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会社の利益約11億でも8億の報酬を得るあの社長 「辞める」と言い続け高額報酬を懐に
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150404-00010003-bjournal-bus_all
Business Journal 4月4日(土)9時30分配信
2013年5月〜14年4月、国内で年収1億円以上の報酬を得た上場企業役員が443人出たという。
「報酬のベースである基本報酬、業績による報酬、賞与の3項目合計だけを取り出すと、報酬ベース総額のトップは、日産自動車のカルロス・ゴーンCEOの9億9500万円となる。2位はユーシンの田邊耕二会長兼社長(8億3400万円)、3位はユニバーサルエンターテインメントの岡田和生会長(8億1000万円)などが続く」(3月18日付東洋経済オンライン記事『“年収1億円超”の上場企業役員443人リスト』より)
筆者はかねがね、「日本の上場企業の役員報酬は欧米に比べて低い。退任後10年間も株主訴訟の対象となるリスクを考えればもっと高くてもよい」と主張してきた。『2013年役員報酬・賞与の最新実態』(労務行政研究所)によれば、日本では社員数1000人以上の大企業でも社長の年間報酬は平均5643万円で、これは社員の平均年収の8〜10倍程度である。一方、アメリカではCEOの年収は13年、社員の331倍に上っていたという調査結果がある。
公表されているユーシン社員の平均年収額は552万円なので、田邊氏の年収は社員の151倍に当たり、日本の経営者としては突出している。国内企業で14年3月期の役員報酬(個人)が高かった上位100社では、役員と社員の平均年収の格差が平均44倍だった(14年7月24日付東京新聞より)。ちなみに、今月3日、田邊氏の14年11月期の役員報酬が14億500万円と、上場企業を対象とする開示制度が始まった10年3月期決算以降の報酬額としては過去最高だったことも明らかになっている(以下、ユーシンと田邊氏に関する記載については、13年11月決算期ベース)。
●日産ゴーン社長より407倍も過分な報酬?
業績さえ上げていれば、それに応じて経営者は多額の報酬を得ても良い。では、ユーシンの田邊氏の報酬を、日産のゴーン氏、ユニバーサルの岡田氏と比べてみよう。比較に当たってCOE(Compensation on EBIT)という指標を使う。COEというのは筆者が策定した経営者報酬の適性度だ。経営者が、自身の得ている報酬の何倍の経常利益(EBIT)を自社にもたらしているのかを表す。経営者が報酬1円につき会社にいくらの経常利益をもたらしたかという、わかりやすい指標だ。年商1000億円以上の大企業であれば、COE100以上が望ましい。
13年度、ゴーン氏は9億円以上の報酬を得ているが、会社に対して5271億円もの経常利益をもたらしている。ゴーン社長のCOEは529.8となる。ユーシンの経常利益額は10億6000万円ほどだったので、田邊氏のCOEは1.3にすぎない。また両社の規模は年商ベースで68倍もの開きがある。68倍規模の日産を経営しているゴーン氏より、田邊氏は407倍過分な報酬を得たといえる。同様にユニバーサルの岡田氏のCEOは29.2だったので、田邊氏は岡田氏より23倍ものCOE報酬率で受領したということになる。つまり、上位3社長の中で田邊氏の報酬はCOE的には極めて突出している。
14年11月30日付本連載記事『話題のユーシン社長公募、なぜ失敗?』でも取り上げたとおり、田邊氏は高額報酬を得る一方、ここ数年間後継経営者探しで迷走を続けている。上場企業としては珍しく2度にわたって後継社長を新聞広告などで募集した。そして実はその前にも1人外部から迎え入れている。つまり3度も外部から後継社長を迎え入れようとした。
しかし、現在でも田邊氏が会長兼社長の座にあることを、筆者は同記事で「つまるところ、オーナー経営者である田邊氏が禅譲したくないのだ」などと指摘した。経営者にいくら報酬を払うかは、もちろんその企業が決めることである。そして株主総会で追認されれば、規定に則ったということだ。しかし、外部から見れば「辞める辞めると言っている社長が、日本でも指折りの高額な報酬を手にしている。そしてそれは他社に比べて極めて破格だ」ということになる。田邊氏に限っていえば、「日本で経営者をやるのも悪くない」ということだろう。
(文=山田修/経営コンサルタント、MBA経営代表取締役)
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