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実名対談 あぁ、中国ビジネス 僕らは本当に悔しい思いをしました 平気でウソをつき、平気で裏切る。申し訳ないが、彼らは人として信用できない
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/42503
2015年03月18日(水) 週刊現代 :現代ビジネス
日本人の「誠意」なんて伝わらないらしい。「騙されるほうが悪い」「技術は盗むもの」というのが常識の国。中国に進出して、現地で痛い目に遭った日本人社長二人が、中国ビジネスの難しさを語る。
■コピー上等!
自動車メーカー、スズキの中国法人社長を務め、中国での長年のビジネス経験を元に『チャイナハラスメント』http://urx.nu/izR7(新潮新書)を上梓した松原邦久氏。中国人社員に技術を盗まれ、コピー工場を作られて被害を受けたバイオジェニック社の社長、渡部政博氏。
本誌2月7日号と2月14日号でそれぞれ掲載した両氏のインタビューは、大きな反響を呼んだ。今回は、中国で事業を営むことの恐ろしさを、改めて二人に語ってもらった。
*
渡部 松原さんは中国でのビジネスに30年以上も携わってこられたそうですね。私も以前、我が社の技術を中国人社員に盗まれるという苦い経験をしました。
松原 どんな技術ですか?
渡部 当社の製品のひとつに、アスタキサンチンというエビやカニなどに含まれる赤橙色の色素があるんです。抗酸化作用があり、化粧品や健康食品の原料として使われています。
そのアスタキサンチン原料の培養技術を、現地で採用した中国人社員にまるごと盗まれ、我が社の工場の近くにコピー工場を作られてしまったんです。しかも、その中国人社員は社外の仲間たちと組んで、自分たちが発明者だとしてアスタキサンチンの製造技術に関する実用新案を、中国で申請したんです。
松原 日本企業の技術を盗んでコピー工場を作る、というのは中国企業の常套手段ですね。かつて、私が勤務していたスズキでも同じようなことがありました。スズキ製オートバイのデザインを中国の企業にそっくりコピーされたのです。
すぐに損害賠償を請求したのですが、賠償金は希望額には程遠いわずかなものでした。幸い、裁判所はコピー工場の操業を中止させる決定を下しましたが、中国の場合、「コピー工場のコピー工場」というのもある。コピー工場の技術を盗んで、新たなコピー工場が作られている場合には、私たちは追いきれませんでした。
渡部 我が社も同じです。訴訟を起こし、実用新案の権利はウチに帰属するという判決を勝ち取ったんです。ところが、申請された技術はすでに情報が公開されてしまっているため、類似の工場が次々に建てられたんです。コピー工場のコピー工場の、そのまたコピー工場……という具合に増えていって、今は4代目のコピー工場までできている(苦笑)。
でもそこまで行くと、それぞれ我が社とは関係のない人物が経営者になっているために、うちの技術を使ったコピー工場だと証明することが難しい。それで操業を止めることができないのが現状です。
松原 御社が採用した中国人社員らに、不審な素振りはなかったのですか?
渡部 おかしいなと思うことはありましたが、最初は疑うことなどまったくありませんでした。
我が社は中国進出に際して、'03年にAという中国人女性を社員として採用したんです。Aの父は中国の元サッカー選手で国会議員も務めた人物。母親も有名なバレーボール選手で、本人の経歴も申し分なかった。
彼女は一橋大学を卒業しており、当社に入る前は日本の証券会社に勤務していました。働きぶりも頼もしく、雲南省の昆明に工場を立ち上げるときはその人脈を大いに使って大活躍してくれたので、現地法人の取締役副社長にとりたてたほどです。
松原 大抜擢ですね。
■隙あらば騙す
渡部 ところがAは'08年頃におかしな動きを見せたんです。当時、事業の一部を中国企業に売却する話が持ち上がり、Aに中国語の契約書を作らせたのですが、最終契約書が我が社に不利な内容になっていた。
〈売却代金は4回払いで、最初の支払いが終わった時点で事業責任者の名義を変更する〉などと、事前の覚え書きにはまったくなかった文言を潜りこませてあったのです。当然、売却の話は破談にしました。
松原 おそらく相手の中国企業は、1回目の支払いだけ済ませて、名義を変えたあとは、代金を踏み倒すつもりだったのでしょうね。
私は中国企業とビジネス上の契約をするケースを30件ほど見てきましたが、中国企業は事前に合意していない一文を契約書に平然と入れてきます。どういうことかと問い詰めても、「これは私たちの希望です。嫌なら嫌だと言えばいいだけの話じゃないか」と開き直る。
渡部社長はきちんとチェックされたから良かったですが、そういう手口で重要技術や事業をまるごと取られてしまう会社もあります。中国企業との契約書は、サインする直前まで日本語と中国語の両方を綿密にチェックしなければいけません。
渡部 結局、Aは'09年に退社し、事業の一部を売却しようとしていた中国の健康食品原料会社の日本法人を立ち上げ、社長に就いています。いま振り返ると、彼女がすべての首謀者だったのではと疑念を抱いています。
