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浮かれている場合じゃない(C)日刊ゲンダイ
専門家が危惧…株価2万円で強まる「年金資産消失リスク」
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/158319
2015年3月25日 日刊ゲンダイ
2万円の大台突破は時間の問題となってきた。日経平均の終値は23日に1万9754円をつけ、00年4月以来の高値を更新した。一本調子の株価上昇に市場関係者は浮かれっぱなしだが、年金マネーを政治利用した「官製相場」のリスクを忘れてはいけない。15年ぶりの株高は国民の老後資産にとっては“もろ刃の剣”である。
■GPIFは大金を背負ったカモ
現在のイケイケ相場の主役は海外勢だ。3月第2週まで5週続けて日本株を買い越し。この間の買越額は1兆円近くに上っている。
海外勢の旺盛な日本株買いを支えているのは、公的マネーの市場流入だ。とりわけ運用資産137兆円と世界最大級を誇る年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の存在感が大きい。
GPIFは昨年末時点で日本株27兆1330億円分を保有、運用資産全体の19・8%を占めた。1部上場の全企業の時価総額合計(約573兆円)の約5%を持つ計算だ。さらに昨年10月の株資産運用倍増計画により、従来12%だった国内株保有比率を25%まで買い増している。買い余力は約7兆円といわれ、GPIFは世界中の投資家に向かって“さあ、これから日本株を大量買いします”と高らかに宣言したようなもの。これが、いかにばかげたことか。
「GPIFほどの巨大機関投資家が『日本株の大量買い』という手の内を明かせば、海外勢にはこれほど楽な商売はありません。先回りして日本株を購入しても、必ずGPIFへ高値で売り抜けられるという『出口』があるからです。米カルパースなど名だたる機関投資家は手の内を絶対に明かさないことが鉄則。海外のヘッジファンドには、GPIFが数十兆円を背負った“巨大なカモ”にみえるでしょう。あまりにも稚拙です」(RFSマネジメント・チーフエコノミストの田代秀敏氏)
■海外勢が仕掛けるバブル再来
とはいえ、GPIFが運用を任されているのは国民の多くの老後の命綱だ。ダンマリを決め込んで運用するわけにもいかない。つまり、巨額の年金資金を株式投資に回すこと自体、やはりムリがあるのだ。
「今の官製相場は需給によって株価が上がっているだけで、日本企業の価値が高まっているとは言えません。現在、日経平均のPER(株価収益率)は18倍前後。政府の中長期経済見通しを考えても15倍程度が妥当でしょう。日経平均が2万円の大台に乗せ、PER20倍超になると、割高感が強まり、いよいよバブルの雰囲気が高まってきます。懸念すべきは、需給だけで動いた相場は、買い資金が尽きると値を戻すこと。年金資金の買い一巡とともに株価もダラダラと下がっていく恐れもあるのです」(経済評論家・山崎元氏)
前出の田代秀敏氏は、こう警告する。
「海外のヘッジファンドは本物のプロ集団ですから、必ず売り先を確保してから株を買う。最大の売り先であり、最大のカモです。彼らは株価を吊り上げるだけ上げると、一斉に先物やCDSを売って現物の株価下落を引き起こす。最後は空売りで巨額の利益を獲得します。1990年のバブル崩壊はこうして起こりました。海外投資家が『ホームラン!』とガッツポーズを決め込む一方で、GPIFなどは高値づかみした株価の下落で、巨額の損失を抱えることになりかねません」
株価が上がるほど、暴落時のリスクも高まるのが年金のギャンブル運用の宿命だ。国民は株高に浮かれてはダメだ。
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