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http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NLVC7Q6K50YN01.html
ドラギ総裁の市場動かす力は世界一、ＱＥ第１ラウンド勝利
2015/03/30 07:03 JST
（ブルームバーグ）：欧州中央銀行（ＥＣＢ）のドラギ総裁は、同中銀の量的緩和（ＱＥ）第１ラウンドで確実に勝利を収めつつある。
開始後わずか３週間で、総裁が望む効果が表れた。債券利回りは急低下、ユーロは安くなり、株式相場は上昇。間接金融が主体で株式へのエクスポージャーは限定的、債券利回りが既に低い欧州でのＱＥ効果を疑問視していた人々は、市場の反応ぶりに驚かされた。
ドイツ銀行のエコノミストらは24日のリポートに、「ＥＣＢのＱＥは予想以上の影響を市場に与え、デフレスパイラルのリスクを軽減するのに役立っている」と記述した。
シティグループのエコノミスト、マイケル・ソーンダース氏は、ＥＣＢのＱＥは米国やその他の国の中銀が実施したプログラムよりも効果が大きいと指摘する。
債券を見てみよう。ソーンダース氏の概算によれば、ユーロ圏の10年物国債利回りの平均はＥＣＢがＱＥ計画を発表する前の50営業日と比べて80ベーシスポイント（ｂｐ、１ｂｐ＝0.01％）程度低下している。米国債と英国債の10年物利回り平均はそれぞれのＱＥ計画発表後の100日に上昇した。日本国債はほぼ変わらずだった。
株ではユーロ・ストックス50指数の22％上昇に対し、米英は平均10−15％の上昇。貿易加重ベースのユーロ相場は９％下落で、ドルとポンドの下落率より大きい。
シティはＥＣＢのＱＥが、発行済み債券残高との比較で、他の中銀に比べて規模が大きいことが一因だと分析する。ＥＣＢが中銀預金金利をマイナスにしていることも効果を増幅させているという。
米金融当局の利上げ準備がユーロ安を促していることや原油値下がりも追加の景気刺激策となっていると、ソーンダース氏は指摘した。
理由は何にせよ、エコノミストらはＱＥに反応した市場の動きが実体経済にもプラスになるとみている。シティは来年のユーロ圏成長率が07年以来の高水準だった10年に並び、インフレ率は1.5％と今年の0.2％から回復するとみている。
原題：Draghi a World-Beater in Moving Markets as ECB Confounds Critics（抜粋）
記事に関する記者への問い合わせ先：ﾊﾟﾘ Simon Kennedy skennedy4@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先： James Hertling jhertling@bloomberg.net Andrew Atkinson
更新日時: 2015/03/30 07:03 JST
ギリシャ危機：強まる締め付け
2015.3.31（火） The Economist
（英エコノミスト誌 2015年3月28日号）
期限が迫る中、ギリシャ国民は欧州が自分たちの離脱を容認するとは思えないと感じている。
ギリシャが無条件での支援延長を申請、ドイツは難色
ギリシャが金融支援を受けられなければ、4月中にも手元資金が枯渇すると言われている〔AFPBB News〕
不確実で厳しい時期には、タックス・アムネスティ（税金恩赦）は国民のムードの刺激剤になる可能性がある。土木コンサルタントで、ギリシャの落ち込んだ不動産市場で生き延びようと奮闘しているステリオス・アリビザキスさんは、急進左派連合（SYRIZA）政権が税金債務を抱える人向けに1週間の「特別オファー」を発表した時に大喜びした。
3月27日までに納付期限が過ぎた税金の一部または全額を払う気がある人は、累積した利息を免除される。
所得税、不動産税、付加価値税を数千ユーロ滞納しているアリビザキスさんは「これで身辺を整理するのに一息つく余裕ができる」と言う。
追い詰められたギリシャの実業家の多くが同じような反応を示した。財務省の税務ウェブサイトには、特別オファーが掲載されてから数分内に10万件以上のアクセスがあった。
ギリシャの枯渇した国庫の補充を試みる責任を負うナディア・バラバニ副財務相は、掲載から最初の24時間内に5000万ユーロ（5500万ドル）集まったと語り、週末までに、さらに2億ユーロが国庫に流れ込むことを期待していた。
