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相続税の使い方
http://www.asyura2.com/15/hasan94/msg/503.html
投稿者 あっしら 日時 2015 年 3 月 19 日 18:08:16: Mo7ApAlflbQ6s
 


[十字路]相続税の使い方

 話題のピケティ著「21世紀の資本」によれば、独仏では死亡者が遺族に残す財産総額(年間遺贈額)が国民所得の15%に相当する。日本も同率と仮定すると、年間の国民所得が約400兆円だから遺贈額は60兆円になる。財務省の『財政金融統計月報(租税特集)』によると、直近の11年現在、相続税と贈与税の総課税価額12.4兆円に対し、納付税額は1.4兆円。推定60兆円の遺贈額中、12.4兆円が課税対象だったわけだ。

 この60兆円を年間の死亡者数125万人で割ると、死亡者1人当たり平均遺贈額は4800万円と計算される。一方内閣府の発表では13年末の総国民資産(国富)は9295兆円、負債控除後の純国民資産は3049兆円であった。成年人口が約1億人なので、成人1人当たり平均では3000万円である。つまり死亡者1人あたり遺贈額(4800万円)が成人1人あたり純国民資産(3000万円)の1.6倍に相当する。ピケティは独仏の同比率を2倍弱と推定しているので日本も同程度になる。

 問題は相続税だが、日本の相続税は世界的に高水準にある。15年度政府予算案では、税収総額50兆円のうち3%分の1.5兆円を相続税収と見込んでいる。この比率も諸外国に比べて相当に高い。

 申告漏れの摘発は当然強化するとして、これ以上の資産増税は当面不要であろう。むしろ日本を変え世界を動かす人材を育成するために財産を活用すべきである。世界的な科学者や国際人の育成は、ある程度の豊かさのなかでこそ可能になる。一例だが今から40〜50年前に海外留学した日本人の大半は社費や公費による留学生だった。しかし現在では社費や公費も余裕がなくなり、私費留学の割合が高まっている。

 政策としては、奨学財団への寄付の促進や税の優遇、子育て資金贈与制度の簡素化などの措置を講じるべきだ。

(法政大学教授 渡部亮)

[日経新聞3月17日夕刊P.5]

 

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コメント
 
01. 2015年3月19日 23:37:03 : MXTSjEaMb2
早い話、相続税の減税を主張しているだけ。
格差のさらなる拡大がお好みらしい。

国会議員は政治団体を作って息子や娘を議員にすれば相続税はかからない。


02. 2015年3月30日 15:40:05 : hmRPH0FN6o

<Vol.325:経済論シリーズ:
        ピケティの『21世紀の資本』が示すこと(3)>
 
     HP: http://www.cool-knowledge.com/    

本稿では、資本と労働について、ピケティのデータの集計方法を使
い、ピケティがあまり言及していない日本の、
・資本に帰属する所得(財産所得と企業所得)、
・労働に帰属する所得(雇用者報酬)の傾向について述べます。

『21世紀の資本』で使われている資本、所得、報酬などを理解する
には、日常用語とは違った意味で使われるマクロ経済学での定義を
知っておく必要があります。本稿で、その基礎部分も示します。

■1.「国民資本」とは何か

ピケティは、紹介記事等でご存知のように、r(=資本の収益率)
は、g(GDPの成長率)より大きかった。この傾向が続けば、資産
(=資本)をもつ人はますます富み、資産をもたない人が多い労働
者との、資産と所得の格差はどんどん大きくなって行くことを示し
ています。

この不均衡とも言える経済問題を、700ページを使い、最後は「r
>g」という単純な不等式に集約して示したことが話題を呼んだの
でしょう。複

雑な経済問題に対し、単純な切り口があることを示したからです。

ただし
・資本、
・資本に帰属する所得(財産所得と企業所得)、
・働くことの対価である所得(雇用者報酬)がどんなものかを理解
するには、国単位での経済活動を計算するマクロ経済学の概念を知
っておく必要があります。

マクロ経済学で言う「資本」は、株式会社のバランス・シート(貸
借対照表)で言う「資本(資本金または株式)や自己資本」とは全
く違うものです。『21世紀の資本』は、株式会社の資本論ではない
のです。

