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米国政府はこれ以上「ドル独歩高」を許さない(ダイヤモンド・オンライン)
http://www.asyura2.com/15/hasan94/msg/592.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 3 月 23 日 08:22:05: igsppGRN/E9PQ
 

米国政府はこれ以上「ドル独歩高」を許さない
http://diamond.jp/articles/-/68805
2015年3月23日 真壁昭夫 [信州大学教授]  ダイヤモンド・オンライン


■“米国一人勝ち”の状況下で続くドル高トレンド

 足元の為替市場でドル独歩高の傾向が鮮明になっている。ドル独歩高の主な理由には、世界経済の中で“米国一人勝ち”の状況になっていることがある。

 米国景気はしっかりした足取りで回復傾向を辿っており、懸念された労働市場の失業率も5.5%へと順調に下落している。それを反映して、米国の金融当局(FRB)は既に昨年11月に金融緩和策を終了し、今年6月以降、政策金利の引き上げを行うとの見方が有力になっている。

 一方、わが国や欧州諸国などの主要先進国、中国を中心とした新興国の経済状況は、依然として低迷が続く。わが国やユーロ圏では量的緩和策が実施されており、潤沢な流動性が供給され続けている。

 中国でも昨年から既に2回の金利引き下げが実施されており、今後、景気刺激のためにさらに金利水準が下げられることが予想される。その結果、米国とそれ以外の主要国の経済状況・金融政策のベクトルが反対方向に向かっている。

 当面、そうした世界経済の構図は続くだろう。そうなると、実体経済や通貨間の金利差を考えても、ドルが強含みの展開になることは自然の動きと言える。基本的に、ドル高トレンドはこれからも続くはずだ。

 しかし、ドル独歩高にも問題がある。海外展開が進んでいる米国企業にとって、自国通貨であるドルが強くなり過ぎるのは収益にも大きなマイナス要因となることだ。重要なポイントは、米国政府がドル高のマイナス面をどこまで容認するかだ。

■ドル高容認と言いつつも本音は企業にとって適度なドル安

 米国の一人勝ちである世界経済のファンダメンタルズを考えると、為替市場でドルが買われやすいのは当然だ。米国とそれ以外の諸国の金利差を見ても、金利上昇余地があるドルに投資家の買いが集まりやすいからだ。

 同国は、今までのところドルが独歩高の傾向を示していることを容認してきた。政府が為替市場の動向を静観してきた背景には、米国経済が相対的に堅調な展開になっていることに加えて、わが国やユーロ圏諸国の景気の回復が遅れていたことがある。

 米国としては、自身が牽引役となって世界経済を引っ張る意識が強かったのだろう。自国経済の展開がしっかりして、企業業績も明確に上向いていたため、多少ドル高に振れても、景気回復の腰が折れる可能性は低いと考えた。

 伝統的な経済運営の方策には、財政・金融政策があると教えられてきた。しかし、経済のグローバル化が進むと、為替の動向が経済に重要な影響を与えるケースが増え、財政・金融に加えて、もう一つ為替政策を経済運営の手段に含める考え方が多くなっている。

 企業の海外展開が進み、為替動向が米国経済に大きな影響を与えるようになると、同国政府としても為替動向を抜きでは有効な経済運営が難しい。経済運営手段は、財政・金融・為替の三本立てになっているとの見方が有力だ。

 今までの米国は、為替政策に関する考え方として、自国経済が堅調な間、基本的にドル高を容認する寛大なスタンスを取ってきた。しかし、いったん自国経済に陰りが出ると、そのスタンスは一変することが多い。

 米国政府は表面的に「ドル高が好ましい」と言うものの、本音では「米国企業の業績が良くなる程度のドル安傾向」を望むケースがよく見られた。自国通貨がやや弱含みとなり、企業の業績が改善することを狙っているとみられる。

