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中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)の参加申請メンバーが51カ国・地域に達した。安倍晋三首相は党内議論も踏まえ、出資期限の6月末までに改めて参加の是非を判断する方針だが、経済界は参加を強く要望している。資料写真。
<アジアインフラ投資銀行>日本も6月末までに参加へ、米国容認=安倍首相、成長戦略を重視―経済界「バスに乗り遅れる」と悲鳴
http://www.recordchina.co.jp/a105453.html
2015年4月3日 10時8分
中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)の参加申請メンバーが51カ国・地域に達した。中国政府によると、東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国、主要7カ国(G7)の英国、ドイツ、フランス、イタリア、米同盟国の韓国、オーストラリア、主要新興国のロシア、インド、ブラジルなどのほか、オランダ、ノルウェー、エジプト、トルコ、イスラエル、台湾までもが雪崩を打つように参加を申請した。
深刻な投資資金不足にあえぐアジア新興国の大半が、立ち遅れたインフラ整備を支援するという、中国の提案に飛びついた格好。先進国の間でもインフラ開発会社や商社、銀行などの間で「参加しないと21世紀の有望市場・アジアの事業展開で不利になる」(英投資銀行)との懸念が根強く、各国政府を突き上げた。日本でも、多くの民間企業が参加するよう政府に要請している。
日本はAIIB創設メンバーとなるための申請期限の3月31日時点での参加を見送ったが、国連安保理5カ国のうち米国以外の4カ国を含む多くの国が参加、各界に衝撃が走った。経団連の榊原定征会長は、AIIBについて「日本の成長力を高めるためには海外のインフラ需要の取り込みが不可欠であり、日本企業が競争上不利にならないような対応が必要だ」と言明、「政治レベルで詰めていくこと」を要望した。経済同友会の長谷川閑史代表幹事も「アジアのインフラ向け資金需要は莫大であり、AIIBに参加しないことによって、インフラビジネスが不利になることは避けていただきたい」と求めた。インフラ開発企業や商社の中には、「このままではアジアという世界最大の成長市場行きのバスに乗り遅れる」との悲鳴まで聞こえてくる。
経済界の強い要望を受ける形で、政界にもAIIB容認論が浮上している。自民党は日本が参加すべきかどうかの議論をスタートさせた。世界の51の国・地域が参加を表明したことから、日本も経済的利益を優先すべきだとの意見が政権内で浮上。安倍晋三首相は党内議論も踏まえ、出資期限の6月末までに参加について判断する意向といわれる。
自民党内では「運営体制などを見極めた上で、参加の可能性を排除すべきではない」「冷静に判断し、中に入って中国をけん制すべきだ」など実利面での国益を優先する意見が多い。秋葉賢也党外交部会長は「日本がAIIBに参加する効果は大きい。選択肢を狭めず、今後の状況を見ながら参加するとの判断も必要になってくる」と語っている。月内にアジア開発銀行(ADB)幹部や有識者からヒアリングを実施し、党として参加条件などに関する意見を集約する方針。親中派が多い公明党も参加論が大勢だ。大半の野党も、アジア経済、インフラ開発の秩序作りに貢献すべきだとして参加を求めている。
AIIBへの参加の是非をめぐっては、ADBを設立当初から主導し、トップの総裁ポストを独占し続けている財務省が「運営の透明性が担保できないこと」などを理由に反対している。経済産業省は成長戦略の柱に位置づけるインフラ輸出や各種プロジェクト推進の観点から参加に前向きだ。4月下旬に訪米する安倍首相は米国に配慮して当面は参加表明を見送るが、成長戦略を後押しする観点から将来の参加を視野に入れているとの見る向きが多い。
ルー米財務長官は3月30日に訪中して李克強中国首相と会談し、「AIIBとの協力に期待し、中国がアジア地域のインフラ建設の分野でさらに役割を発揮することを歓迎する」と表明、AIIBを容認する姿勢を示した。水面下で米中の交渉が進行していることがうかがえる。(八牧浩行)
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