マクロ経済学が言う国単位での資本(国民資本、国民資産)は、
(1)有形固定資産(生産活動に使われている土地、建物、住宅、
設備、インフラ、機械)、
(2)無形固定資産(企業の知的所有権や特許の価値、及びコンピ
ュータプロプルグラムの価値など)、
(3)商品の在庫、
(4)有形の非生産資産(土地、土地の改良費、地下資源、山林、
漁場など)、
(5)そして対外純資産(=対外資産−対外負債)という5項です。
対外純負債のある米国は、この部分はマイナスになります。

個人所有の住宅は、個人事業を行う人以外は商品の生産活動には使
いません。しかし、経済的に言うと、住宅という資本は、所有者で
ある世帯に、住まいを提供するという生産活動を行っています。

所有でないなら、住まいという商品に対し、家賃(家主の財産所得
になる)を払う必要があります。住宅も、財産的な資本です。

ピケティに倣い、内閣府の国民経済計算を見て国民資本を調べると、
以下になっていました。

【日本の国民資本の金額:2013年12月】
・有形固定資産  1501兆円(生産活動に使われるもの:減価償却
              費を引いた後のもの)
・無形固定資産   29兆円
・商品在庫     71兆円   
・有形非生産資産 1122兆円(1220兆円が、土地の価値)
・対外純資産    325兆円(=対外資産−対外負債)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
合計の国民資本  3048兆円

(注)土地以外の有形固定資産は、建物・設備・機械の、経年劣化
分である減価償却費を引いた後のものです。なお、経済学では、減
価償却のことを固定資本減耗と言います。

経済学では、会計学と同じ概念なのに、同じ言葉を使わない。この
ためわかりにくくなります。例えば付加価値(経済学の用語)は、
会計では売上総利益(税法の用語)であり、それは粗利益(会計)
です。

GDPは生産面で言うと、その国で生産された商品と、取引されたた
サービスの粗利益の合計額です。

あなたの会社が売上100億円で粗利益率が30%なら、1年に30億円の
GDP(商品の付加価値)を生産しています。このGDPを生むとき、資
本になっているものが、国民資本です。

年商100億円の会社の、総資産(例えば30億円)から負債(10億
円)を引いた純資産額(20億円)が、国民資本(=国民資産)に該
当するものです。

この3048兆円の国民資産を、所有する主体別にみると、
・260万社の法人(非金融)の所有が、減価償却後で555兆円(18
 %)、
・金融機関の所有が、94兆円(3%)、
・5300万の世帯(個人企業を含む)が2328兆円(76%)、
・非営利団体が72兆円(2.4%)です。
・政府分(国有と自治体所有の資産)は、公債の負債が多いので、
 ほぼゼロです。

資産から負債を引いた純資産では、世帯の2328兆円が、国民資産の
76%と圧倒的に大きい。(↓P3)

負債を引かない総資産では、2013年末で9294兆円ですが、負債が
6245兆円あるので、国の純資産(国民資本)は3048兆円になります
(↓P2)。

http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/kakuhou/files/h25/sankou/pdf/point20150116.pdf

以上のように、マクロ経済学で言う国民資本は、国民(5300万の世
帯、260万の企業、中央政府、自治体、独立行政法人)の純資産の
ことです。(注)『21世紀の資本』で言う資本は、株式会社の資本
ではないことは、ここで了解されたでしょう。

その資本の、形態別の金額は、
(1)土地(時価:1120兆円)と、
(2)有形固定資産である建物、住宅、設備、機械(合計で1501兆
円)であり、合計が2621兆円です。この2つで、国民資本の3048兆
円のうち86%を占めます。それと、対外純資産である325兆円が構
成比11%です。以上3項で、97%です。

これらの資産の所有者は、繰り返せば、個人、法人(企業)、政府
(中央政府、自治体、独立行政法人)のいずれかです。

【金融資産(6570兆円)の取り扱い】
預金、債券、株などの、国全体の金融資産(6570兆円:2013年末)
は、対外純資産(325兆円)を除いて、国民資本になりません。

金融資産(例えば預金)は、それと同じ額が、金融仲介機関を経て
貸付金、債券(主は国債)、株式等になっています。

金融資産は、
・所有者から見れば資産(=資本)ですが、
・借り手から見れば負債です。
預金は預金の所有者にとっては金融資産ですが、銀行にとっては、
預かった負債です・

