03. 2015年3月26日 06:34:39
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http://jp.reuters.com/article/jp_forum/idJPKBN0MK0TQ20150325 コラム:ドル高警戒は不要、行き過ぎた円安論に誤り=山本雅文氏 2015年 03月 25日 16:55 JST 山本雅文 プレビデンティア・ストラテジー マーケットストラテジスト[東京 25日] - 日本は対米貿易やドルペッグのアジア諸国との貿易が大きく、外為証拠金取引も大半がドル円取引で、生保など機関投資家の外貨資産もドル建て比率が比較的高い。そのため、政財界の円水準に関する議論はドル円に集中しがちだ。 もっとも、後述するように、人口高齢化の進展で政治的重要性を増す中高年の個人投資家は新興国・資源国の高金利通貨やユーロにも多く投資している。その外貨エクスポージャーを考慮すれば、円相場は実は2013年後半以降横ばいであり、円安とは程遠い状況だ。 他方、昨年後半以降のドル急上昇、海外売上比率の高い米企業の業績下方修正、そしてイエレン米連邦準備理事会(FRB)議長がドル高の輸出に対する悪影響の可能性に言及したことなどから、「ドルが高すぎるのではないか」という見方が広がりつつあるようだ。 しかし、米国内でドルの強弱を測る指標として広く用いられるインフレ調整後の貿易加重平均相場(実質実効相場)では、ドルは歴史的低水準からの持ち直し過程にあり、長期平均にすら達しておらず、ドル高とは程遠い状況だ。 日銀の異次元緩和を受けて2012年以降で50%超もドル円が上昇したのに、円が安くないというのはどういうことだろうか。 まずユーロ円がある。昨年12月に150円に迫った後、直近では130円を割り込み、2012年9月対比ではドル円の半分程度の上昇にとどまっている。円実効相場におけるユーロの比率は14%程度とさほど大きくないが、下落が大きくなれば円押し上げ効果も無視できなくなる。ユーロ圏向けの比重が大きい輸出企業からすれば、アベノミクス以後の円安はドル円で感じられるほどではない。 <政治的に注目されない対高金利通貨の円高> さらに、視点を日本の個人投資家に移してみよう。個人投資家の間ではドル円、ユーロ円もさることながら、高金利通貨の人気が非常に高く、投信、売出債そして外為証拠金取引などでのエクスポージャーも無視できない。 代表的な高金利通貨であるブラジルレアル、トルコリラ、南アフリカランド、ニュージーランドドル、豪ドルも、米ドルとユーロと同比率で足し上げて個人投資家の視点に近い円の加重平均相場を算出してみると、2013年半ば以降、横ばいで推移している。 これら高金利通貨の保有を通じて為替相場に接している投資家からみれば、アベノミクス下で円安化したのは2012年第4四半期から2013年第1四半期のわずか半年だけだ。昨年10月末の日銀サプライズ緩和と公的年金の対外投資増加によるアンサンブルを通じた対ドル中心の円安化は、主にブラジルレアルとユーロの急落でほぼ完全にかき消されている。 個人投資家というと為替市場では家事の合間に取引を行って夫以上に稼ぐ「ミセス・ワタナベ」をイメージする向きも依然多いかもしれないが、政治的に侮れない存在となっている。 日本は高齢化の進展で全人口の平均年齢が45歳に達しており、うち有権者の平均年齢は53歳、さらにそのうち投票者の平均年齢は57歳との推計もある。この年齢層は、日本の貯蓄の大半を保有する60歳以上の年齢層にも近い。ただし、高金利通貨投資のパフォーマンス悪化を声高に訴えることもはばかられることから、彼らは選挙においてサイレントマジョリティ(物言わぬ多数派)を形成している面がある。 こうした高金利通貨での円高傾向に目を向けず、ドル円で議論しがちな中小企業寄りの視点で為替政策を運営し円安けん制を行っていると、政治家はサイレントマジョリティの支持を失うリスクを負っている。 <年後半の1ドル=125円シナリオは健在> ドル相場の水準感についてもみてみよう。今年に入り連日、ドルは対ブラジルレアルなど新興国通貨に対して最高値を更新したほか、欧州中央銀行(ECB)が量的緩和を開始したユーロや、豪ドルに対しても大きく上昇しており、「ドル高進行が速すぎる」という感覚を米政策当局だけでなく市場参加者にも植えつけたようだ。 もっとも、長期的なドルの価値について測る指標として製造業者の業界団体をはじめ米国で幅広く用いられているFRB算出のドル実質実効相場をみると、直近の水準は1973年以降の長期平均を依然として下回っており、国際社会に対してドルが高すぎるので弱める必要がある、といった主張はしにくい。 