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○人抜き…「まさか」の抜擢社長人事、なぜ相次ぐ?社内では裏事情や思惑も交錯(Business Journal)
http://www.asyura2.com/15/hasan94/msg/870.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 4 月 03 日 06:11:14: igsppGRN/E9PQ
 

○人抜き…「まさか」の抜擢社長人事、なぜ相次ぐ?社内では裏事情や思惑も交錯
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150403-00010003-bjournal-bus_all
Business Journal 4月3日(金)6時2分配信


 今春の大企業社長人事の報道では、「〇人抜き」の文字が目立つ。取締役を経験せずに執行役員から飛び級でトップに就くケースも目立つ。抜擢のキーワードは「海外経験」で、50歳代が多い。世界のリーディングカンパニーは厳しい国際競争にさらされており、順送りの人選より、海外子会社の経営層からも評価されるような実力や人脈を持った幹部がトップに就任する必要が強まっている。海外経験がトップの必須条件になったともいえる。

●三井物産の安永竜夫社長(54)

 4月1日付で三井物産社長に就任した安永竜夫氏は32人抜きだ。取締役の経験はなく、執行役員からいきなり旧財閥系商社のトップに就いた。社内外から「まさか」という声が上がった。なぜなら安永氏は、社長レースの下馬評にも挙がったことはなかったからだ。安永氏は海外経験が豊富だ。同社で初めて世界銀行へ出向するなど、幅広い海外人脈が強み。米ゼネラル・エレクトリック(GE)のジェフリー・イメルトCEO(最高経営責任者)とも親交がある。

 これまで従事した主な業務は、エネルギープラントの輸出。露サハリン2のLNG(液化天然ガス)プロジェクトでは、1990年に米国三井物産ヒューストン支店に出向した初期と、2003年のFID(最終投資決定)のタイミングで2度にわたって携わった経験を持つ。

 事前の下馬評では、エネルギー畑の加藤広之専務や化学品畑の本坊吉博専務が本命とみられていた。しかし、飯島彰己前社長は「順送りではイノベーション(革新)は起きない」と抜擢した理由を語っている。

 だが、飯島氏が安永氏を選んだというより、「実力者である槍田松瑩会長(6月末に退任)の意向による人事」と社内では囁かれている。先輩役員が多数いる中で、安永氏が独自カラーを出すまでには時間がかかる。飯島氏が院政を敷くかどうかを商社業界は注目していたが、3月25日の取締役会で4月1日に会長になる飯島氏が代表権を持つことが決まった。

 海外事業に強い新社長を支える経営体制が必要と判断、代表権を返上するとした当初の方針を変更した。飯島氏は周囲に「院政は敷かない」と語っていたが、経済ミッションに同行したり、海外で提携交渉をするため、会長就任後も海外出張が減らないため、代表権を残すことにしたのだという。社長に昇格した安永氏がCEOとして任務を遂行することに変更はないとしているが、「代表権のない会長に退く」という当初の潔さが薄らぐことは間違いない。

●デンソーの有馬浩二次期社長(57)

 自動車部品大手デンソーの有馬浩二氏は14人抜きだ。末席の専務執行役員から副社長以下14人を抜いて異例の大抜擢となった。取締役を経験せずに社長に就くのは、同社では初めて。6月の株主総会後の取締役会で正式に決定する。有馬氏は生産技術や生産部門の出身で、買収したイタリア子会社の立て直しで手腕を発揮した。

 この仰天人事には、トヨタグループのトップ、豊田章男トヨタ自動車社長の強い意向がある。デンソーはトヨタ系とはいえ、持分法適用会社であり子会社ではない。独立した企業として、歴代社長は生え抜きが務めてきた。デンソー社内では鹿村秋男副社長の昇格が既定路線だったが、トヨタが若返りを強く求めたため、急遽有馬氏に白羽の矢が立った。

 しかし、トヨタが若返りを求めたというのは口実で、「豊田社長が、自分より2歳年上の鹿村副社長がデンソー社長に就任することを嫌ったため」(トヨタグループ関係者)といわれている。系列サプライヤーのトップ世代交代を進め、章男イズムを端々にまで浸透させるのが狙いだ。

 一方、4月1日付でグループの有力部品メーカー、アイシン精機の水島寿之副社長をトヨタの専務役員、デンソーの奥地弘章常務役員を同じくトヨタの常務役員に迎えた。グループ企業の役員をトヨタの重要なポストに就けるという「天上がり人事」を断行。トヨタは役員人事で硬軟両用、うまく使い分けをしている。 

●富士通の田中達也次期社長(58)

 富士通の田中達也氏も14人抜きだ。執行役員常務から取締役を飛び越して、社長に昇格する。6月22日の株主総会、取締役会を経て正式に就任する。それまで副社長に昇格して、次期社長として業務を引き継いでいく。田中氏は03年から09年まで、自ら志願して中国・上海に駐在。14年4月からシンガポールに赴き、グローバル5地域体制の一角であるアジアリージョン長を務めるなど、国際経験がある。

●ホンダの八郷隆弘次期社長(55)

 ホンダの八郷隆弘氏は9人抜き。常務執行役員から、いきなり取締役9人を飛び越してトップに就く。これまでホンダの社長は、子会社の本田技術研究所の社長を経ることが慣例となっていたが、八郷氏は経験していない。「技術のホンダ」が長年続けてきた不文律が8代目社長で破られることになった。6月に開催される株主総会と取締役会で、正式に社長に就任する。

 伊東孝紳社長は一連のリコール問題へけじめをつける、事実上の引責辞任とみられている。主力の小型HV「フィット」は1年余りで5回ものリコール(回収・無償修理)を届け出た。タカタ製エアバッグの欠陥問題では、調査目的を含め、世界で業界最多の1400万台超のリコールを行った。

 伊東氏は、世界の6地域で、開発・購買・生産の現地化に力を入れた。伊東改革を推進するために海外に送り込まれたのが八郷氏だ。12年に欧州を統括する英国子会社の副社長、13年からは中国の生産統括責任者として現地法人2社の副社長を務めてきた。伊東社長が敷いたグローバル路線を継承することになる。

●味の素の西井孝明次期社長(55)

 味の素の西井孝明氏は7人抜きだ。6月下旬に開催予定の株主総会後の取締役会で、正式に社長になる。現地法人社長を務めているブラジルから一時帰国した昨年12月、伊藤雅俊社長(次期会長)から後継指名を受けた。ブラジルでの経験を生かして、新興国を中心に海外展開を加速する。
(文=編集部)

【抜擢人事となった新社長一覧】

※以下、氏名、会社名、飛び越えた役員の人数、功績

・安永竜夫(54)、三井物産、32人抜き、ロシアのサハリンのLNG(液化天然ガス)プロジェクトなどに従事し、豊富な海外経験を持つ。
・有馬浩二(57)、デンソー、14人抜き、イタリア子会社の立て直しで手腕を発揮。
・田中達也(58)、富士通、14人抜き、中国・アジアでの海外勤務が生きる。
・八郷隆弘(55)、ホンダ、9人抜き、 欧州を統括する英国子会社、中国の生産統括責任者など海外経験が豊富。
・西井孝明(55)、味の素、7人抜き、ブラジル現地法人の社長を経験。新興国市場を開拓。

編集部

 

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