■政府とヘッジファンドの微妙な相互依存関係

 米ドルが基軸通貨である以上、為替市場で最も重要なインパクトを持つのはドルの趨勢であることは言うまでもない。

 米国政府は、為替市場の動きを自国経済の動向に呼応させて常にモニタリングしている。そして、何らかの措置が必要と判断したときには、高官が為替市場を牽制するような発言を行なったり、G7会議などでドルの動向に懸念を表明するなどの手法で、為替市場の動きを抑えるような行動を取ることが多い。

 元々、各国通貨の動向は、当該国の経済状況や貿易収支、さらには金利差などの経済の基礎的条件=ファンメンタルズによって規定される部分が大きい。特に、短期的に見ると、通貨間の金利差が為替の重要な決定要因となる。

 一般的に、投資資金は金利の低い通貨から、金利の高い通貨に流れる。ドル・円の為替を見ても、指標である米国債2年物の金利から、日本国債の2年物の金利を引いた差=スプレッドが広がる可能性が高まる。

 特に為替市場で最も大きな取引を行うといわれるヘッジファンドは、こうした金利差に着目して為替の持ち高=ポジションを作ることが多い。彼らは稼ぐことが主目的で、世界中の経済変化に極めて敏感に反応する。

 中でも、米国政府の為替政策には常に神経を尖らせており、FRBや政府高官が、金利や為替に関してどのようなスタンスを取っているかを常に綿密にモニタリングしている。

 一方、米国政府もヘッジファンドなど大手投資家の動きを注視しており、「高官の発言でヘッジファンドなどが一定の行動を取るだろう」との予測を勘案して、為替政策を運営しているとみられる。そうした見方からすると、米国政府とヘッジファンドなど大手投資家の間には、それなりの相互依存の関係が存在するとも考えられる。

■米国産業界で強まるドル高是正の圧力

 米国政府が為替政策を考える上で、最も重要なファクターは国内経済の動きだ。経済が堅調であれば、政府としても為替の動きにそれほど神経を尖らせる必要はない。

 しかし、経済の先行きに不透明感が出たり、企業業績に伸び悩みの兆候が見えだすと、そろそろ為替政策に変化が出始める。特に政府が神経を使うのは、企業経営者の発言や業界団体からの要請、さらには政治家の世論形成の動きだ。

 ドルは昨年1年間で、円やユーロなど主要通貨のバスケットに対して約13%上昇した。昨年の米国貿易赤字は約7300億ドルと約5%拡大した。赤字拡大の背景には、ドルが大きく上昇していることがあるとの見方が有力になりつつある。 

 特に、中国や韓国、さらには欧州諸国との貿易は過去最大の赤字を記録した。そうした状況に対して一部の下院議員から、「他国が自国通貨を切り下げることで、ドルが上昇しているは不公平」との発言も出ている。

 一方、産業界からもドル高に対する懸念が表明される頻度が高まりつつある。米国には輸出比率が高い企業も多い。また、海外展開が進んだ企業にとってドル高が進行することは、海外で上げた収益のドルベースの手取り額が減少することになる。

 株式市場でも、ドル高による企業業績の伸び悩みを懸念する声が高まっており、足元のニューヨーク株式市場でドル独歩高が鮮明化すると、米国主要企業の株価がさえない動きを示すことが多くなっている。

 問題は、政府やFRBが自国経済の動向を睨みながら、どこまでドル強含みを容認するかだ。足元の堅調な経済展開を見ると、短期的に米国の政策当局がドル高の是正に動くとは考えにくい。

 しかし、このままドル高を何年も容認するとも考えにくい。恐らく、来年にかけて、米国のGDPが伸び悩み、株式市場でもドル高懸念の声が高まってくるようだと、政府やFRBがドル高に対する懸念表明を行うと見る。

 そのタイミングに呼応して、ヘッジファンドなど大手投資家は積み上げたドル買い持ち=ドル・ロングの利益確定に動くことが想定される。為替市場の動きは少しずつ変化する可能性がある。


 