綱渡りの資金繰り
この税収は、月末に年金と公務員の給料を支払うために戦っている政府関係者を元気づけるだろう。これによって、ギリシャが国際通貨基金（IMF）に4億5000万ユーロ分の融資を返済する予定になっている4月9日にデフォルト（債務不履行）が生じる可能性も回避できるかもしれない。
だが、より重大なギリシャの財政問題を解決するのはそれほど簡単ではなく、1月の選挙でのSYRIZAの勝利後にギリシャを包み込んだ高揚感は収まった。ギリシャの債権者は、アレクシス・チプラス首相率いる、生意気で経験の浅い政府への締め付けを厳しくしている。
チプラス首相は、欧州連合（EU）およびIMFと新たな取引を交渉する間、ギリシャを破綻から守るために必要な72億ユーロ分の救済資金の一部を引き出すことに失敗した。
気まぐれなヤニス・バルファキス財務相はEU当局者やドイツのヴォルフガング・ショイブレ氏ら各国財務相を苛立たせた（バルファキス氏は、アテネにとどまり、救済の実務担当者が緊急改革パッケージを起草するのを手助けするよう指示された）。
ギリシャ政府内には、チプラス氏が3月23日にドイツのアンゲラ・メルケル首相と話し合うためにベルリンを訪問する機会が雰囲気を和らげると期待する向きもあった。
ギリシャ政府関係者は会談後、楽観的な態度を示し、「対話」が始まったと語っていた。
だが、翌日には暗いムードが戻ってきた。ユーロ圏の財務省高官らが、ギリシャ政府がEUの救済基金「欧州金融安定機関（EFSF）」に間違って払い込んだと主張する12億ユーロの返金を求めるギリシャ側の要請を拒んだからだ。
「我々はこの2カ月、ジェットコースターに乗っているような激しい浮沈に見舞われており、終わりが見えない状況だ」。オリーブオイル輸出業者のアルキス・スタマトポロスさんは、こう話す。「将来の計画を立てることが不可能になった」
再び暗転する経済
中央銀行の当局者らによると、ギリシャは昨年の緩やかな景気回復の後、景気後退に逆戻りした。今年の国内総生産（GDP）の成長予想は非公式に2.9％から約1.5％へ引き下げられた。失業率は2014年に低下した後、再びじりじり上昇している。
今のところ、観光客の予約はまだ堅調だが、ギリシャの債権者との膠着状態が続けば、その状況もあっという間に変わる恐れがある。
ギリシャ首相、4月に訪露 プーチン大統領と会談へ
アレクシス・チプラス首相は今のところ、比較的高い支持率を維持しているが・・・〔AFPBB News〕
ギリシャの銀行は今、欧州中央銀行（ECB）によって週ごとに承認される緊急資金供与に依存している。輸入業者への信用供与は枯渇した。
アテネに本社を置く企業は、商品が出荷される前にサプライヤーに全額前払いしなければならないと不満をこぼしている。
比較的大きな企業は現金を他のユーロ圏諸国の口座に移した。ギリシャの船主は、従業員への支払いにぎりぎり必要な分だけを国内に持ち込んでいる。
あるギリシャの一流バンカーは、SYRIZAが政権を握って以来、一般市民が100億ユーロをタンス預金にしたと見ている。彼らはギリシャが2013年のキプロスの例に続き、資本規制の導入を強いられるのではないかと恐れている。これとは別に150億ユーロの預金が国外に移された。特に失うものがある人の間には、間違いなく不安感が漂っている。
だが、「Grexit（ギリシャによるユーロ圏離脱）」が目前に迫っているように見えた2012年にアテネを襲ったようなパニック状態は、現在それほど痛烈ではない。
「ギリシャが過去5年間で経験してきたことを考えると、欧州の人たちが我々を見捨てるとは思えない」と、年金生活者のマリア・イファンティドウさんは言う。
チプラス氏の支持率は1月の選挙後の80％超から現在の60％前後に低下したものの、まだ国民の評価はかなり高い。財政面で先行きに不安があるにもかかわらず、SYRIZAは世論調査で中道右派の新民主主義党（ND）に20ポイント以上の差をつけている。
多くのギリシャ人は、それが望まれた結果をもたらすかどうか確信できなくても、チプラス氏が選挙後にギリシャの債権者に対して取った厳しい態度を賞賛した。人々が未払いの給料と空っぽのATMについて心配し始めるにつれ、チプラス氏の人気は低下していくだろう。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43350
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