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都内の「億ション」を現金で次々に買っていく〔PHOTO〕gettyimages
日本経済いまこそ、買いまくれ! 株に不動産 外国人投資家が殺到中 ニッポンが変わった「空前の好景気」にシフトチェンジか
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/42554
2015年03月24日(火) 週刊現代 :現代ビジネス
日経平均株価が1万9000円の大台を突破した。この株高を牽引するのは外国人投資家たち。彼らの目を通じて日本を見ると、新しい風景が開けてくる。いま海外投資家から何を学ぶべきなのか。
■まさに「爆買い」
「日本のことわざに『灯台下暗し』というのがあるでしょう。われわれ海外投資家から見ると、いまの日本人はまさにその罠に陥っているように見えます。というのも、われわれ海外投資家からすれば、いまは『Buy Japan』の好機。私の周りにも、我先にと日本買いに突き進んでいる投資家がワンサカいる。それなのに、日本人は株価が上がっても、『所詮は官製相場だ』と嘆くばかり。投資先を物色しようともせずに、みすみすチャンスを逃している」
日本株に投資している在シンガポールの海外投資家はこう語る。
企業業績の急回復を背景に、日経平均株価は1万9000円の大台を突破。市場関係者は2万円も間近と騒がしいが、好景気の実感はない……確かに、そう感じている人は少なくないだろう。
株高は、安倍政権がGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)などをせっついて株を買わせたことによる官製相場に過ぎないし、企業業績にしても黒田東彦総裁率いる日銀による円安政策の恩恵を受けているだけではないか、と。
しかし、そんな日本人を傍目に見ながら、「モッタイナイ」とばかりに猛烈な日本買いに走っているのが外国人投資家たちなのである。
東京証券取引所のデータを見ると、売り越し基調だった海外投資家が日本株の買い越しに転じたのは、2月第2週からのことである。それも第2週は買い越し額が158億円だったのが、第3週は10倍ほどに膨れ上がって1538億円。その勢いは増すばかりで、第4週にはさらに1000億円も積み増して2682億円も買い越しているのだから、まさに「爆買い」である。
■自動車業界はもっと伸びる
「2月第2週」から大きく流れが変わったのは、「米大手ヘッジファンドのサード・ポイントの動きが大きかった」と、前出・在シンガポールの海外投資家は言う。
「サード・ポイントはソニー株を大量購入して、エンタメ部門を分離するよう要求したことで知られる『モノ言う株主』です。そのサード・ポイントが今年の2月10日に、日本の大手工作機械メーカーのファナックの株を昨年10-12月期に取得していたことを投資家向けの書簡で明らかにしました。サード・ポイントの動きは世界中の投資家が注目していて、これを機に海外投資家たちが再び日本株に目を向け始めた。すると、投資妙味のある日本株がまだまだあるとわかり、日本買いブームが始まったのです」
実際、その頃から日本の証券会社には海外投資家からの問い合わせが急増。お忍びで日本まで飛行機で飛んできて、都内から地方まで日本企業の「視察」に動く海外投資家の姿も目撃された。そうして彼らはものすごいスピードで日本企業を調査・分析すると、ここぞと決めた先の株を猛烈に買い進めていったのだ。
ここで上ページの表をご覧いただきたい。これは海外の大手機関投資家が2月前後から直近までに実際に取得した主な銘柄を並べたものである。一目でわかる通り、日本人にも馴染みのない知る人ぞ知る企業がズラリと並ぶ。業種も多岐にわたっていて、海外投資家はよくぞこんなところまでウォッチしているなと感心すらしてしまう。
この表をよく見ると、海外投資家の投資の「意図」が浮かび上がってくるのだが、おわかりになるだろうか。
たとえば、サンケン電気、住友ベークライト、ニッタ、伯東、ホシデン。聞き慣れない企業名かもしれないが、いずれも自動車メーカー向けに高品質の部品などを供給している超優良企業である。経営コンサルタントの鈴木貴博氏が言う。
「日本経済にとっていま一番大きいのは、自動車メーカーが真に復活してきたことです。円高にも耐えた技術力を羽ばたかせ、トヨタ、マツダ、富士重工業などが米国でクルマを売りまくっている。米国の権威ある消費者団体が最近発表した自動車ブランドの総合ランキングでも、トップ5のうち4つを日本勢が独占した。