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コメント
 
01. 2015年3月23日 08:56:06 : XSnfNVH0E6
はてはて、どう解釈すべきでしょうね。
米国政府はこれ以上「ドル独歩高」を許さない、と言う事は「他の特定の通貨と一緒にドル高になる可能性がある」、と言う事かな?
それと「ではドル安になるのか?」と言うとそうは言ってない。
だとするとこの記事の表現では「ドルは買っておいても、仮に得は無くても損はない」と言う事になるのかも。
まあ、でも何が起きるかはわからない。上にも下にも。
何しろ「金融政策はトークだ」そうだからネ。
「ドル高が続くと米国の輸出力が減るから続けられない」とか言う人がいますが、米国は巨額の賠償訴訟とかで外国の、特に自動車関連とかの工業製品は簡単に排除できますから、そう言う面に限ってはあまりドル安は期待できないと個人的には思います。

02. 2015年3月23日 11:25:08 : nJF6kGWndY

>ドル高を何年も容認するとも考えにくい。恐らく、来年にかけて、米国のGDPが伸び悩み、株式市場でもドル高懸念の声が高まってくるようだと、政府やFRBがドル高に対する懸念表明を行う

利上げもまだなのに気が早いなw

まあ、相対的には衰退が続くとしても

移民の流入や世界最強レベルの科学技術とイノベーション、柔軟な経済構造などで、絶対的な成長は、まだ続くから

米国経済は、プチバブル崩壊などはあっても、暫くは、こうした循環的な動きを繰り返すのだろう


03. 2015年3月23日 13:50:58 : FmZeRF5yeA
FRBは利上げが恐くてしょうがない。

円安にビクビク。


04. 2015年3月23日 18:07:24 : nJF6kGWndY

少なくともドル高でディスインフレになったからと言って、喜んで舞い上がる者はあまりいないだろうな

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0MJ0I720150323
アングル:世界的な通貨戦争に米英も参戦か、ドル高基調の変化に要警戒
2015年 03月 23日 16:25 JST
[ロンドン 20日 ロイター] - 年初から主要国中銀が次々と金融緩和に動き、各国が「通貨戦争」に突入したとの見方が広がるなか、イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長のドル高への言及で、世界的規模での通貨戦争の現実味は一段と増したようだ。

今年に入ってから、平均すると2.85日ごとにどこかの国で利下げが実施された計算になる。欧州中央銀行(ECB)は1兆ユーロ規模の量的緩和を開始。中国やインド、ロシアなどの新興国も利下げに動き、デンマークやスイスの金利は今やマイナスだ。

こうしたなか、通貨戦争の最前線で大きな動きがあった。中央銀行の中央銀行と呼ばれる国際決済銀行(BIS)が18日、「緩和策はさらなる緩和策を生み出す」と指摘した。BISは「通貨戦争」といった表現は避けたものの、そのメッセージは明確だ。

また同じ日に、イエレンFRB議長もしびれを切らしたようだ。議長は、連邦公開市場委員会(FOMC)後の会見で、ドル高は米経済に「かなりの打撃」となる可能性があると述べ、ドル高懸念を表明。FRBも通貨戦争に参戦することを示唆した。

この日のドルはユーロに対して大幅に下げ、1日の下げとしては6年ぶりの大きさとなった。ドルは他の主要通貨に対しても2年半ぶりの大幅な下げを記録した。

米国以外の主要国で唯一利上げが予想されている英国でも、中銀がポンド高への警戒感を表明。スウェーデンも利下げと量的緩和の拡大を発表し、市場を驚かせた。

SEBインベストメントのアセットアロケーション部門代表、ハンス・パターソン氏は「各国の成長は低迷しており、為替相場の水準がますます重要視されている」と指摘。景気回復が当面見込めないなか、各国中銀は自国通貨を押し下げ、出来る限りの成長を確保するため、今後も緩和策を講じるだろう、との考えを示した。

