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全人代後も中国は国際金融分野の拡大路線を進めそうだ(共同)
【お金は知っている】英も取り込まれた「人民元帝国」 習主席の野心は経済面にとどまらない
http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20150320/ecn1503201140004-n1.htm
2015.03.20 夕刊フジ
先に閉幕した北京の全国人民代表大会(全人代)の期間中に、習近平国家主席を欣喜雀躍させる国際ニュースがロンドンから発信された。
英国が中国主導で設立準備中のアジアインフラ投資銀行(AIIB、本部北京)への参加を発表したのだ。AIIBについては、米国が同盟国に参加しないように要請してきたが、最大の盟友が入るとあっては、対米配慮から態度を保留してきた豪州、韓国仏独などもなだれを打って参加しそうだ。
AIIBの資本金は1000億ドル(約12兆円)で、うち半分を中国が受け持つが、アジアでは年間で7000億〜8000億ドル、円換算で100兆円前後の需要がある。最大の国際金融市場、ロンドンで有利な条件で資金調達できる道が開けた。
習主席の野心は「米中心の国際金融秩序への挑戦」どころではない。最終的な狙いは、「すべての道は北京につながる」と言わんばかりの人民元経済圏の構築である。習主席が昨年11月に打ち上げた新シルクロード経済圏構想は、ユーラシア大陸から欧州大陸、さらに中近東、アフリカ、東南アジア、東アジアと鉄道、通信、港湾を中心にしたネットワークで結ぶ。AIIBはその資金源となる。
国際金融市場はすでに中国に大きく取り込まれている。国際決済銀行(BIS、本部スイス・バーゼル)によると、中国の海外の銀行からの借り入れ残高は14年9月末、1兆700億ドルで、前年比2800億ドル増えた。世界全体での国際銀行融資2700億ドル増をしのぐ。英国の参加はロンドンが取り仕切る国際金融界が中国の野心の後を押し、その上がりで儲けようという強欲主義そのものだ。それは戦前、ナチスにカネを流した国際金融界の姿とダブる。
日本としてはまず、米国と連絡を密にして対抗戦略を立てることだ。そのコアは国際通貨基金(IMF)による人民元の国際通貨認定の阻止だ。IMFは合成通貨「SDR(特別引き出し権)」への人民元組み込みを検討しているが、そうなると元はドル、ユーロに次ぐ第3の「自由利用可能通貨」となり、世界各国の通貨当局がこぞって元を準備通貨として保有することになる。すると、民間でも元の信用はぐっと上がって、円を押しのける。
前回の当欄で明らかにしたように、中国の軍拡は中国人民銀行による元資金の発行によって支えられている。元が国際通貨となれば、北京が刷るカネで先端兵器をいくらでも買えることになる。くだんの新シルクロード経済圏ではたちまちのうちに人民元が流通し、人民元帝国に早変わりするだろう。米国がドルでもって覇権国となったように、中国は元で挑戦するわけで、経済面にとどまらず世界の安全保障のバランスを崩すことになる。
安倍晋三首相はAIIBを含む人民元問題を、事なかれ主義の財務官僚から引き離し、早急に国家安全保障会議に移管すべきだ。 (産経新聞特別記者・田村秀男)
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