日本経済の牽引役と言われるほどに裾野が広い自動車メーカーが息を吹き返したことの意味は大きい。その恩恵が、次に部品メーカーなどに広く深く染み渡っていくからです。部品メーカーなどはまさにこれから売り上げが大きく伸びることが期待できる」
しかも、元サムスン電子常務の吉川良三氏によれば、「円高時代に日本の中堅製造業は生き残りをかけて海外に進出。電機業界でも中堅企業が韓国サムスンや中国ハイアールに売り込みをかけるなど、ビジネスを広げていた」という。日本では製造業は円高不況を経て海外勢に大きく見劣りするようになったと言われるが、その底力は健在。海外投資家はその実力を見抜いていて、円安時代のいま再び、日本の「お家芸」が開花するシナリオを見始めているわけだ。
■日本の構造転換に気付いた
海外投資家は株だけではなく、そうしたモノ造りの「企業そのもの」や「人材」を買ってしまおうとする動きも加速させている。政策研究大学院大学名誉教授の橋本久義氏が言う。
「いま日本の製造業が持つ技術力に、改めて海外勢から注目が集まっているのは間違いない。中国からは、日本の中小企業に対して、相場の5倍の価格を提示してM&Aをしたいという話も出てきている。ある製造業の経営者は、中国企業から2億円の年俸を提示され、ヘッドハンティングを持ちかけられていました。
しかし、中小のモノ造り企業はまさにこれから好景気を謳歌しようとする段階に入っていて、とても強気。円高不況時とは違い、こうした買収攻勢にはまったく首を縦に振ろうとしないのです」
続けて海外投資家の投資先の共通点を見ると、イオンフィナンシャルサービス(イオンFS)、ウチヤマHDなど内需株が多く入っている。
「海外投資家が日本の構造転換に気付いている証拠です」と大和証券株式ストラテジストの野間口毅氏が指摘する。
「この2月からの株高局面の特徴は、大きく円安が進んでいないのに株が買われていることにあります。これまで日本株は円安=輸出企業の業績向上というシナリオで買われていましたが、いまは日本の内需が立ち上がってくることを見越した買いが入っている。
実際、今年の春闘で賃上げが実施され、マイナスだった実質賃金がプラスに転じるのはほぼ確実。海外投資家は日本のデフレ脱却を見通して、先に内需株を仕込んでいるともいえます」
日本は先進国でも例を見ない人口減少社会に突入するので、内需企業は総倒れする—国内ではそんな悲観論が「常識」のように語られているが、海外投資家の見方は違い、まだまだ成長余地があると見ている。
「国内には莫大な需要が眠っているからです。代表的なものが、高齢者市場。高齢者市場というと介護や医療を連想しがちですが、実は『遊び』などのレジャー分野が大きく期待できる。すでに平日昼間のスポーツクラブは高齢者で賑わっているし、シニア向けの音楽教室なども人気が高い。経済的にも時間的にも余裕がある人がさらに消費を膨らませれば、仮に海外需要に頼らなくても、日本経済は拡大できると見られているのです」(ニッセイ基礎研究所経済調査室長の斎藤太郎氏)
ここへきて小売り業界では再編が加速。ファミリーマートとサークルKサンクスを傘下に持つユニーグループ・ホールディングスが経営統合へ向けて協議を開始したり、セブン&アイ・ホールディングスが関西大手の万代と業務提携するなどしている。こうした動きも、「買い材料だ」と在米ヘッジファンドマネージャーは言う。
「日本は同業界に企業数が多すぎるのが特徴で、似たような企業が似た製品を格安競争で売る消耗戦を繰り広げてきた。これが再編で集約されれば、より魅力的な製品が生まれる可能性が高まるし、そうなれば消費も盛り上がる。(表中に)東芝テックが入っているのは、そうして内需が沸騰していけば、小売り向けに流通端末を売る同社の業績も伸びると見込んでのことでしょう」
■不動産もまだまだ割安
海外勢の投資先には、住友不動産、藤田観光、三菱倉庫など不動産系企業も目立つが、これも理由は明確。目下、海外投資家は日本の不動産を買いに買いまくっていて、それと並行して不動産関連株も買われている。海外投資家の不動産投資事情に詳しいS&S investments代表の岡村聡氏が言う。
「たとえば東京都心部のマンションは高騰していると言われますが、海外勢からすれば東京の高級マンションでも坪単価は香港の5分の1、シンガポールの3分の1と割安。香港では高級マンションが坪単価1億円をつけるほどなので、日本は投資先としてはまだ旨みがたっぷりある。中国、香港、台湾、シンガポールなどから投資が殺到するのは当然です。個人の外国人は高級マンションを買う傾向が強く、海外ファンドはオフィスビルに触手を伸ばしている。最近では、シンガポールの政府系ファンドが東京駅前の複合ビルのオフィス部分を約1800億円で購入しています」
