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金利低下で再編迫られる地銀業界「広域連携」という第三の道
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20150321-00000001-zuuonline-nb
ZUU online 2015/3/21 09:30
バブル崩壊後、メガバンクを中心に日本の銀行業界は大きな再編の波に飲み込まれた。そして今、金利低下と地域間格差が引き金となり、地域金融機関に生き残りをかけた再編の波が各行を襲っている。
■緩和マネーはどこへ行った
日本銀行によると、地方銀行(第二地銀を含む)の2015年1月の融資残高は218兆円と前年同月比3.8%増加し、伸び率はリーマン・ショック後に政府が企業の資金繰りを支援した2009年5月以来の高水準となった。一方、地方銀行にはまだまだ資金の余剰感があるという実情も浮き彫りになっている。地方銀行の預金量は2013年4月から15兆円増えている。そのため地方銀行間で融資先の獲得競争が激しさを増しており、採算はむしろ悪化し、2014年4〜9月期の貸出金の利息収入(第二地銀を含む)は前年同期に比べ3.1%減少しているのだ。
貸出金については、大手企業を中心としたアベノミクス効果が徐々に浸透するなか、設備投資の回復、住宅ローンの需要増などで増加している。しかし、貸出金利の低迷が続いたことで、収益性が低下する結果になった。低金利が続くなか、融資先の開拓、金利交渉など、資金運用が思い通りに進まず収益が圧迫されているのだ。
■森ペーパーの衝撃
2013年9月、金融庁はこれまでとは異なった検査・監督方針により地域金融機関のビジネスモデルの持続性を検証することを明らかにするとともに、将来の地域金融機関の収益分析表を示した。金融庁の森信親検査局長の肝いりで作られたことから「森ペーパー」と呼ばれ、そこには具体名こそ記されていないものの、再編の対象となる銀行が示されていたのだ。この表をめぐり、再建対象についての憶測が飛び交うこととなる。
金融庁は「オーバーバンキングで過当競争になっている」と見て地域金融機関の再編を促している。さらに、麻生太郎財務・金融相も地域金融機関の再編に前向きな姿勢を示し、業界再編に含みを持たせている。政府は地域金融機関の再編のお膳立てを進めているかのようにうかがえる。
■広域連携という第三の道
地域金融機関も座して死を待つだけではない。活路を求め、さまざまな取り組みを行っている。地域金融機関はこれまで自主独立路線を頑なに貫いてきた。それが第一の道とすれば、第二の道は合併だ。そして、第三の道として注目を集めているのが広域連携だ。地域金融機関の将来への危機感の高まりが、県境を越えた広域連携へと突き動かしている。
かつて巨額投資が必要なコンピューターシステムの共同化が連携のお決まりだった。巨額のシステム開発と運営を複数の金融機関で行うことにより、スケールメリットを得ることができた。その反面、それぞれの独自性を尊重する柔軟なシステム対応が困難となるなどのデメリットもあった。そのシステム連合は更に発展を遂げつつある。国際・市場部門での連携強化により海外拠点の相互利用や商品の共同開発へと発展しつつあるのだ。システム共同化は経費削減が目的の受け身的なものであったが、より攻めの姿勢を強めた連携へと姿を変えている。
この広域連携の仕掛け人もやはり金融庁だ。昨年4月、金融庁は地銀との意見交換会の席で「海外共同銀行構想」を打ち上げた。共同出資で新銀行をつくり現地通貨の調達から営業まで幅広く業務を統合するという試みだ。当時は非現実的な構想と思われたが、実際にそうした動きは活発になっており、千葉銀行や中国銀行など6行はTSUBASA(翼)プロジェクトとして海外拠点の相互利用などの協定を締結した。
■生き残りカギは?
前述の通り、地域金融機関の再編についてはいずれも金融庁が仕掛け人となっている。地域金融機関そのものにまだまだ危機感が少ないことも原因だ。他行に対し少しでも有利な状況に立ちたいというそれぞれのエゴもあるだろう。さらに、現在は銀行の事業展開には厳しい規制がかかっているという事情もある。ネット取引に対応する決済技術を取り込むためベンチャー企業を買収しようとしても、事業会社への出資規制が立ちはだかる。地域金融機関という特性を活かせる不動産業への進出も困難だ。
広域連携という第三の道は根本的には時間稼ぎに過ぎないのかも知れない。巨額の預金を握る地域金融機関は地方創生のカギとなる可能性もあり、地域金融機関の生き残りをかけた戦いは地方創生にとっても利害が一致するのでは無いだろうか。そのためにも大胆な規制緩和を行い、新たなビジネスモデルを模索する必要がある。 (ZUU online 編集部)
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