同様に、国債(債券の一種)は持ち手にとっては金融資産ですが、
政府にとっては金融負債です。国内が対象の金融資産は、国内の金
融負債と同じ額になるので、国全体から見た純資産(金融資産−金
融負債)は、ゼロになります。

株式は、株主にとっては、会社の所有権を示す金融資産です。しか
しこの株式は、発行した会社にとっては、返済義務のない負債(劣
後債)です。株も、「国内株主の所有株式(金融資産)=国内企業
の資本としての負債」となるので、国全体の立場から見る資産とし
ては、資産と負債が相殺されます。

ただし金融資産のうち、例えばドル国債(対外資産)は、借り手は
国内ではない。このため対外資産は、対外負債を引いた「対外純資
産(325兆円)」として国民資本に計上されます。

わが国では、内閣府の「国民経済計算」により、平成6年(1994
年)から2013年までの国民資本(=国民の純資産)が集計されてい
ます(↓P2)。その金額が、2013年時点では3048兆円だったという
ことです。
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/kakuhou/files/h25/sankou/pdf/point20150116.pdf

以上で、ピケティが『21世紀の資本』でテーマにした「国民資本」
の概念がわかります。

資本主義が終わるとか、終わらないというテーマの著作ではない。

ピケティは、
・国民資本に帰属する所得(=利潤)が、
・労働の所得より大きく増加してきたことを、
数百年の経済データを使い、証明したのです。

■2.英国とフランスの、300年間の国民資本

『21世紀の資本』には、以上の概念の国民資本が、英国とフランス
について、300年分グラフ化され、載っています。

「国民資本÷国民所得」が何倍になっていたかということです。

(注)これが「資本/所得倍率」とされ『21世紀の資本』で打ち立
てられた概念です。概念とは、考えたことの枠という意味です。

国民所得は、世帯では世帯の所得です。他方、国民資本は、世帯で
言うと、金融資産と住宅の時価から負債を引いた純資産です。

国民資本の所得との倍率が6倍なら、年収600万円の世帯の、平均的
な純資産は、6年分の3600万円になっているということです。

【予備知識:国民所得とは】
新聞に毎日のように出るGDP(Gross National Products)は、国
内での商品とサービスの総生産額です。国内で生産された商品と
サービスの、中間投入(仕入)を引いた粗利益(Gross Profit)
の合計です。Grossは、仕入を引いた粗利益という意味です。

国民所得は、このGDPを、所得面から見たものです。所得は、労働
と資本に分配さえるので、国民所得の分配ということもあります。
その内容は、以下の5項です。

【国民所得:2013年:日本】

(1)雇用者報酬(働く人への俸給)  248兆円
(2)財産所得(金利や賃貸料)     23兆円
(3)企業所得  民間企業       52兆円
         公的企業       3兆円
         個人企業       36兆円
(4)間接税(補助金分はマイナス)   39兆円
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
国民所得の合計           401兆円

(下記サイトの国民所得の項(EXCELL)↓)
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/menu.html

[注1:間接税と補助金の処理方法] 雇用者報酬、財産所得、企
業所得からは、間接税(消費税や物品税)がマイナスされているた
めこれを加えます。逆に、政府からの補助金は、雇用者報酬、財産
所得、企業所得に含まれているのでマイナスします。

[注2:固定資本減耗] 上記の国民所得401兆円に、固定資産の1
年間での劣化や減耗である固定資本減耗(減価償却費)の約100兆
円を加えると、GDP(国内総生産)に等しくなります。

GDPは、生産活動の経費になる固定資本減耗(減価償却費)が含ま
れた生産額です。われわれが商品を買うときの価格には、商品を生
産するために使った生産設備の減価償却費も含まれているのです。

マクロ経済のGDP、国民所得、国民資本(国民資産)について、そ
れが何を示しているのかを知っている人は、実は、相当に少ない。

このため、『21世紀の資本』を読んでも、漠たる霧と感じた人も多
いでしょう。経済学でも、基本的な概念の定義を知っておかねばな
らない。

(注)最新学説までを盛り込んだ『マクロ経済学』(有斐閣:斉藤、
岩本、太田、柴田共著)が優れています。700ページと分厚く、価
格はピケティより安い3900円です。

