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ゆうちょう銀行のwebサイトより---〔PHOTO〕gettyimages
ゆうちょとかんぽに海外から批判!?
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/42629
2015年03月29日(日) ドクターZ 週刊現代 :現代ビジネス
政府与党がゆうちょ銀行やかんぽ生命の「限度額」の見直しに着手しそうだ。具体的には、ゆうちょ銀行の預け入れ限度額1000万円、かんぽ生命の加入限度額1300万円という上限を引き上げようとしている。これは民営化の流れにそった、正しい措置といえるのだろうか。
そもそも郵政民営化は、小泉政権時の'05年に実現。しかし、その後の民主党政権において連立を組んでいた国民新党の意向で改正が行われた経緯がある。
小泉政権時の郵政民営化では、「郵便、郵便局、ゆうちょ銀行、かんぽ生命の4分社化」と、「ゆうちょ銀行、かんぽ生命は政府が株を一切持たない」という完全民営化だった。これが改正後には、「郵便+郵便局、ゆうちょ銀行、かんぽ生命の3分社化」と、「ゆうちょ銀行、かんぽ生命の一部の株を実質的に政府が保有する」という内容に変わった。
実はこの改正が持つ意味は大きい。特に後者、政府が株式を持つか持たないかが重要となる。ゆうちょ銀行、かんぽ生命という金融業務については、政府が後ろ盾になるかどうかで、資金の調達コストに大きな差が生じるからだ。
政府が株式を持つと、「いざというときに政府が乗り出す=破綻はない」と思われるので、資金調達コストが安くなる。政府がまったく関与していない場合に比べて、平常時であれば、調達コストは0・1%以上も抑えられるだろう。0・1%の差は金融業務では大きく、ゆうちょの資金規模であれば年間3000億円ほどと巨額になる。
こうした事情から先進国では、金融危機時における金融機関の国有化というのはあるにしても、平常時に金融機関の株を政府が持つことはない。それにもかかわらず、ゆうちょ銀行、かんぽ生命の一部の株を政府が持つということはなにを意味するのか。それは、金融危機時における政府の対策を、ゆうちょ銀行とかんぽ生命には平常時にも行うことと同義になる。
「小泉民営化」路線にそって、ゆうちょ銀行、かんぽ生命を完全民営化するのであれば、その過程で預金や保険の「限度額」の引き上げなどはしてもいいだろう。業務を自由化して、民間金融機関とのイコールフッティングを確保するのは筋が通っているためだ。
しかし、ゆうちょ銀行、かんぽ生命の株を政府が持つという政府関与を温存しつつ、「限度額」の上限を引き上げるのはおかしい。そもそも改正後の民営化路線は、国有化への逆戻りともいえる。そのうえで、地方銀行など民間金融機関と競争を同じ条件にするためのやむを得ないハンデとして、ゆうちょ銀行、かんぽ生命に限度額の上限を設けているともいえるのである。
その上限を引き上げると、国内の民間金融機関からは民業圧迫という批判が出てくるのは当然として、海外からも批判が出てくる可能性がある。たとえば、TPPの対象には金融分野も含まれる。その際、ゆうちょ銀行、かんぽ生命は政府の後ろ盾がありながら業務の自由化が進むとなれば、海外の民間金融機関からも不公正という話が出てくるかもしれない。日本は先進国なのだから、国際標準ではない恥ずかしいことをしないほうがいい。
『週刊現代』2015年4月4日号より
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