この3月には、大阪・道頓堀の名物人形「くいだおれ太郎」で知られる商業施設ビルを香港の投資ファンドが購入。訪日外国人観光客の増加を見込んで人気スポットのこのビルを購入したというし、京都の不動産を物色する海外投資家も急増している。
さらに、マンション、オフィス、商業施設に限らず、「日本ではネット通販が好調なので、物流施設への投資も人気。最近ではマレーシアの公的年金基金が日本の物流施設に初めて投資した」(前出の在米ヘッジファンドマネージャー)。そこまで海外勢は日本の不動産を買いまくっているのだ。
繰り返すが、海外投資家が見ている風景は、多くの日本人が見ているそれとは大きく違う。そもそも、株、会社、ヒト、不動産と、海外勢が日本そのものを丸ごと買う勢いで動き出す。それは、なにより日本経済全体がこれから大きく浮上する予兆を見つけているからにほかならない。
たとえば、このほど内閣府が発表した昨年10-12月期のGDP統計。2月には実質前期比で年率2・2%増としていたものを1・5%に下方修正したのを見て、「やっぱり日本経済はダメじゃないか」と思った方も多いだろうが、それは杞憂である。実はこの統計をよく見ると、日本経済復調の兆しを示すシグナルが隠されている。
「GDPを押し下げた一因に在庫の減少があります。在庫の減少は統計上はGDPでマイナスにカウントされますが、実態としては在庫がはけるほどに企業は好調で、これからは増産に移行する態勢が整っていることを意味します。このほどの統計では、GDPの約6割を占める個人消費も伸びていた。好景気への兆しが見えてきたといえます」(前出・野間口氏)
■これからが本番だ
GDP統計では企業の設備投資が前期比マイナスとの結果も示されたが、「今年1-3月期にはプラスに転じる可能性が高い」とSMBC日興証券シニアエコノミストの渡辺浩志氏は言う。
「実は機械受注統計という設備投資の先行指数となる統計を見ると、昨年6月からV字回復しています。機械受注から設備投資までには半年ほどのタイムラグがあるので、今年1-3月期の数値から反映されていくと予想されます。特にアジア向けの部品輸出が好調なうえ、原油安で輸入コストが下がっているので、企業は設備投資に動きやすい。設備投資が動き出せば、景気が上向き、消費アップにもつながる。日本経済は循環的な回復局面に入ってきたのです」
みずほ総研主席エコノミストの武内浩二氏もこう指摘する。
「ここへきて経営者のマインドが前向きに変わってきたのは大きい。これまで日本企業は、リーマン・ショックなどの突発的な事態に備えるために儲けたおカネを内部留保で貯めこんできました。しかし、ここへきて積極的に海外企業を買収したり、賃上げして消費を喚起しようとする動きが出始めています。さらに国内への設備投資が大きく動き出せば、より力強い景気回復のサイクルに入るでしょう」
もっと言えば、「年度明けからは3兆円規模の補正予算の効果も期待できる。今年度の補正予算は、アベノミクスの副作用でこれまで割を食ってきた家計、中小企業、地方に多くが割り当てられるので、今年後半に向けて景気回復の勢いが増していく可能性が高い」(第一生命経済研究所主席エコノミストの永濱利廣氏)。
こうした財政出動は財政悪化を招くという批判もあるが、「企業業績の回復によって税収が増加していることで、前倒しでプライマリーバランス(基礎的財政収支)の黒字化が達成できるかもしれない。財政不安が減れば国債暴落リスクも低下するので、日本経済にとっては大きなプラスとなる」(富士通総研上席主任研究員の米山秀隆氏)。
経済のプロたちが「景気の好循環が動き出す」と太鼓判を押す背景には、このような事情がある。
だから、「株もまだまだ上がる」と、マネックス証券チーフ・ストラテジストの広木隆氏は言う。
「日本株はこの20年間以上、バブル崩壊のツケを払ってきましたが、ようやくそれを清算して本当の株高の世界に突入しようとしている。企業も脱デフレを意識して、300兆円以上に膨らんだ内部留保を動かし始めた。日本株は少なくとも4月末には2万円を達成するでしょう」
エコノミストの武者陵司氏もこう言う。
「いまの相場はまだ通過点に過ぎません。失われた20年に歯を食いしばって技術を磨いてきた日本企業が、いよいよ企業業績を劇的に好転させる刈り入れ時に入るからです。日本企業の実力からすれば、現在の株価はまだまだ割安の水準です。今後は年内に2万5000円を、そして2020年に向けて'89年につけた3万8915円という史上最高値を更新するほどまで上がっていくでしょう」
空前の好景気は夢物語ではない。海外投資家たちは自信を失う日本人に、そんなメッセージを投げかけている。
「週刊現代」2015年3月28日号より
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