▼英国とフランスの、国民資本の推移

英国とフランスの、「国民資本/国民所得の倍率」を掲載します
(『21世紀の資本』:P123〜)。参考は当方が付け加えた日本もp、
ものです(内閣府)。

【資本/所得倍率】

   1700年 1800年  1910年 1920年 1950年 2010年
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
英国 700%  700%  700%  300%  200%  550%
仏国 700%  700%  700%  300%  300%  600%
日本 (データなし)  ─   −   −   760%
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

日本の国民資本(国民資産)は、前記のように3048兆円でした。同
年の国民所得は401兆円でしたから、〔3048÷401兆円=760%〕で
す(2013年)。

日本は、英国の5.5倍、フランスの6.0倍より高い。これはわが国は、
英国やフランスより資本の収益性(資本の所得÷資本)が低いこと
も意味しています。

具体的に言えば、10億円を投資して得られる平均利益(資本の所得
:ROI)が、英国より28%、フランスより14%少ない。

【1920年と1950年の純資産の減少】
英国、フランスでは、第一次世界大戦後の1920年、第二次世界大戦
後の1950年には、世帯と企業の資産の価値が下がり、実質国民所得
に対する国民資本は、半分以下に減っています。企業と世帯の所得
に対する純資産額が、半分や1/3に減ったということです。

・世帯に置き換えて言うと、1910年には、英国の所得400万円の世
帯は、7年分の2800万円の純資産を持っていた。ところが1950年に
は、所得を同じ400万円としたとき、2年分の800万円に減ってしま
った。

・そして最近の2010年には、所得が400万円なら純資産はその5.5年
分の2200万円に増えた。所得が2倍の800万円の世帯なら、純資産の
平均は4400万円です。

【2010年の国民資本】
以上のように、第二次世界大戦後の1950年から2010年の60年間で、
・英国では、所得比で、国民資本は550%に、
・フランスでは600%(所得の6年分)にまで増えています。
今後も、国民資本は、労働所得以上に、増えるでしょう。

【日本】
日本では、2013年で国民資本は所得の760%(所得の7.6年分)、英
仏より一段高い。世帯所得+企業所得の、7.6倍が純資産(国民資
本)です。

投資の面から言うと、日本は、投下資本の平均利益率(ROI)が低
いことを意味します。

原因は、減価償却費込みのフローの所得を示すGDPの増加率が、資
産バブル崩壊後の約24年間、日本は先進国で最低水準(ほぼ0%)
と低いままだからです。

(注)「資本÷所得」の平均倍率が760%(7.6倍)ということは、
10億円の投下資本に対し〔10億円÷7.6=1.3憶円〕の資本所得が平
均的な期待であることを示しています。

ビケティは、純資本ストック(純資産)と所得の関係を、長期で記
録してその傾向を導きだして、国民資本と国民所得を予想できる
ベースを作ったのです。

【日本の国民資本】
わが国の、近年の、世帯と企業の純資産(=ピケティが言う国民資
本)は、
・1995年 3341兆円、
・2000年 3193兆円(5年間で4.5%減少)、
・2005年 2959兆円(5年間で7.3%減少)、
・2010年 3022兆円(5年間で2.2%増加)
・2013年 3048兆円(3年間で0.9%増加)、です。

http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/kakuhou/
files/h25/sankou/pdf/point20141225.pdf (国民経済計算確報:
内閣府)

(注)GDPは商品生産のフローを示しています。一方で、国民資本
(=国民資産)は、経済のストックを示すものです。本当は両方に
経済目標が必要だったのですが、政府の経済政策では、GDPのみに
なってしまっています。

■3.資本の収益と労働の報酬を、ピケティ風に分析すると

▼資本の報酬が、労働の報酬より大きくなって行く傾向がある

ピケティは「r(資本の収益)>g(経済成長率)」という単純化し
た不等式を使い、長期的に見ると、資本の収益の増加が労働報酬の
増加より大きくなることを示しています。

「r>g」が『21世紀の資本』の主張の中核です。ピケティ以前の
経済学では、資本の収益より労働報酬のほうが上がって行くという
前提でした。というより、資本と労働への分配の割合を問題にはし
ていなかったのです。