その上で「グローバルな投資という点で通貨戦争は最も注目すべき可変要因で、その影響の理解に努めたい」と語った。

<ドル高基調は終わりとの見方も>

ドル高ユーロ安でユーロ圏企業の売上が大きく伸びるとの期待から、年初からの欧州株ファンドへの資金流入は過去最高を記録した。

ドルの一段高を見込む数十億ドル規模の投資信託は、ドル以外の通貨建ての資産を縮小し始めており、ユーロや新興国市場の資産売りにつながっている。

ただ、通貨戦争の前線では、今週のFRBとイングランド銀行の為替相場への言及を受け、明らかに変化があった。投資家は今後の戦略をより慎重に練る必要がある。

これまで米国は他通貨の下落の負担を一手に引き受けてきた。通貨安の国は、比較的景気が好調な米国に自国のデフレを輸出することが可能だった。

しかし、HSBCの為替戦略部門代表、デービッド・ブルーム氏は、この先のドル高は全ての資産や新興国市場、中銀の金融政策に「暗く破壊的な」影響を及ぼすとの見方を示している。

同氏は、株価はドルの上昇継続に一段と神経質になり、新興国でドル建ての債務を抱える人や政策当局者は、ドルの動きに一喜一憂するようになると指摘。

ブルーム氏と彼のチームは、市場のコンセンサスとは逆に、2017年末のユーロ/ドル相場は1.20ドルと、これまでよりもユーロ高ドル安に見通しを修正した。

ただ、それとは対照的にゴールドマン・サックスとドイツ銀行は今月、ユーロ/ドル相場を0.80ドル、と0.85ドルにそれぞれ引き下げている。

ブルーム氏は「これまでのドル高は全世界ににとりプラスで建設的だったが、そうした局面は終わった」と語った。

(Marc Jones記者、翻訳:伊藤恭子 編集:加藤京子)


05. 2015年3月23日 19:11:20 : 0nb7E1ZY2M
さあ、わからんね。
「ドルがそろそろ下がる」と思わせてドル売り誘った後に、強烈な踏み上げとかする為のワナかもネ。
まあその逆もある。
市場はカジノさ。

