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【視線】ロシアを見限り中国へシフトする英国…やはりあるのは国益だ
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20150328/frn1503281017004-n1.htm
2015.03.28 夕刊フジ
ロシアがウクライナのクリミア半島を併合してちょうど1年が経過した今月18日、英国で未来の国際関係を予感させるような2つの出来事があった。
1つ目は、ロンドン中心部の閑静な高級住宅街にある小さな一室、ロシア通信ロンドン支局のスタジオでだ。クリミア併合1周年を記念してつくられたドキュメンタリー風ロシア映画の上映会に、ぜひ来てほしいと同通信の支局長に頼まれた。
昨年、併合直前のクリミア半島を取材したこともあり、出かけたが、モスクワのメーン会場とビデオで結ばれた会場に来ていたのはたった数人。映画は、野蛮で危険なウクライナの民族主義者からクリミア住民を守るため、「正義の味方」ロシアが立ち上がり解放したと描いていた。
クリミア併合反対派の意見にはまったく触れず、ドキュメンタリーとは言い難い内容で、併合を正当化するためにつくられたプロパガンダ(政治宣伝)だった。それでも、これしか見ないロシア人なら、ウクライナを支援する欧米を敵視しても不思議ではない。西側が敵だったソ連時代に逆戻りしたかのような錯覚を覚えた。
ロシアのプーチン政権との対話を続けようとしてきたキャメロン英政権は、「国際法を破るロシア」を「パートナーではなく競争相手」(ハモンド英外相)と呼ぶようになった。欧米とロシアの間には、目に見えない“壁”が再び築かれつつある。
もう1つの出来事は、その約2時間前に英下院で行われたオズボーン財務相の演説だ。5月に総選挙を控えた政権最後の予算演説で冒頭、欧州経済が不振にあえぐ中、中国を新たな経済パートナーとする英政府の意思を明確に打ち出した。
中国主導で創設される「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」にも言及し、「創設から加わるべきで、西側諸国では初の創設メンバーとなる」と強調した。ウクライナ危機で経済制裁を受け、じり貧の道を歩むロシアを見限り、「成長の拠点」の中国に乗り換えたというわけだ。
実際、ロンドンの中国シフトはものすごい勢いで進んでいる。ロンドンのボリス・ジョンソン市長は「ロンドンをアジアビジネスのハブにする」と豪語。世界の金融センター、シティーに隣接する東部のテムズ川沿いに、「欧州におけるアジアビジネスの首都」が近く出現するという。
その新拠点は、中国への直行便が飛ぶようになるロンドン・シティー空港の対岸に位置し、中国通貨を扱う金融ハブとなる構想だ。事務所・店舗の50%以上は、中国などから進出したアジア企業が入居し、いわば「中華ビジネスセンター」になる予定だ。
在ロンドンの中国人記者は「さまざまな巨大プロジェクトが同時に動いている。英国には、いずれ中国ブームがやってくる」と胸を張っていた。
偶然、重なった2つの出来事に遭遇して思い出したのが、19世紀前半に活躍し、ちょうど150年前に没した大英帝国の政治家、パーマストンの名言である。「英国には、永遠の友も永遠の敵もいない。あるのは永遠の国益だけだ」
首相として強引な英外交を主導したパーマストンは、帝政ロシアの南下を阻止する一方で中国への進出を図り、貿易販路の拡大に尽力して英国の利益を追求した。現代の英国は、“敵”となったロシアには厳しくあたり、新たな“友”の中国からは富を吸い上げる仕組みをつくろうとしている。あるのは国益だけである。
では日本はどうするのか。英国など欧州の主要国が米国の“制止”を振り切って中国の投資銀行になびく中、孤立する米国を支えて日米同盟の強化を図るのが、やはり国益かもしれない。(ロンドン支局長 内藤泰朗)
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