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中国、中途半端な金利の自由化だけではさらなる地獄になる予感…
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20150319/dms1503190830006-n1.htm
2015.03.19 「日本」の解き方 夕刊フジ
中国人民銀行の周小川総裁が銀行の預金金利を自由化する方針を打ち出した。その背景や、金利自由化によって何が起こるか、考えてみたい。
中国の金融改革は、金利の自由化のほかに、金融業務の自由化、資本取引の自由化、為替の自由化もあるが、金利の自由化を先行させ、そのほかについては後回しするようだ。そして金利の自由化とともに、預金保険制度の導入も行うようだ。
中国の銀行は、日本流に言えば、ほぼすべてが国有銀行だ。貸出金利は自由化されているというものの、預金金利は低金利政策で低く抑えられているため利ざやが確保され、銀行の収益は盤石だ。
その上、「影の銀行(シャドーバンキング)」に関与して、高い手数料を得ている。シャドーバンキングには代表的な2つの商品がある。銀行がある企業に資金を貸し付け、銀行は資金需要者にその企業を紹介し、資金需要者はその企業から高い金利で資金を直接借り入れる「委託融資」と、貸出債権を小口化した「理財商品」だ。
こうした中国の銀行の収益は莫大なものとなり、銀行員の年収は、平均的な労働者の10倍にも迫るという。
習近平体制が金利の自由化に最初に手をつけるのは、金融システムを近代化するとともに、こうした社会の不公正を正すというスタンスを国民に示すことが大きい。また、今の低金利政策から金利の自由化に踏み出せば、預金金利は今より高くなるので、この点でも国民の支持を受けやすいだろう。
一方、預金保険制度の導入については、対外的なポーズだろう。国有銀行であれば破綻はほぼ考えられない。先進国並みに一応、預金保険制度があるというのは、銀行に対しては税を課すのと同じ効果があり、収益を抑制する役割もある。
もっとも、今後の展開によっては、預金保険制度の発動もあり得るので、制度を準備した方がいいのはいうまでもない。
というのは、預金金利を自由化すると、シャドーバンキングの2商品の一部を取り込める可能性が出てくる。その一方で、シャドーバンキング2商品の脆弱(ぜいじゃく)性も同時に取り込んでしまう。これは、銀行経営が大きなリスクを抱え込むことだ。
中国経済が中進国の罠(わな)にはまっていて、今後の経済成長があまり見込めず、シャドーバンキングで不良債権化がささやかれているときに、金利の自由化をせざるを得ないのは、中国の金融システムにとって大きな試練であるに違いない。
金融システムにおいて金利の自由化や業務の自由化をやっておかないと、金融システム破綻が現実に起こった時には、より大きな悲劇にもなる。金融の自由化は、やるも地獄、やらないのも地獄というわけだ。
その意味で、金融業務の自由化、資本取引の自由化、為替の自由化が後回しになっているのは、中国の政治事情からとはいえ、経済対応としては不徹底が否めない。中途半端な金利の自由化だけだと、さらなる地獄になる予感がする。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
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