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格差拡大を推し進める「官製春闘」のおぞましさ 日本経済一歩先の真相/高橋乗宣
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/158213
2015年3月20日 日刊ゲンダイ
トヨタはベア4000円、日産はそれを上回るベア5000円――。最大のヤマ場である「集中回答日」を過ぎた今年の春闘は連日、景気の良い話が新聞紙上を賑わせていた。
今年も昨年に続き、安倍首相が率先して財界に賃上げを迫る特異な展開となった。自動車・電機など輸出型の製造業大手では、昨年を超える高額回答が目立つ。安倍首相が「自分の手柄」のように勝ち誇る姿が目に浮かぶが、日本経済はとても手放しで喜んでいられる状況ではない。
春闘の高額回答はアベノミクスの円安政策を享受し、海外で儲けている輸出大手に限定した話に過ぎない。こうした企業は昨年6月からの原油安により、製造コスト削減の恩恵も受けた。あり余るほどの資金があるうえ、安倍政権には法人税を減税してくれた恩義もある。ここは「賃上げ圧力」にひれ伏し、安倍路線に賛同する姿勢を示しておこう。ベアに応じた輸出大手の経営者のホンネはそんなところだ。
春闘は日本独特の労使交渉である。今年で60回目を迎える春闘の歴史を振り返っても、時の政権がここまでロコツに民間の労使交渉に介入したケースはない。まさに“官製春闘”と言わざるを得ない状況は異常というほかはない。賃金は労働市場の需給に応じて決まるという経済原理からも大きく逸脱している。
雇用の8割を支えている中堅・中小・零細企業に目線を移せば、無謀な異次元緩和がもたらした急速な円安に四苦八苦だ。輸入資材などのコスト増を価格転嫁できずに七転八倒である。従業員の賃上げどころか、締め付けに走るしかない惨状である。
要するに、アベノミクスとは格差拡大路線なのだという結論にたどり着かざるを得ない。輸出大企業で働く一握りの従業員だけが、わずかながらの恩賞にあずかり、残る多くの人々の生活は底辺に沈んでしまう。しかも、首相自ら官製春闘で大企業と中小零細企業の賃金格差を猛烈に押し広げているのだから、許しがたい。
こんなトチ狂った政策を続けたら、いずれ日本経済は終末を迎えることになる。冷え込んだ景気を回復させるには旺盛な内需が不可欠だが、格差拡大路線を推し進めれば、需要はますます減り続けるだけだ。「強い経済を取り戻す」という安倍首相のスローガンがむなしく響くばかりである。
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