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黒田総裁就任2年で日銀はどう変わったのか
日本国債暴落説のコケおどし バーゼル委をダシに使うもデータからウソが判明
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20150320/dms1503200830006-n1.htm
2015.03.20 「日本」の解き方 夕刊フジ
20日で日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁が就任2年となる。この2年間で日銀はどう変わったのだろうか。
また、バーゼル銀行監督委員会で、銀行の保有国債をリスク資産とみなす案が検討されている問題について、黒田総裁が経済財政諮問会議で危険性を訴えたとも報じられているが、真相はどうなのだろうか。
まず、この2年で「予想インフレ率」という用語が多く使われるようになった。というか、黒田日銀以前には、ほとんど言及されなかった。
予想インフレ率への言及がないと、実質金利(=名目金利から予想インフレ率を差し引いた数値)の概念がぼやける。名目金利でしか金融政策を考えなくなった場合、名目金利は基本的にマイナスにできないので、「金融政策の無効」という議論になってくる。
だが、予想インフレ率を高めることで実質金利をマイナスにすることは可能だ。これによって金融政策の景気押し上げ効果を主張できる。
予想インフレ率を、例えば物価連動国債から計算される「ブレーク・イーブン・インフレ率」で見ると、2013年初めに0・7%程度だったのが14年の5月ごろまでに2・5%程度まで上昇した。しかし、4月からの消費増税の影響で消費が減退したので、6月ごろから下がり始め、15年初に底を打って、最近再び上昇し始めた。
消費者物価指数総合の対前年同月比(消費増税による影響2%を控除)でみても、量的緩和がスタートした13年4月の0・7%上昇から14年5月に1・7%上昇まで進んだが、やはり消費増税の影響で15年1月に0・4%上昇まで伸び悩んだ。
要するに、金融緩和の効果は出ているが、消費増税の影響があったので、2年間でのインフレ目標2%の実現は難しくなった。
ここで、黒田総裁の「リフレ賛成」と「財務省OB」の二面性が垣間見える。つまり、金融政策はよくやっているが、増税志向があるため、「消費増税の経済に与える影響は軽微だ」として、消費増税の影響を過小視しているわけだ。
黒田総裁の経済財政諮問会議での発言もそう考えると納得がいく。「オフレコ」と断って発言しているのだから、正式発言にしてもらいたくないのだろう。公開の場である経済財政諮問会議でオフレコというのは前代未聞であるが、財務省OBとして個人的なことを言わせてくれということかもしれない。
バーゼル委員会というのは単なるダシで、実際には、消費増税をしてくれということだ。財務官僚がしばしば用いるレトリックだが、「このまま増税しないと国債が暴落する」と言いたいのだろう。だが、バーゼル委員会をこけおどしに使っても、実際にはその規制によって影響を受けるのは一部の銀行だけであり、日本経済全体とはあまり関係はない。
「増税しないと国債が暴落」という主張も、見事に否定されている。国債の信用力を表すCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)レートは昨年11月の増税延期を受けて0・5%程度から0・7%程度まで上がったが、今では0・4%と元に戻っている。データから完全なウソが判明し、財務省の化けの皮がはがれてきている。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
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