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「爆買い」が地価も押し上げた!公示地価上昇に寄与した外国人観光客
http://diamond.jp/articles/-/68721
2015年3月20日 ダイヤモンド・オンライン編集部
3月18日に国土交通省が発表した公示地価。三大都市圏が2年連続で上昇するなど、回復基調が鮮明になってきた。銀座や心斎橋といった繁華街のみならず、意外な地域まで押し上げたのは、外国人観光客の「爆買い」効果だ。
■商業地の上昇傾向が顕著 沖縄や木更津も押し上げた「爆買い」効果
毎年、「住宅地」「商業地」「工業地」の3用途に分けて発表される公示地価。三大都市圏では住宅地と商業地が2年連続で上昇するなど、回復基調が鮮明になってきた。特に今年、注目されたのは商業地の回復。その原動力となっているのは、外国人観光客だ。
外国人観光客で潤う銀座は、東京圏商業地のトップ10をほぼ独占した Photo:eyetronic-Fotolia.com
東京圏の商業地では、上昇率トップ10のうち、8地点が銀座だ。昨今の爆買いブームの恩恵をもっとも受けているエリアの1つで、午前中から中国人観光客が大挙して押し寄せている。
大阪では心斎橋や難波エリアが堅調だ。日本一のLCC拠点となった関西国際空港からは、梅田よりも心斎橋や難波の方が近いのだ。当然、「日本の不動産が割安だ」と考えている外国人投資家にも注目されており、道頓堀にある名物「くいだおれ人形」が置いてある「中座くいだおれビル」が今月頭、香港の投資ファンドによって約100億円(推定)で買収されたことは記憶に新しい。
それだけではない。地方を見てみると、相変わらず7割弱もの地域で地価が下落しているのだが、たとえば沖縄県で商業地と住宅地が2年連続で上昇したり、東京圏の住宅地上昇率トップ10に木更津(千葉県)が5地点もランクインするなど、不思議な現象が起きている。
「沖縄も木更津も、外国人観光客効果があったものと考えられます」。不動産サービス大手・シービーアールイー(CBRE)の水谷賀子・バリュエーション&アドバイザリー・サービス本部長は、こう分析する。地理的に見れば、沖縄は東京よりも台北や上海の方が近い。たとえば、空室が目立っていたオフィスビルの下層階に家電量販店が入居し、中国人観光客がどっと押し寄せるなどの現象が起きており、沖縄の物件を物色している投資家が国内外にいるのだという。
木更津には、昨年7月に増床し、首都圏最多の248店舗となった「三井アウトレットパーク木更津」がある。羽田空港や成田空港からバスで乗り付ける外国人観光客に大人気だ。木更津で上昇が顕著なのは住宅地だが、アウトレット効果で周辺の再開発が期待される。こうした意外な地域の地価上昇の裏には、外国人観光客の「爆買い」効果があるのだ。
■金沢、富山、長崎… 新幹線が来れば地価は上がる
鉄道による地価上昇が確認されたのは、3月14日に開業した北陸新幹線が通る金沢市と富山市、そして九州新幹線長崎ルートの2022年開業が決まっている長崎市などだ。
新幹線開業で東京−金沢間が最速で約2時間半(従来より1時間19分短縮)となり、国内の観光やビジネスでの需要拡大が見込まれるほか、海外への宣伝効果も出ており、「今や、金沢は京都に次ぐか、同等と言えるくらい、外国人から注目を集めています」(CBREの水谷本部長)。駅前をはじめとした再開発が活発で、地方圏の商業地上昇率トップに躍り出たのは、金沢駅前の「伊藤忠金沢ビル」(上昇率17.1%)だった。
また、長崎市の商業地は実に23年ぶりに上昇に転じた。ほかにも、27年のリニア新幹線開業を待つ名古屋市では、名古屋駅西口の「ミタニビル」の上昇率が16.8%と、全国の商業地では金沢駅前に次いで2番目に高かった。
ただし、新幹線が来れば未来も安泰かというと、決してそうではない。「開業効果に沸くのは、せいぜい半年から1年」(JR関係者)。その先は、地道な努力なくして地域活性化はない。今回の公示地価を見ても、青森県や秋田県、新潟県、鹿児島県など、新幹線が通っていても商業地、住宅地ともに下落している県はたくさんある。
バブル期までは、大都市圏で地価が上がれば、地方もつられて上がるという現象が起きていたが、現在はむしろ二極化が加速している。地方は自ら魅力を発掘し、発信しない限り、大都市圏の地価上昇から取り残されてしまい、さらに差が拡大していくのだ。
ここでも成長のカギを握る要素の1つは、外国人観光客だ。日本人にとっては当たり前のものでも、外国人が大喜びするものはたくさんある。たとえば、タイ人観光客が東京と大阪に次いで好むのは北海道。自国では目にしない雪に憧れるのだ。また、長野県山ノ内町にある地獄谷野猿公苑は、温泉に浸かるサルが「スノーモンキー」と呼ばれて外国人に大人気だ。
タイエアアジアXは5月から、バンコク−新千歳間に就航することを決めている。新幹線誘致に精を出さずとも、日本全国に発着枠の空いている地方空港がたくさんあるのだから、地域の魅力発信に力を入れてLCCを誘致した方がコストも時間も節約できる。
■アベノミクス×円安の相乗効果 実需に裏付けされた上昇に安心感
アベノミクスによる成長期待や大幅な金融緩和による資金調達のしやすさに加え、昨年に進んだ急激な円安のおかげで、日本の不動産は外国人投資家にとって、ずいぶんと割安に見えるようだ。都心では、オフィスビルのみならず、億ションも相変わらず外国人投資家に物色されている。
しかし、08年のリーマンショック前のようなバブル状態にはなっていないようだ。当時は、1000億円を超える大型物件が短期売買目的の投資ファンドに次々買われたものだが、「現在の投資家の主流は年金や生保で、彼らは5〜10年以上の長期保有が目的。実需に基づいて物件の利回りを判断して買っており、健全な不動産取引と言えます」(CBREの水谷本部長)。
さらに08年以前と違うのは、特に大都市圏で大型の売り物の数が少ないこと。昨年は目黒雅叙園(約1300億円、推定・以下同)、パシフィックセンチュリープレイス丸の内(約1700億円)、青山ビル(約500億円)などの売却があったが、続く出物が見当たらない。次々に物件価格がつり上がって売買が成立するといったバブル状態にはなりにくい環境で、外国人投資家は福岡など地方都市での物件を探している。
東京都は現在、「アジアヘッドクォーター特区」プロジェクトを実施している。税制優遇や規制緩和などによって、外国企業を誘致しようというのだ。大手町や日本橋、虎ノ門などの再開発では、こうした外国企業を意識した街づくりが行われており、今後予定されている品川エリアの再開発も羽田空港が近いため、外国人を意識したものになると予想される。
こうした施策が成功して外国から観光客のみならず、企業も誘致できれば、さらなる地価押し上げが期待できることは言うまでもない。当面は20年の東京オリンピック効果による湾岸エリアの地価上昇がクローズアップされているが、オリンピックは一過性のイベント。一方、観光客や企業の誘致は時限的なものではなく、息の長い成長に貢献する施策だ。
日本の人口が減少に転じている今、実需を押し上げようと思えば、外から人を呼び込む以外にない。格差拡大や大規模金融緩和など、批判される点も多いアベノミクスだが、外国人誘致による経済効果は公示地価でも確認できたと言えるだろう。
(ダイヤモンド・オンライン編集部 津本朋子)
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