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セブン&アイ対イオン、仁義なき地方スーパー争奪戦勃発 互いの牙城を容赦なく侵食
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150328-00010000-bjournal-bus_all
Business Journal 3月28日(土)6時0分配信
大手流通各社の綱引きが活発化している。各社が陣営に取り込みたいのは業績が好調な食品スーパー。総合スーパー事業(GMS)で苦戦する大手流通は、食品スーパーの囲い込みに必死だ。
イオン系首都圏食品スーパーの統合会社ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(HD)が3月2日に東証1部に上場した。初値は基準値(979円)に比べて6%高い1039円、終値は1015円、時価総額は1336億円。主な上場食品スーパーでは、ヤオコー(1624億円)、平和堂(1542億円)に次ぐ規模だ。3月10日に177円高の1447円まで買われ、高値を更新。新規上場の基準値(979円)を起点に7連騰し、3月10日までに48%上昇するなど、まずは順調な滑り出しとなった。
地方が中心のイオンにとって、首都圏の攻略は長年の課題だった。2003年にカスミに資本参加して以降、紆余曲折を経てマルエツ、カスミ、非上場のマックスバリュ関東の食品スーパー3社の経営統合にこぎ着けた。単純合計した持ち株会社ユナイテッドHDの15年2月期の営業収益(売り上げに相当)予想は6400億円、営業利益は105億円で業界トップに浮上する。3社の店舗数は合計で481店に上り、ライバル企業の3倍以上だ。
ユナイテッドHDの上田真社長(マルエツ社長を兼務)の計画では、首都圏の食品スーパーのトップの座を不動のものにするために、20年までに1000店舗体制、年商1兆円の達成という目標を掲げている。イオンの岡田元也社長が「首都圏食品スーパーマーケット連合」構想を打ち出してから約2年。ようやく船出した。
だが、イオンの足元の業績は厳しい。15年2月期の業績予想を大幅に下方修正した。営業利益は前年比18%減の1400億円となり、3期連続の営業減益だ。2000〜2100億円としていた従来の予想から一転して、600〜700億円目減りすることになる。昨年4月の消費増税後、主力のGMSであるイオンリテールやダイエーの業績の足踏みが続いた。既存店売上高は、14年3月から15年2月までの累計でイオンリテールが2.8%減、ダイエーが3.5%減だ。16年2月期は、好調なユナイテッドHDが収益増に寄与すると期待している。
●セブン&アイHDも囲い込み加速
コンビニ最大手のセブン-イレブン・ジャパン、GMSのイトーヨーカ堂を傘下に持つセブン&アイHDは、地方の食品スーパーの囲い込みを図っている。3月10日、関西の食品スーパー、万代と資本業務提携を結ぶ方針を明らかにした。商品や物流で連携し、万代株式の30%を200億円で来春までに取得する。万代は大阪を中心に兵庫、奈良、京都、三重も含めて150店舗を展開している。上場はしていないが、14年2月期の売上高は2793億円と大阪府でトップシェアを誇る。
セブン&アイHDは首都圏に強い。傘下のイトーヨーカ堂の7割、セブンの4割近くの売り上げが関東に集中する。手薄な地域の強化を目指し、13年には北海道のダイイチ(30%出資)、14年には岡山の天満屋ストア(20%出資)と資本提携した。
なぜ、イオンやセブン&アイHDは食品スーパーに力を入れるのか。それはひとえに、GMSは不振だが食品スーパーは好調だからだ。日本スーパーマーケット協会など食品スーパー業界3団体がまとめた14年の全国の食品スーパー売上高(既存店ベース)は、前年比0.9%増の9兆3855億円。消費増税にもかかわらず、8カ月連続してプラス成長を続けた。
大手のGMSはプライベートブランド(PB)重視の商品戦略をとるのに対して、地場食品スーパーは地産地消の地域密着型商品をウリにしてきた。この違いが既存店の伸びの差となって表れている。
●高値を更新する地方の食品スーパーが続出
食品スーパーの革命児といわれる企業がある。東証1部に上場している食品ディスカウントストア大黒天物産だ。24時間営業の「ラ・ムー」「ディオ」などを展開。「安心か」「激安か」の二者択一を迫る陳列の仕方で知られる。出店地域一の激安がキャッチフレーズだ。岡山、兵庫、広島、大阪、鳥取、愛媛などで97店舗を展開している(14年11月現在)。
加工食品の内製化など低価格を武器に増収増益の快進撃を続ける。消費増税後も売り上げを伸ばし、15年5月期の売上高は前期比3.4%増の1290億円、営業利益は3.9%増の52億円の見込み。地方創生ブームに乗り、株価は続伸。3月18日には上場来最高値の5030円をつけた。今や大黒天物産は、「地方創生の代表的銘柄」といわれるようになった。
沖縄の流通最大手サンエーの株価が3月19日に4740円をつけ昨年来高値を更新した。06年の高値、5700円に迫る勢いを見せている。食品スーパー42店舗、総合スーパー22店舗、外食店14店舗を展開。夏には旗艦店、那覇メインプレスを増床し、今春開業のイオン系大型商業施設を迎え討つ。
滋賀県で圧倒的なシェアを持つスーパー平和堂は、3月23日に2854円の昨年来高値となった。81年以降の高値は90年の2750円だったが、これを上回った。16年2月期は精肉・鮮魚など生鮮品や総菜の強化が効き、食品部門が好調。連続最高益となる。これまで手薄だった北陸にも出店する。
北海道、青森、岩手でトップシェアを誇るアークスはM&A(合併・買収)を積極的に進めている。株価は3月26日に2909円の昨年来高値を記録した。埼玉県を中心に展開する食品スーパーのヤオコーは、3月18日に9980円の高値をつけた。食品スーパーとして異例の、株価1万円の大台に急接近中だ。中部地区を中心に281店舗を持つ食品スーパーのバローは、3月24日に2715円の昨年来高値をつけた。5銘柄とも3月に入って昨年来高値を更新中である。
大手流通の地方スーパー囲い込みの動きが、株価を刺激していることは間違いない。
(文=編集部)
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