実質実効相場の低迷は主に構成面の要因と、実質化におけるインフレ格差問題がある。構成面では、最も比率が高い通貨が、対米ドルで上昇を続けている中国人民元であることが大きい。また、ブラジルなど高インフレ国の通貨は、インフレ上昇によって競争力を失っていることから下落している。そのため、名目相場でみたドル上昇は必ずしも米国の競争力低下を意味しないのだ。 確かに、ドル上昇は輸出の逆風となりインフレを押し下げるデメリットがあり、実際に米国の輸出は昨年後半以降、鈍化の兆候がみられる。ただし、米国の輸出を品目別、地域別にみると、特定の品目や相手国に弱さが集中していることが分かる。 品目別では石油関連製品、地域別ではカナダや中南米諸国で、いずれも原油安の影響が出やすいものだ。米国の貿易赤字は足元で特に明確に拡大しているわけではなく、長期的に赤字が拡大している相手国は中国だが、対人民元ではドルはむしろ下落傾向にある。 ここ数年、米国一人勝ちとすら言われるほど、米国経済が世界経済のけん引役となっており、かつドルが実質実効相場でみて長期平均を若干下回る程度の水準でしかないことから、米国は世界で最も自国通貨高を受け入れることができる国の一つだ。 にもかかわらず、もし米国がドルのさらなる上昇を懸念せねばならないとすれば、それは消費主導の米経済が輸出からくる下押し圧力に負けてしまうような状況だ。そのような状況であれば、FRBは「忍耐強くいられる」という表現を忍耐強く維持し、利上げ検討などあるはずもなく、むしろ追加緩和を議論すべきだろう。市場もそれを織り込み、ドルは反落トレンドに入っているはずだ。 つまり、現在はそうした状況ではなく、ドル上昇からくる逆風をこなせるだけの自律的回復力が強まっているはずだ。果たして、この状況が冬場の悪天候からくる鈍化で腰折れせず、3月、4月分の統計で回復が示されるかが当面の焦点となろう。 ドル円相場は、購買力平価が100円弱の水準にあるとみられる中で、20%程度ドルが割高、円が割安の状況ではある。もっとも、米国からみてドル高ではなく、米経済の回復力はさらなるドル高に耐えられると考えられる一方で、日本からみて円は安いわけではない。そこを踏まえると、これまで想定されてきた今後の日米金融政策のかい離の拡大を受けて、ドル円はさらに上昇する可能性を秘めている。 特に、米国にとって円は貿易比率の順位で中国、ユーロ圏、カナダ、メキシコに次いで5番目と最重要通貨ではないこともあり、ドル高主導で円が下落する余地がある。今後ドル円が上昇トレンドに回帰する上で鍵となるのは、米景気の冬場のソフトパッチ(一時的な成長鈍化)からの脱却、統一地方選を控えた日本政治サイドの円安回避マインドの消化、そしてその後の日銀による物価目標達成の必要性の再認識と追加緩和、などだ。 足元はハト派と解釈された米連邦公開市場委員会(FOMC)後のドル安の余韻が残っているが、これらの条件がクリアされれば、ドル円は年後半にかけて125円を超えてくる可能性が残っている。 この間、米国の利上げ開始とその後の継続が急激なものではなくゆっくりとしたものになり、米株価やエマージング諸国に悪影響を与えるものではないことが分かってくれば、ブラジルレアルなどの高金利通貨への売り圧力も弱まるだろう。 これに日本サイドからの追加緩和を通じた円売り圧力が加われば、高金利通貨へのエクスポージャーを高めてきた選挙におけるサイレントマジョリティである個人投資家の不満も後退し、政権運営基盤の安定化にも資する面があろう。 *山本雅文氏は、外為投資に関する調査・分析・情報発信を行うプレビデンティア・ストラテジーの代表取締役兼マーケットストラテジスト。日本銀行で短観調査作成、外為平衡操作(介入)や外為市場調査・モニタリングに従事した後、ドイツ・フランクフルト駐在を経てセルサイドに転出。日興シティグループ証券で通貨エコノミスト、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド銀行東京支店およびバークレイズ銀行東京支店で日本における為替ストラテジーチームのヘッドを歴任後、2013年8月にプレビデンティア・ストラテジーを設立。国際基督教大学卒業。 http://jp.reuters.com/article/forexNews/idJPL3N0WR3YZ20150325?rpc=223 インフレ率2%超え、日本の物価状況よりまし=米シカゴ連銀総裁 2015年 03月 25日 21:21 JST [ロンドン 25日 ロイター] - エバンズ米シカゴ地区連銀総裁は、物価上昇率が2%を超える方が、日銀と同様の課題に直面するよりはましだと表明した。