06. 2015年3月24日 01:26:08 : jXbiWWJBCA

倉都康行の世界金融時評
崩れ始めた「米国経済独り勝ち」利上げ先送りで資産バブル再開も
2015年3月24日(火)  倉都 康行


 昨年来、世界経済の減速過程において米国経済だけは「独り勝ち状況」だと言われてきた。筆者も昨年10月に本コラムに「なぜ米国経済だけが好調なのか」という一文を寄稿し、同国の得意技とも言えるレバレッジ型経済が復活しつつあることを指摘した。FRBも年内には利上げに踏み切る可能性が高い。
 だが、ここ数カ月の米国経済の歩みには市場が予想していたほどの勢いはない。例えば、年初には今年の米国経済成長率は3%を超えるとの期待感も強まったが、昨今の経済指標はそうした楽観を裏付けるものではない。
 市場には、昨年同様に大雪など悪天候の影響が主因だとする見方もある。だが、最近の経済指標の殆どが市場予想を下回っているという事実は、それだけで説明されるものではない。ここ1カ月の間に公表された指標でも、ISM景況感指数、CB消費者信頼感指数、個人消費・個人所得、小売売上高、自動車販売台数、中古住宅販売件数、住宅着工件数、各連銀の製造業景況指数などいずれも予想を割り込んでおり、唯一元気そうに見えたのは雇用統計だけであった。
 ブルームバーグが作成している「米国経済サプライズ指数」は、同国経済指標の結果が市場予想を上回った数と下回った数の差を指数化したものだが、現時点でその数値は2008年12月以来の最低値にまで落ち込んでいる、という。つまり、予想に届かなかった指標が続出している、ということだ。
 またシティグループも同様にグローバル版の「サプライズ指数」を公表しているが、3月中旬時点の国別ランキングでは米国が「最大の失望国」となっている。FRBは経済点検において「海外リスク」を懸念し始めているが、実際には足許の「米国リスク」に相応の注意を払わねばならない状況にあるのかもしれない。
 反対に「ポジティブ・サプライズ」の点で見れば、ユーロ圏が上位に食い込んでいることがわかる。EPFRに拠れば、年初来のユーロ圏株式ファンドへの資金流入は356億ドルと昨年第1四半期の320億ドルを超えて最高値を更新しており、反対に米国株ファンドからは336億ドル流出している、という。
 ECBの量的緩和の実施前から進行しているユーロ安を背景に、ドイツ株式市場のDAX指数は史上最高値を更新している。ユーロ圏経済の中核を為すドイツ経済には、恐らく量的緩和など不要であっただろう。そんな「不要なマネー」が株式市場に溢れ出て、日本株もそのおこぼれに与っているようだ。
「現代社会には経済的孤島など存在しない」
 ともあれ、米国経済の「独り勝ち」ムードにやや変化が出てきたことは確かである。そもそもグローバル化した経済において、世界最大の経済大国とはいえ一国だけが好調を維持できるのか、と疑問を抱いていた人もいただろう。
 以前から、新興国経済の先進国離れなど「デカップリング説」がメディアにたびたび登場してきたが、現実の各国の経済は様々なルートで結びついている。昨今の冴えない米国経済指標は、世界最大の経済国さえも新興国経済の低迷や世界的なディスインフレ傾向から完全に逃れられないことを示しているように思われる。ウェストウッド・キャピタルのダニエル・アルパート氏の言葉を借りれば「現代社会には経済的孤島など存在しない」のかもしれない。
 同国の雇用市場は間違いなく改善基調にあるが、労働参加率は低水準のままであり、潜在的労働者数がまだかなりの水準にあることを示している。失業率が低下しているのに賃金上昇率が上向かないのは、米国の自然失業率が低下しており、かつ高給与と低給与の労働二極化が進む中で後者が増加しているのに対し、前者の伸び率が頭打ちとなっているからだろう。
 現実に、長期間失業していた人々が低い給与でも仕事に就こうとする傾向が強まっている、とニューヨーク・タイムズ紙は報じている。イエレン議長が以前指摘したように、金融危機の際に企業が賃金水準を下げなかった為に賃金が上がりにくくなっている、いわゆる「ペントアップ賃金デフレ」の状態がまだ続いている可能性も高い。
 確かに雇用増トレンドの中では「賃金増は時間の問題」と見ておくのがオーソドックスな立場だろう。だが賃上げや正社員待遇を望む社会の声に企業が応えるには、経営者が持続的成長への確信を抱くことが必要になる。市場予想を下回る経済指標が相次ぐ中では、躊躇するCEOも少なくないだろう。