資本の収益を受けるのは、一般に富裕者、大株主、経営者層であり、
会社の資本に関与する人々です。他方、労働者は、労働の対価とし
ての報酬しか受けません。資本の収益が大きくなると、富裕者はま
すます富裕になり、労働者は相対的には貧困になります。

米国では、上位3%の富裕者は、1989年には1億世帯の家計の
純資産(資産−負債)の44.8%を持っていました。2014年にはこれ
が54.4%へ、約10ポイント%増えています。

逆に、97%の人の純資産の保有シェアは55.2%から45.6%に減った
のです。(注)実際は、ダウが1万7700ドルで史上最高になってい
る株価の時価評価を入れると、もっと大きな純資産格差でしょう。

▼資本の収益と労働への報酬の、20年の変化(日本)

わが国で、資本の収益と労働への報酬がどうなってきたかを見ます。

【日本の労働の報酬と資本の収益】
       1995  2000  2005   2010   2013
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
[資本の報酬]
企業所得   64兆円  81兆円  99兆円  88兆円  91兆円
財産所得   36兆円  24兆円  24兆円  20兆円  23兆円
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
構成比   (27%)      →        (31%)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
[労働の報酬]
雇用者報酬 266兆円 269兆円 254兆円 243兆円  248兆円
構成比   (72%)      →        (69%)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
国民所得 370兆円 375兆円 374兆円  353兆円 362兆円
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/menu.html (←の国民所得)

1995年には、わが国の国民所得のうち、
・資本の収益(企業所得+財産所得)は100兆円で、27%の構成比
でした。
・労働の報酬である雇用者報酬は266兆円で、構成比は72%でした。

最も新しいデータある2013年(暦年)では、資本の収益が114兆円
で、31%の構成比に増えています。一方。雇用者報酬は248兆円に
減って構成比も69%に減少しています。

この主因は、1998年には1173万人(総雇用者4967万人の23.4%)だ
った非正規雇用が、2013年には1906万人(総雇用5201万人 の36.
7%)に増えたことです。

年収500万円の正社員が、250万円の非正規雇用に置きかえられると、
平均賃金が下がったようになります。

ピケティが示した格差は、日本では、米国や欧州ほど激しくはない。
しかし、上表に見えるように、米国を追うように、資本の報酬は、
労働の報酬の増加より大きくなりつつあります。

この傾向で行くと、日の21世紀も、米国のように、富める者がます
ます富み、貧困な人は一層貧困になって行くということです。

本稿では、ピケティ流の分析を、日本経済を対象に行っています。

【後記】
わが国では、政府は、国民の資産格差の統計をとっていません。民
間の推計しかない。1980年代まで、資産でも所得でも、平等な社会
という幻想があったからでしょう。(注)確かに、所得に対して最
高税率70%の累進課税は、所得の結果を平等にしていました。

野村総研が、不動産を含まない金融資産(負債を引いた純金融資
産)について、アンケートをもとに、推計しています(2013年時
点)

  区分  世帯数(構成比) 1世帯純金融資産 総額
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
・超富裕層  5.4万世帯(0.1%) 5億円以上  73兆円
・富裕層   95万世帯 (1.8%) 1億円以上  168兆円
・準富裕層  315万世帯(6.0%) 0.5憶円以上  242兆円
・上級大衆  652万世帯(12%)  0.3億〜0.5億 262兆円
・大衆層  4183万世帯(79%) 3000万円未満  539兆円
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
https://www.nri.com/jp/news/2014/141118.aspx

わが国では、1億円以上の純金融資産をもつ最上位は、世帯の1.9%
(100万世帯)です。この層がもつ純金融資産は、241兆円です。
5300万世帯の純金融資産は1284兆円ですから、最上位2%の世帯が
持つ純金融資産(241兆円)は、19%のシェアです。

米国では最上位3%がもつ資産(金融資産と住宅の純資産)は、前
記のように2014年で54.4%です。日本より2.3倍くらい資産(資
本)の上位集中が激しい。

わが国も、米国型の資産・所得の、両方での格差の時代に向かって
います。個人ノーハウの部分が大きな情報化と金融化は、所得格差
を大きくするからです。


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