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日銀短観では、まだ好景気とはいいがたい photo Getty Images
日銀発表「家計のマインド」アンケートが示した追加緩和のリスク
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/42765
2015年04月05日(日) 真壁 昭夫「通貨とファイナンスで読む世界経済」 現代ビジネス
日銀が実施したアンケート(生活意識に関するアンケート調査)によると、わが国の物価は上昇していると感じる家計が増えている。金利が低すぎるという意見も目立つ。アンケートの結果をみる限り、わが国の家計の多くは先行きに対して慎重な見方を持っているといえる。
また、日銀短観の内容を見る限り、企業の業況感も必ずしも堅調とは言えない。物価の動向を考えると、日銀が追加緩和を打ち出す可能性は高まっているとみられる。しかし、追加緩和が家計の慎重な姿勢を解きほぐすとは言えない。そこに、金融政策のリスクと限界がある。
■なぜ家計、企業のマインドは高まらないか
4月に入って日銀が公表した短観、そして生活意識に関するアンケート調査を見ると、企業、家計が先行きに慎重であることが読み取れる。特に、慎重な家計のマインドは、収入への不安に影響されている。それが、企業の業況にも影響している可能性がある。
円安や株価が家計のマインドをサポート出来たなら、投資への意欲は高まってもよいはずだ。しかし、日銀のアンケートからは、その動きが確認できない。家計は攻めよりも守りを重視し、物価が高いとすら感じている。雇用環境への楽観的な見方も相対的には少数派だ。
節約志向は将来への予備的動機を高め、貯蓄への選好を高めやすい。ここで注目されるのは金利水準だ。日銀のアンケートでは過半数が“金利が低すぎる”と回答している。物価が高く、金利が低すぎるという心理がある以上、市場は成長期待に支えられた投資よりも、市場は短期的な投機熱、非合理的な動きに左右されやすいといえる。
■追加緩和は成長のリスク要因になる恐れも
市場参加者が金利は低すぎると考えるなら、資金フローは債券から株式などのリスク資産に流れやすい。一方、家計は金利の低さは景気の弱さを示しているととらえ、予備的動機に駆られやすい。そうした前提に基づくと、相場は短期的な資金の出入りに影響されやすくなる。追加緩和への期待は短期的かつ投機的な動きに拍車をかける恐れがある。
家計が、金利が低すぎると考えていることを踏まえると、追加緩和をしても消費者のマインドは改善しづらい。それは物価の上昇を抑制する可能性がある。需給ギャップが解消しない以上、デフレ脱却は容易ではない。その結果、追加緩和の可能性も付加的に高まりやすい。その期待は円安や株高に表れる。
賃金の上昇期待こそが、慎重なマインドを解消する要因と考えられる。そのためには、企業の活力が求められる。一方、金融政策は金融資産の期待収益率に働きかけることはできるが、直接、賃金を増加させることはできない。
結果的に追加緩和策の実施は投機的な動きを助長し、相場の変動率の上昇と、資産価格の下落による景況感の悪化リスクを高める可能性がある。それが金融政策のリスクだ。株価などを尺度に景気を考えようとすると、期待が実体経済をリードするという発想に陥りやすいともいえる。追加緩和の効果は冷静に考えるべきだ。
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