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[大機小機]アベノミクスで競争力を高める
リフレ政策は円安・株高で成果を上げているように見えるが、内閣府の直近のデータによると、2014年の実質成長率はマイナス(マイナスゼロ)、名目で1.6%にすぎず、デフレ脱却が緒に就いたと言われてもピンとこない。15年の予想を前提に物価上昇の期待から企業、消費者行動が活発化するというシナリオでは迫力不足である。
特に消費者はこれだけ値上げが続く中で、中国人観光客の爆買いの逆の行動をとっている。確かに春季労使交渉ではベアに踏み込んだ賃上げが目立ってきた。しかし、その対象は円安メリットが大きい輸出企業に限られ、多くの内需型企業や下請けまで恩恵が及ぶ気配はみられない。
例えば、消費者ニーズを取り込んで成長してきた経営モデルのコンビニエンスストアや外食の一角は苦戦している。今年の賃上げは企業間格差を顕著に表す結果となるだろう。
アベノミクスの施策、とりわけ第1の矢の金融緩和を続けられる時間はどれくらい残っているのだろうか。日銀が目指している消費増税分を除いた消費者物価上昇2%が、いつ達成されるのか不透明だ。財政健全化の展望を説明できるとしても、17年4月の消費増税が決まるであろう16年半ばまで時間があるとは思えない。国民の忍耐力も途切れよう。
足元で国内総生産(GDP)デフレーターは上昇してきており、これ以上の円安は弊害が大きいと考えるべきだ。コストプッシュ型の悪性インフレにならないよう手を打たなければならない。
さらに取り組みが遅れている第3の矢を抜本的に洗い直すことだ。それには政府・官僚が「中央目線」ではなく、民間のサポートに徹すべきだ。日本の製品やサービスの高付加価値化に経営資源を集中して産業競争力を高め、交易条件を改善する。付加価値創造力の深化、増進を国策に掲げるべきであろう。そして、その果実は企業が賃上げで幅広く分配する。
要は、改革に国民全体を巻き込むことが足りない。賃金の上昇や国の財政を維持できる見通しが立つか。公的年金・医療などサービスの効率化の行く末が見え、将来の生活が成り立つことを示せるのか。「所得の拡大と再分配ができる公正な政府」への信認が確固として初めて、消費者の財布のヒモが緩む。
(石巻)
[日経新聞3月18日朝刊P.19]
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