舞われる可能性があると指摘した。当時はFRBが金融引き締めを準備していると発表したのをきっかけに、新興国相場が急落した。エコノミストらはFRBが年内に利上げすると予想している。 ロシア中銀、利下げ継続する見込み By ANDREY OSTROUKH 2015 年 4 月 6 日 14:12 JST ロシア銀行(中央銀行)は今年、景気の縮小に歯止めをかけるため、インフレが徐々に低下するのに伴い政策金利の引き下げを継続するとみられている。
ロシア中銀は昨年12月、通貨ルーブルが過去最安値をほぼ連日で更新する中、緊急措置として主要政策金利の1週間物入札レポ金利を17%へ引き上げた。だがその後、今年1月には同金利を2%引き下げて金融市場を驚かせた。3月にも1%の利下げを実施した上、追加緩和の用意があることを示唆した。 中銀のトゥリン第1副総裁は、現在の主要政策金利(14%)がまだ「極めて高く」、低迷する経済の貸出活動を阻害していると指摘した。 中銀は景気の急減速の方が緊急の懸念だとして、今年は根強い高インフレへの対処にあらゆる手を尽くすことはないと表明している。 ルーブル安を背景に、2月のインフレ率は17%付近へ達した。だが、すでにピークをつけた可能性があり、当局は年末までに12%へ低下すると予想している。中銀はインフレ率が来年に目標の4%まで低下するとみており、主要政策金利はそうした下げに追随する公算が大きい。 国内の納税の影響で、ルーブル相場は3月後半に上昇した。輸出企業は通常、税金を納付するためドルやユーロ建ての収益をルーブルに転換する。国際原油価格がやや安定していることも、ルーブルの持ち直しに寄与した。中銀は2月上旬以降、為替市場でドル売りやユーロ売りの介入を実施していない。 だが、原油価格が下落したり、ウクライナの将来をめぐり西側諸国との緊張が高まったりすれば、ロシアの金融市場で新たな混乱が発生し、中銀に方針転換を強いる可能性はある。
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