 米国の経済成長は個人消費に多くを依存しており、輸出依存度は13%程度に過ぎない為に海外要因の影響は受けにくい、と言われることも多い。だがドル高は間違いなく企業業績への逆風となっており、輸出減による貿易赤字拡大が成長率を下押しする可能性は否定できない。その点を浮き彫りにしたのが、先週のFOMC後の記者会見で市場を驚かせたイエレン議長の発言であった。
あっさり消えた「3%成長」
 同議長の就任以来、今回のFOMCほど注目を集めた会合はなかった、と言っても過言ではあるまい。当日の為替市場でのユーロドルの動きは、世界中の投機筋が大慌てでドルロングを投げ捨てたような相場となった。1月のスイス・ショックほどではなかったが、ドル円にも強烈な売りが浴びせられるなど、血の気が引くようなドル売りとなったのである。
 それは、FRBの成長見通しや委員の政策金利見通しが下方修正され、利上げペースは緩やかになるとのニュアンスが示されたことが大きい。そしてイエレン議長の発言から、FRBの利上げへの傾斜姿勢に修正を掛けたのがドル高であることも明らかになった。
 同議長は、6月利上げの可能性は否定しないと述べつつも、成長見通しが下方修正された背景としてドル高による輸出の鈍化を挙げ「ドル高が成長の足枷になることは確実だ」とまで言い切ったことが注目される。雇用市場の改善という順風の一方で、賃金や労働参加率に懸念ありと見方も示しているが、やはり今回の記者会見における最大の目玉は、議長の「ドル高懸念」であったと見ておくべきだろう。
 米国の利上げは恐らく9月以降となり、その後の利上げペースもFRBが従来想定していたよりももっと緩慢なペースになりそうだ。準備通貨としてのドルのメリットを存分に享受してきた米国が、ドルの制約から思うような金融政策を発動できないというのも皮肉なものである。
 今回のFOMCで示された経済見通しでは、2015年の成長予想は昨年12月時点の2.6〜3.0%から2.3〜2.7%へ、2016年が2.5〜3.0%から2.3〜2.7%へとそれぞれ下方修正されている。因みにIMFが1月に公表した経済見通しでは、2015年の世界及び主要国の成長予想が下方修正される中で、米国だけは3.1%から3.6%へと大幅に上方修正されていた。そんな3%成長という期待値は、FRBのメインシナリオからはあっさりと消えてしまったのである。
 そもそも各国のGDPは四半期ベースの速報値ですら約1カ月遅れでの公表となり、翌月には改訂され、次の四半期が終わる頃になって漸く確定されるのが現状だ。当たらないとの批判が絶えない天気予報も現時点の観測精度は高まっているが、経済予測は現状すらも上手く把握できていない。
「フォーキャスト」から「ナウキャスト」へ
 経済予測は「フォーキャスト(Forecast)」と呼ばれるが、これに対し最近ではビッグデータを扱う「ナウキャスト(Nowcast)」という手法が脚光を浴びている。これまさに天気予報で利用されている技術を採り入れたもので、日本では物価水準をリアルタイムに測ろうとするプロジェクトが進行中だが、米国ではGDPの「ナウキャスト」が注目されている。
 現在、オープン情報として筆者が利用しているのはアトランタ連銀による分析だ。同連銀は独自のモデルを開発し、重要な指標が発表されるたびにGDP予想をアップデートしている。それは同連銀のウェブサイトにおいて、「GDPNow」として月に5〜6回程度の頻度での修正値が公開されている。
 因みに、その「ナウキャスト」による3月17日現在の米国第1四半期GDPの予想値は0.3%となっている。2月中旬までは2.0〜2.5%のレンジであったが、それ以降、予想を下回る経済指標が相次いだことで「ナウキャスト」は低下の一途を辿っているのだ。
 その予測精度に疑問を抱く向きも有ろう。バックテストは必ずしも未来の予測精度を保証しない。だが現在のGDP捕捉方法に依存する現状判断は、いわばバックミラーに映った道路を確認しながら自動車を運転しているようなものである。その危うさを考えれば、こうした新しいアプローチを無視する理由もなかろう。
 余談ではあるが、この「ナウキャスト」を世界のGDP把握に応用しようとする作業を行っているのがフランス中銀の2人のエコノミストである。彼らが開発した手法を用いれば、現時点のGDP把握だけでなく、1月の指標をもとに通年のGDPを高い精度で予想することも可能になる、という。
