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「3本の矢の経済格的根拠とは何か」(EJ第4005号)
http://electronic-journal.seesaa.net/article/416481951.html
2015年03月31日 Electronic Journal
マクロ経済学における「短期」と「長期」を整理して表にする
と次のようになります。
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◎短期と長期の比較
定義 理論 焦点 政策
短期 不完全雇用 有効需要理論 需要側 金融・財政政策
長期 完全雇用 経済成長論 供給側 成長政策
──若田部昌澄著/日本経済新聞出版社
『解剖/アベノミクス/日本経済復活の論点』
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ここで短期と長期といってもこれは現実的な時間を意味してい
ないのです。何年以内が短期で何年以上は長期ということではな
いのです。
それから不完全雇用か完全雇用かということですが、完全雇用
が失業率ゼロということではないのです。職を求めて働かない人
もいますし、よりよい賃金や条件を求めて求職活動をしている人
もいるので、失業率何%が完全雇用かということは一概にいうこ
とはできないのです。そのため、米国のFRBでは「完全雇用」
とは呼ばず、「最大雇用」といっています。
短期と長期では理論が変わります。短期では、「有効需要の原
理」が働きます。これは家計や企業や政府といった経済主体の行
う有効需要──マネーの裏付けのある需要によって決まります。
現在アベノミクスは、短期の政策を実践しているのです。第1
の矢として「大胆な金融政策」と「機動的な財政政策」を同時に
行っています。
この短期、長期の問題について、若田部教授は次のようにまと
めています。
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現代マクロ経済学を短期、長期と分けるのがよいでしょう。短
期というのは、物価や賃金といった経済の変数が調整されきって
いない状態を指します。逆に、長期というのはそういう変数が調
整されている状態です。
これをもう少し経済の状態に近づけて言うと、短期とは経済の
「余力」が残っている状態、あるいは天井まで到達していない状
態、長期とは「余力」が残っておらず、天井に到達している状態
と考えられます。短期の場合、資本や労働といった資源が使いき
られていない状態といえます。 ──若田部昌澄著の前掲書より
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このマクロ経済学の短期/長期との関連で、経済政策の目標と
して、若田部教授は次の3つを上げています。
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1. 経済成長: 余力を上げる
2.景気安定化: 余力を残さない
3.所得再分配:最低限の所得保証
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「短期」とは、経済の余力が残っておらず、天井まで達してい
ない状態です。物価や賃金などの経済の変数が調整されていない
状態です。この場合は、「余力を残さない」ように資本や労働な
どの資源を使いきる必要があります。それが「景気安定化」とい
うことになります。
これに対して「長期」は、余力が残っておらず、天井に達して
いる状態です。この場合は天井を上げること、すなわち、経済的
「余力を上げる」ことが求められます。これが経済成長の理論に
なるのです。つまり、アベノミクスの第3の矢「民間投資を呼び
起こす成長戦略」になるのです。
ところで、経済成長はなぜ必要なのでしょうか。
このことについて、若田部教授は著書で次のような文章を書い
ているのです。
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最初にこの話をしなくてはならないのが、日本の経済論壇の悲
劇的な状況ではあります。 ──若田部昌澄著の前掲書より
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これは何を意味しているのでしょうか。その答えは、若田部教
授の近刊書の「序章─ネオアベノミクスが始まる」の冒頭に書か
れています。
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「経済成長はもはや不可能であるし、成長を前提とした社会は
私たちから人間らしい幸福を奪ってきた。成長しない社会モデル
の構築こそ、これからの日本に必要なものであり、すでに各地の
小さなコミュニティや人的ネットワークには、その萌芽が見られ
るのだ」。近年、このような主張が主力紙の社説やコラムに散見
されます。さらに、書店を一回りすればそのようなテーマの本を
何十冊も見つけることができるでしょう。ベストセラーとなった
永野和夫著『資本主義の終焉と歴史の危機』(集英社新書)など
はその典型です。 ──若田部昌澄著
『ネオアベノミクスの論点/レジュームチェンジの貫徹で日本
経済は復活する』/PHP新書973
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日本人は悲観論がすこぶる大好きな国民です。そのため、昨今
の経済論壇やメディアでは、反成長論、脱成長論、成長悲観論が
隆盛を極めています。若田部教授の上げた水野和夫氏の著書など
は、超大ベストセラーになっています。
「もはや成長などできない」──デフレに陥った日本経済をデ
フレから脱却させる努力を何もしないで20年以上も放置し、国
民に塗炭の苦しみを与えても平然としていた白川総裁時代の日本
銀行──これは犯罪といってもよいほどの成さざるの罪です。
安倍政権はいろいろ問題がありますが、アベノミクスによって
とにかくデフレから脱却する努力をしている点は高く評価できま
す。このテーマは長くなっていますが、経済成長の問題まで書い
て近く終了する予定です。 ── [検証!アベノミクス/87]
≪画像および関連情報≫
●特別対談/若田部昌澄氏VS高橋洋一氏/2011年11月
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――最初に、大変基本的なことですが、なぜ経済成長が必要
かについて、お2人の意見を聞かせてください。世界的にみ
れば、日本はもう十分豊かなので、経済成長は必要ない、定
常的な社会を前提にして、課題の解決に取り組むべきだとい
う、根強い意見があります。
若田部:経済成長が必要ないという主張は、本当に考えられ
ない話です。まず日本は十分に豊かになっているというけれ
ども、実際にはいま日本は貧しくなっている。貧困層も増え
ている。というのは、やはり名目GDP(国内総生産)が停
滞しているからです。名目GDPは簡単にいうと1年間の国
民が得る給料や配当などの合計額。それが停滞しているのだ
から、貧困層が増えていてもおかしくない。もう少し具体的
に経済成長をしないと何が問題なのかというと、まず『オー
クンの法則』という経験則がある。アーサー・オークンはか
なり前に亡くなった、アメリカの新進気鋭の経済学者で、こ
の法則は実質経済成長率と失業率の間の相関関係をとってみ
ると、経済成長率が高いほうが、失業率が低いというもので
す。これは非常に頑強に成り立っている経験則です。だから
それでいくと日本のように経済成長率が下がると、それによ
って失業率が高まり、所得が減って、貧しくなるというのが
1つ目の問題ですね。 http://bit.ly/1gl1D1M
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