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日本企業がエンジニアを"爆買い"の実態 そんなに買いまくって大丈夫?
http://toyokeizai.net/articles/-/64430
2015年03月30日 高城 幸司 :株式会社セレブレイン社長 東洋経済
最近、ニュースで頻繁に「爆買い」という言葉を耳にします。これは、特需とも言えそうな爆発的な購買力のことですが、
「買いたいだけ買う。おカネ(予算)に制限はない」
という発想もあるようです。
このネーミングを生み出すきっかけとなったのが、インバウンドと呼ばれる日本観光で買い物をする外国人観光客の様子。中でも中国からの観光客による購買の爆発が、大きなきっかけとなっています。
つい最近も中華圏の旧正月「春節」の休暇で、大挙、来日した中国人観光客が日本製の炊飯器を爆買い。免税店での販売台数が倍以上になったようです。当方も銀座を歩いていたとき、バスで大挙して大型家電店「ラオックス」に入り、大量の家電商品を買い込む中国人観光客に遭遇したことがあります。
「店にあるだけ家電商品を買い占めたい」
と考えているかのようなパワフルな買い物の仕方でした。日本人も昔は同様のパワフルさがあったのかもしれませんが、現在ではおとなしいものです。街を歩く人たちは圧倒されているように見えました。
また、炊飯器だけでなく温水洗浄便座、包丁、魔法瓶なども爆買いの対象になっている様子。こうした爆買いは日本の百貨店の業績に大きく寄与しているはずです(ちなみにラオックスは中国資本)。
おそらく今後、日本のメーカーは爆買いされる製品の生産を増やすことでしょう。当面、この恩恵で潤う会社も多そうです。
そんな爆買いですが、日本企業が行っているものがあります。それは製品ではなく人材。さらにいえばエンジニアです。
「エンジニアであればいくらでも欲しい。予算に糸目はつけない」
と言って探す企業が今、急増しています。
帝国データバンクの調査によると、人材不足が著しい業種の1位は情報サービス業。当然ながら足りない職種はエンジニアという回答です。その不足を加速化させているのが
2015年問題
です。国内景気と企業のIT投資が回復傾向にある中で、2015年から数年間、大規模なシステム開発プロジェクトが同時期に集中。日本郵政グループやみずほ銀行のシステム統合、あるいはマイナンバー制度へのシステム対応など、大型案件が目白押し。結果としてエンジニアを大量に採用=抱え込みに走る企業が増えています。
■1000人など、超大規模採用が登場
「当社では1000人単位でエンジニアの採用をしています」
と明示する求人がネット上に登場するようになりました。それだけ2015年から数年間はシステム開発ラッシュということなのでしょう。
それにしても、開発にかかる人自体を減らす方法はないのでしょうか? システム部門に取材してみたところ
「ないわけではありませんが、日本企業独特の考え方が、システム開発の大型化を避けられない状況にしているのかもしれません」
との回答が返ってきました。業務パッケージや開発ツールを導入すれば開発作業自体が削減され、開発作業に従事するIT人材を削減することができます。ところが、こうした選択をせず、ゼロから作り上げる「スクラッチ開発」を好む傾向があるようです。自社流の業務プロセスや細部へのこだわりが強いため、パッケージを活用してもアドオン開発で費用がかさんでしまうパターンが大半。ならばスクラッチで開発にしよう……となるのでしょう。しかし、
「当社はフルスクラッチで開発をします。コストはかかりますが、オリジナリティ高いシステムが構築できるはずです」
と、システム部門のトップの方が、手間とコストをかけることを誇らしげに語る姿を見ると、違和感を感じてしまうのは当方だけでしょうか? あえて無駄の多い選択をしているように思えて仕方ありません。
ただ、すでに決定したスクラッチ開発を根本から覆すことは不可能で、今後も業界でスクラッチ開発が減る雰囲気はありません。
加えて、業界を問わず、商品やサービスをWeb化・EC化するIT投資が盛んに行われています。IT・Web業界がシステム開発を受注するだけでなく、発注側の事業企業でエンジニアを増員するケースも急増。慢性的なエンジニア不足の中でも、人材の取り合いが加速しています。
しかも、2015年問題に対応するためには時間がありません。理系学生を採用して育成期間を経て、戦力になるまで待つような時間はありません。そこで明日からでも仕事ができるエンジニアを採用する、と考える企業も多くなっています。
そこでそうした企業は、採用市場で転職エージェントに対して
「エンジニアの紹介は当社を優先してください。他社より手数料は弾むから」
と、従来であれば紹介した人材の年収に対して30%前後が普通の紹介手数料を、50%以上にアップする条件を提示する会社もあります。
■採用バブルの後はどうなる?
こうした手法を取れば、いったんは人材を確保できるかもしれません。ただ、こうした取り組みは「いずれ」周辺企業に知れわたります。
《競合のD社がエージェントに支払う手数料を大幅に上げて、エンジニアを集めているらしい。当社も負けてはいられない》
と追随する企業が続々と登場。
「ならば当社は60%支払います。なので、優先的に紹介を頼みますよ」
と手数料がバブル化。この状態で喜ぶのはエージェントだけではないでしょうか?
ただ、ほかの手法がなかなか見当たらないのも事実。莫大な採用予算を計上して2015年対策に対応することになります。はたして、受託した開発は会社に収益をもたらすのでしょうか?
採用コストが増え、ついには、まとめてエンジニアを確保するためにシステム開発会社の買収に走る会社も登場。その買収コストが複数の会社との競合でオークション化して高額になることも、今は当たり前になりつつあるようです。
取材したシステム開発会社では、アジア圏でのオフショア開発を進めていましたが、エンジニアの確保が想定どおりにいかなかったので、「国内で開発拠点を確保する」ニアショアと呼ばれる委託方法を取るため、地方にあるシステム開発会社と業務提携。さらに関係を深めて資本参加して、1年後には子会社化しました。この会社の社長は
「国内でエンジニアを確保するための企業買収にかかる費用はけちらない」
と豪語していましたが、同様に考える経営者はかなりいるのではないでしょうか?
こうして確保したエンジニアで2015年問題に対処した後に、何が起きるか? 当然ながらピーク時の需要が続くわけではありません。その後に起こる人材の余剰状態を予測して、エンジニアの活躍できる仕事を新規で創造する必要があります。各社は目の前の仕事に追い回されるだけでなく、将来に向けての一手を考えて採用してほしいと願います。
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