総裁はロンドンでのイベントで、「日銀が直面する課題をわたしは非常に深刻に受け止めている。そういった状況に直面するよりもインフレ率が2%を超える方がましだ」と述べた。 25日の米金融・債券市場では、国債価格が下落、利回りは上昇した。朝方発表され た耐久財受注が弱い内容だったことから国債相場は当初値上がりしていたものの、午後行 われた5年債入札の引き合いがさえず、その後は売りに押された。 午後終盤の取引で、指標10年債 は13/32安。利回りは1.92% と当初の1.85%から上昇した。 http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0ML1M520150325 ドル高は「ディスインフレ圧力」、影響は一時的=シカゴ連銀総裁 2015年 03月 26日 04:19 JST [ロンドン 25日 ロイター] - エバンズ米シカゴ地区連銀総裁は25日、ドル高による「明らかなディスインフレ圧力」が見通しに根強く反映されるようになる可能性について懸念を示した。 エバンズ総裁はロンドンで開催された公的通貨・金融機関フォーラム(OMFIF)の会議で、ドル高によるディスインフレ圧力が根付けば、インフレ率が米連邦準備理事会(FRB)の目標に向かって回帰することが難しくなると指摘。 輸入コストの低下との形で表れるドル高のインフレへの影響は一時的なものとしながらも、インフレ率が目標の2%に向かって上昇しているとFRBがより大きな確信を持てるまで、利上げを急がなくてはならない理由はないとし、FRBは2016年上半期まで利上げを控える必要があるとの考えを示した。 ただ、外国為替相場はその性格からして絶えず動いているものであることを念頭に置いておく必要があるとも指摘。「ドルがどのように変動しても、その後、一定の安定した水準に落ち着き、輸入物価の変化も反転する」とし、「それは一時的であり、その時点では通常の米金融政策がインフレに与える影響のほうがより重要になる」と語った。 一方で、ドル高は輸出業者など、米経済の一部の部門には課題を突き付けているが、エネルギー価格の低下は消費者や企業に一定の恩恵をもたらしていると指摘。「ドルは強くなっており、一部では課題となるが、エネルギー価格は消費者や多くの企業に恩恵を与えている」と述べた。 [ロンドン 25日 ロイター] - エバンズ米シカゴ地区連銀総裁は25日、ドル高は輸出業者など、米経済の一部の部門には課題を突き付けているが、エネルギー価格の低下は消費者や企業に一定の恩恵をもたらしていると指摘した。 総裁はロンドンでのイベントで、「ドルは強くなっており、一部では課題となるが、エネルギー価格は消費者や多くの企業に恩恵を与えている」と述べた。 [ニューヨーク 25日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は25日、翌日物の固定金利方式のリバースレポを実施し、653億9000万ドルを吸収した。 ニューヨーク連銀によると、応札行は38行、金利は0.05%。 前日の吸収額は1月2日以来の低水準となる601億2000万ドル。応札行は39行、金利は0.05%だった。 *詳細は以下をご覧ください。 http://www.newyorkfed.org/markets/omo/dmm/temp.cfm http://jp.wsj.com/articles/SB10580876513169934209404580539941558677482 FRB、年内は利上げすべきでない=シカゴ連銀総裁 By MICHAEL S. DERBY 2015 年 3 月 25 日 21:30 JST 米シカゴ地区連銀のエバンス総裁は25日、インフレが過度に減速し、物価上昇圧力が強まる兆しに欠ける状況を踏まえ、連邦準備制度理事会(FRB)が年内に政策金利を引き上げるべきではないとの考えを明らかにした。
ロンドンでの講演の準備原稿によると、エバンス総裁は「政策金利の引き上げを2016年まで先送りするのが適切であることを示す経済情勢になる可能性が高い」と述べた。経済成長は勢いを増し、雇用も堅調だが、物価上昇率はFRBの目標とする2%を大幅に下回っており、慎重な姿勢を取るべきだとみている。エバンス総裁は今年の連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を持つ。 米経済については他のFRB関係者同様、楽観的な見方を示したが、あまりに早期に政策金利を引き上げればFRBが深刻な問題に直面すると警戒心をあらわにした。 