 そのモデルに拠れば、2015年の世界経済予想として1月時点では2.8%、2月には3.0%という数字が算出されている。3月は、ユーロ圏の景気回復で上向いた部分を米国が削ぎ落としてしまったかもしれない。
米国債保有を増やし続ける大手銀行
 「ナウキャスト」のようなモデルではないが、極めて実務的な面での米国経済の足踏み状態を示している話題もある。それは米銀における資産構造の変化だ。特に米国債保有を大幅に増やし続けている大手米銀の動向は、米国経済の実態を把握する何らかのヒントになるかもしれない。
 例えば大手米銀は、金融危機以降のモーゲージ関連の法的処罰に懲りて、個人向けの住宅ローン供給を渋っている。住宅金融に最も強いウェルズ・ファーゴですら、その昨年の伸びは1%未満であった。
 米国の経済指標の中でも住宅市況の低迷感が際立っているのは、こうした銀行の姿勢が影響している、と言われている。確かに1月中古住宅販売件数は前月比4.9%減の年率換算482万戸となり、市場予想を下回る9カ月ぶりの低水準に落ち込んだ。モーゲージ金利は依然として低水準だが、住宅販売を加速するには至っていない。2014年通年の中古住宅販売件数も前年比減少するなど、雇用市場に見られる回復感とは全くの別世界である。
 だが、大手米銀が消極的になっているのはモーゲージだけではない。大手4行の昨年のカードや学資などを含む消費者向けローン総額は前年比5%の伸びに止まり、企業向け融資の13%増と比べて大きく見劣りしている。因みにバンカメは4年連続で消費者向けローン総額が減少中である。
 一方で預金量は増えるばかりであるが、企業の資金需要が本格化している訳でもなく、個人向け融資に消極的な大手米銀の選択は、必然的に「米国債投資」となる。
 ブルームバーグに拠れば、全米銀の米国債・米機関債の保有額は16カ月連続の増加で昨年末には2.1兆ドルと過去最大規模となった。うち大手4行の保有額は前年比2倍以上の2518億ドルに達したが、中でもバンカメの保有額は約10倍となっている。
 その背景には、規制強化によって高水準の流動性資産を維持せねばならなくなったという要因もあろうが、銀行経営者が米国経済動向に対してそれほどの楽観を抱いていないことも一因ではないだろうか。
 こうした米国経済への慎重な見方は、債券投資家の支持を集めつつある「長期停滞論」と同期しているようにも見える。今後はFOMCが醸し出すハト派的なムードで長期金利が低位安定し、株式市場がさらに勢い付くシナリオも有り得るだろう。
 折しもナスダックは先月5000の大台に乗せ、2000年3月10日に記録した5048.62という最高値の更新を狙える位置に着けている。その採用銘柄はダウ以上に大きく変化しており、2000年当時のレベルと比較することにそれほどの意味はないのかもしれないが、市場が15年ぶりとなる最高値更新を強く意識していることに変わりはない。
 赤字企業でもIT関連と名乗れば株価が急騰した当時と違い、市場には現在のナスダック構成銘柄のバリュエーションにそれほどの過熱感はないとの見方が大勢である。ナスダックがITバブル期の記録を書き換えるのは時間の問題かもしれない。
想像以上に深刻な主要新興国経済
 だが冷静に考えておきたいのは、世界のあちこちに経済的な不安要素が埋まっている中で、株価上昇トレンドが継続するかどうかである。特に主要新興国の経済は、想像以上に深刻な状況にあると見ておきたい。
 成長失速が明らかになってきた中国をはじめ、プーチン大統領の失踪騒ぎなど政治面でも不安が浮上し始めたロシア、国益企業ペトロブラスを巡る汚職や経営難など政治経済面で重大な岐路に立たされているブラジル、急増したドル建て債務の返済に窮するインド、金融政策への露骨な政治介入姿勢を強めるトルコなど、主要新興国はいずれも厳しい状態に直面している。
 米国経済の「独り勝ち説」が市場を席巻していた時点では、こうした問題は視野に入ってこなかったが、その神話が崩れつつある以上、世界各地に埋め込まれた時限爆弾を無視することできない。利上げの可能性が消えない限り、米国が嫌うドル高も進むだろう。
 実体経済や資本市場は「孤島」ではいられない。ベアに湧く日本経済や日経平均2万円を目指す日本株、そして超低金利水準を維持する日本国債も、決して例外ではない。



