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[けいざい解読]サービスが映す脱デフレの芽 物価、幅広く目配りを
原油安の影響で日銀の物価安定目標の対象である消費者物価の伸びが鈍り、日銀が金融政策の判断基準として「物価の基調を重視する」と説明する場面が増えてきた。物価の基調とは何なのか。エコノミストなどの間では原油安に影響されにくいサービスの物価動向が注目を集めている。
物価は家電や自動車などの「財」と、通信や広告などの「サービス」の2種類に大きく分けられる。消費者物価のうち、サービスに関する部分だけを抜き出すと、全体の消費者物価とは異なる軌道が見えてくる。
消費増税の影響を除いた消費者物価(生鮮食品は除く)は、日銀が異次元緩和を導入した2013年春からの1年間で前年比マイナスから一気に1%台半ばまで上昇。だがその後は原油安に連動して鈍り、直近発表の2月分ではゼロ%に戻ってしまった。ところがサービス(帰属家賃を除く)部分に限ると、14年春の消費増税導入で伸びが鈍化したが、その後は0%台後半のプラスで安定的に推移している。
なぜ大きな違いが表れるのか。「財」の物価は製造過程でエネルギーを多く使ううえ、日本企業の海外生産移転でグローバル経済の影響を受けやすくなっている。
これに対し、「サービス」の物価はエネルギーよりも人件費が大きな割合を占めるため、「賃金との連動性が高い」(第一生命経済研究所の藤代宏一氏)。国内の物価の基調をより映しやすいとされる背景には、こうした理由がある。
それでは物価の基調は今後どうなるのか。実は物価の川上部分に当たる企業物価(消費増税の影響を除く)をみても、消費者物価と同様の傾向が見て取れる。
「財」の動向を示す国内企業物価は消費者物価よりも先行して伸びが鈍り、原油安につれて大きく低下している。一方、企業向けサービス価格は原油安が影響しやすい国際運輸を除くと、前年比で0%台後半を中心に上昇基調を保っている。
企業間の取引でサービスの物価が上昇基調にあるため、当面は川下部分の消費者物価でもサービスの物価が堅調に推移する可能性が高い。
しかも今年の春闘は昨年を上回る賃金上昇率になる可能性が高い。バークレイズ証券の森田京平氏は「人件費を反映するサービスの物価が堅調に推移し、脱デフレ色が強まる」と予想する。
財からサービスへと先進国の経済構造の中心が大きく変わりつつあるなかで、米国でも物価の基調をみる際にサービスの物価をより重視する傾向が強まっている。
日銀は消費者物価の前年比上昇率2%を物価安定目標に置く。消費者物価は今後、原油安の影響などで前年比マイナスに転じるとの見方が増えている。ただ原油安は経済にプラスに働く面が大きい。日本にとって重要なことは長期デフレからの脱却。物価の基調を様々な角度から総合的に見極める必要がある。
(編集委員 小栗太)
[日経新聞3月29日朝刊P.3]
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