「物価上昇率が過度に低く、不透明な世界の状況も考慮すると、性急な利上げの危険は大きく、恩恵は少ない」と指摘した。「慎重なリスク管理と目標の達成に向けた金融政策手法では、金融引き締め方向へ動く前にしばらくの間インフレ動向を見極め続けることが必要だ」と述べた。 エバンス総裁はインフレ率が2%に戻るのは18年と予想している。物価の動きが正しい方向に向かっていることには自信を見せたものの、食品とエネルギーを除くコアのCPIがやや持ち直す必要があると述べた。それが賃金の伸びを促し、物価の上昇期待が消費者の間や市場で強まるだろうとの見方だ。 原文(英語):Fed’s Evans: Central Bank Shouldn’t Raise Rates This Year http://jp.wsj.com/articles/SB12371367657780613424004580539103954844666 先進国のインフレ動向、反転の兆し By GREG IP 2015 年 3 月 25 日 11:33 JST
原油価格は1月下旬に1バレル=46ドルまで下落し、おおむねその近辺で推移している Getty Images 世界各国の中央銀行は昨年、インフレが落ち込み、多くの国々でマイナス水準に低下したことに警戒感を示してきた。大半の原因は石油価格にあるが、エネルギーと食品を除くコアのインフレ率も気がかりなほど低い。 だが、この流れに反転のかすかな兆しがみえる。2月の米消費者物価指数(CPI)は前月比0.2%上昇し、前年同月比では横ばいとマイナス水準から脱した。さらに重要なことに、コアのCPIは前月比0.16%上がり、前年比の伸びが1月の1.6%から1.7%にやや上がった。2カ月連続で市場の予想を上回った。1月に物価上昇をけん引したのはサービス価格だったが、2月は財の価格上昇だった。 他の国々でもインフレ率が底入れしたしるしが散見される。ユーロ圏では、1月のインフレ率は前年同月比マイナス0.6%だったが、2月はマイナス0.3%となり、コアのインフレ率は0.6%から0.7%にわずかながらも上昇した(英国は例外で、2月の消費者物価は全体でもコアでも予想を下回った)。周辺的な証拠も積み上がっている。マサチューセッツ工科大学の「ビリオン・プライシズ・プロジェクト」では、最新の物価情報をインターネット経由で毎日まとめているが、ここでも反転の兆しがみられる。 確かにこれらは一時的な兆候にすぎない。それでも、いくつかの基礎的諸条件と一致している。まず石油だ。石油価格は1月下旬に1バレル=46ドルまで下落し、おおむねその近辺で推移している。先物市場では、いまから1年後の石油価格が56ドルとされている。オックスフォード・リサーチの見積もりによると、原油価格が10ドル上がると仮定した場合、個人消費支出(PCE)物価指数でみるインフレ率は今年の年末までに1.7%に達し、コアのインフレ率は2%をつける。原油価格がここから10ドル下がれば、この上げ幅は少なくなる。PCE物価指数は米連邦準備制度理事会(FRB)が好むインフレ指標だ。 ドル相場はもっと複雑だ。米国の物価に対するドル高の影響が最も現れるのは、おそらくまだ先のことだろう。だが、ドル高が米国の物価に低下圧力を加えるとしても、その一方でユーロ圏の物価には上昇圧力がかかることになる。いずれにしても、ドル相場も落ち着いたように思われるので、その影響もすぐになくなるはずだ。 最後に、欧州中央銀行(ECB)が債券買い入れ(量的緩和=QE)を開始したことで、市場心理は驚くほど衝撃を受け、極めて必要性の高かった信頼感がユーロ圏ばかりでなく他の国々でも回復した。ユーロ圏と米国および日本ではECBのQE開始以降、5年先の予想インフレ率が上昇している。同時に、景況指数(PMI)はユーロ圏経済の基調が活気づいたことを示している。 低インフレの恐れがなくなったと宣言するには、明らかにまだ早すぎる。全体とコアのインフレ率が底入れしたとしても、いずれも大半の中央銀行が目標とする2%にはほど遠い。ユーロ圏のコアインフレ率は昨年、0.7%程度で推移した。市場の期待が上向いたとしても、今後数年のインフレ予想はまだ目標を下回っている。物価を長期的に左右するさらに重要な要素は賃金と労働コストだが、いずれも上向く兆しはほとんどない。 だが、政策担当者らと投資家は、中央だけでなく、その周辺で起きていることも注視する必要がある。そして、周辺では現在、インフレが好転しつつある。これはとても良いことだ。 原文(英語):The Inflation Cycle May Have Turned
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