倉都康行の世界金融時評
日本、そして世界の金融を読み解くコラム。筆者はいわゆる金融商品の先駆けであるデリバティブズの日本導入と、世界での市場作りにいどんだ最初の世代の日本人。2008年7月に出版した『投資銀行バブルの終焉 サブプライム問題のメカニズム』で、サブプライムローン問題を予言した。理屈だけでない、現場を見た筆者ならではの金融時評。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20150320/278970/?ST=print 


07. 2015年3月24日 02:12:03 : jXbiWWJBCA

米中古住宅販売:2月は488万戸−2カ月連続で500万戸下回る
2015/03/24 00:33 JST
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  (ブルームバーグ):2月の米中古住宅販売は2カ月連続で年率500万戸に届かなかった。価格上昇や在庫不足が影響した。
全米不動産業者協会(NAR)が発表した2月の中古住宅販売件数 (季節調整済み、年換算、以下同じ)は、前月比1.2%増の488万戸。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は490万戸だった。
BMOキャピタル・マーケッツのシニアエコノミスト、ジェニファー・リー氏はリポートで、「なお低水準にある在庫が引き続き影響し、住宅販売はやや横ばい傾向となっている」と指摘。その上で、「ペースは抑えられているものの所得は増加、借り入れコストも依然低く、雇用も創出されている。引き続きこうした状況が、力強さを増す米住宅市場を支える柱となっている」と記した。
中古住宅価格(中央値)は前年同月比7.5%上昇し20万2600ドル(前年同月は18万8400ドル)。この伸び率は過去1年で最大。
中古住宅在庫は189万戸と、前年同月比で0.5%減となった。販売に対する在庫比率は4.6カ月で前月から横ばい。
統計の詳細は表をご覧ください。
原題:Sales of Existing U.S. Homes Fall Short of 5 Million Pace (2)(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ワシントン Michelle Jamrisko mjamrisko@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Carlos Torres ctorres2@bloomberg.net
更新日時: 2015/03/24 00:33 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NLO80N6VDKHW01.html


クリーブランド連銀総裁:6月利上げは「実現可能な選択肢」
2015/03/23 21:04 JST

  (ブルームバーグ):クリーブランド連銀のメスター総裁は、米経済は力強さを増しており6月の利上げは依然、可能だとの考えを示した。
同総裁は23日パリでブルームバーグテレビジョンのインタビューに応じ、現在の米経済の弱さは「一時的だ」とし、見通しについては「より楽観している」と述べた。
「われわれが体験していた向かい風は弱まりつつある。金融を見ると、企業も家計もバランスシートが改善しているように見えるし、銀行は資本を増強した」と指摘。「従って、私は経済に幾分の強さを感じる」と語った。
今月の連邦公開市場委員会(FOMC)声明から「辛抱強く」の文言が削除されたことは、利上げ時期として「6月が実現可能な選択肢」であることを意味するとも述べた。
「年内に利上げをすることは妥当だろう」とし、「必ずしも6月に行動するということではないが」同月の実行は可能との考えを示した。
ドル相場については米経済の「相対的な強さ」を反映していると指摘。ドル高は輸出の重しになり2015年の景気拡大にとってはマイナスだろうと述べた。
原油安は石油部門の投資回収にはマイナスでも、「消費拡大を促してくれるという点ではプラスだ」とも語った。
原題:Mester Says June Is a ‘Viable Option’ for Fed Rate Increase(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:チューリッヒ Stefan Riecher sriecher@bloomberg.net;ロンドン Manus Cranny mcranny@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Fergal O’Brien fobrien@bloomberg.net Scott Lanman
更新日時: 2015/03/23 21:04 JST


08. 2015年3月24日 16:31:14 : tgCtLPnG8g
07. 2015年3月24日 02:12:03 : jXbiWWJBCA


 (ブルームバーグ):2月の米中古住宅販売は2カ月連続で年率500万戸に届かなかった。価格上昇や在庫不足が影響した。
住宅販売はやや横ばい傾向となっている」と指摘。その上で、「ペースは抑えられているものの所得は増加、借り入れコストも依然低く、雇用も創出されている。引き続きこうした状況が、力強さを増す米住宅市場を支える柱となっている」と記した。>

今(ブルームバーグ):はFRBとコラボで全てが住宅工作の為とみてよい。
いかなる状況でも悪くはいえない。

0金利で人口呼吸のFRB虎の子住宅、利上げで住宅は大きな相場調整にはいる。
利上げに戦々恐々のFRB。
ドル高、ドル安、ドチラにしようかな。


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