というのも、昆明の工場の操業を始めるにあたり、Aの紹介でBという男性を採用したんですが、このBが技術を盗み、コピー工場を建てたからです。しかもBの工場で作られたアスタキサンチンは、Aが社長を務める健康食品原料の会社に卸されていました。
松原 Bとはどんな人物だったのですか。
渡部 Bは四川大学の生物科学科を卒業しており、とても熱心な男でした。将来の工場長候補として、我が社の研究開発部部長(日本人)がつきっきりで指導したんです。
わからないことがあるとすぐに質問してくるし、自ら残業もしていたので、その熱意を見込んでいました。Bにはいつも「ここでの研究内容をよそに言うなよ」と言い聞かせていたんですが。
松原 「よそに言うな」と言ったのはまずかったかもしれませんね。それだけ価値のある、カネになる技術だということをBに教えてしまったということになりますから。
Aにしても、最初からスパイ目的で入社したというより、アスタキサンチンという製品はカネになるから自分たちでやろうと考えたのでしょう。
渡部 そうですね。私も最初から技術を盗むつもりだったとは思いたくないです。
■「何が悪いの?」
松原 それから、中国人に「(仕事を)任せる」と言うのも禁句です。
私がある仕事を中国人社員に頼んだら、当初の思惑と違う形で進んでいた。それを指摘して修正させようとすると、「私に任せると言ったではないか」と反論されました。彼らにとって「任せた」は「すべての決定権が自分に移った」という意味になってしまうんです。
渡部 それだけでなく、私も現場の研究開発部部長も、AやBと家族ぐるみの付き合いをしていました。その部長は月に一度はBの自宅で食事をするほど仲がよかった。私も自宅に呼ばれてご馳走していただいたり、Aの家族が日本に来たときは食事に招待したりしましたから。それで親類縁者より深い付き合いになったと錯覚していたんです。
松原 接待や家族ぐるみの付き合いでもてなして、心を開かせるというのは相手の戦略だったのかもしれないですね。
渡部 しかしAもBも、大学で高等教育を受けてきた人間です。それがカネになるからといって、平気で技術を盗むというのは……甘いかもしれませんが、日本人の感覚では考えられないですね。
松原 「真似して何が悪いの?」というのが中国人の考えなんです。「常識だろう」と言っても、その常識が理解できない。
知的財産権という概念は通用しません。とりあえず盗んでしまって、問題があれば後で話し合いましょうというのが彼らの認識です。
渡部 もしかすると、Bには「自分も開発に関わったのだから発明者だ」という思いもあったのかもしれません。
急に退職したいとBが言い出したときは必死に止めたのですが、「もっと給料のいい、高速道路の資材の貿易会社に転職する」と言うので、快く送り出したんです。でも、その言い訳もすべてウソだったわけですが。
松原 中国人には「ばれなければ自分のもの」という考えがあるんです。
渡部 つくづく今回の件に懲りて、もう我が社では新たな研究開発は中国で行わないことにしました。中国での製造・販売は今後も続けますが、技術の核心部分は中国人社員には触れさせません。
松原 コピー工場で作られるアスタキサンチンの品質はどの程度ですか。
渡部 当社の製品とほぼ同じ品質です。
松原 となると価格の勝負になりますが、日本企業は中国企業に比べてどうしてもコストが高くなってしまうので不利になりますね。
渡部 そうですね。向こうの企業は農民などを非常に安い賃金で雇っていますが、同じようなことを日本企業がやったらすぐ監督官庁に目をつけられる。日本企業は健康保険をはじめ、中国人従業員に手厚い福利厚生を提供しますから、どうしても人件費は高くなります。
松原 どうやって中国製品と競争するのですか。
渡部 アスタキサンチン市場はまだ規模が小さくて狭い業界なので、当社が受けた被害については顧客も知っているんです。それで、おかしな会社ではなく、うちから買おうというお客さんもいます。
それに、コピー工場の社員には、技術を進歩させていく能力はないはずです。うちから盗んだ技術を今後も使い続けるなら、そのうち技術は古いものになる。これからは私たちが開発した新しい技術を用いますので、おのずと差がつくと考えています。
松原 先ほど、中国人社員Aが知り合いのBを紹介したとのお話がありましたが、いかにも中国人らしいですね。彼らは同級生や同郷人といった「身内」を引っ張りこんで、ビジネスを始めたがる傾向があります。
私は「内組織」と「外組織」と言っていますが、実は中国人は内組織においては日本人と同じ倫理観を持っている。仲間を騙してはいけないし、約束は守らなきゃいけない。
しかし外組織、つまりグループの外の人間に対しては、自分たちの利益になるなら騙しても構わないという意識があるんです。
渡部 私は中国に行くまで、どちらかというと性善説の考えを持っていましたから、その考え方はわからなかったですね。
松原 騙すほうが悪いのか、騙されるほうが悪いのか、日中それぞれで聞いてみたことがあるんです。重慶の会社にいた時に総務の社員を集めて聞いたところ、「騙されたほうが悪い」という答えがほとんどだった。この回答が象徴するように、日本人と中国人の考え方は決定的に違う。
中国人ビジネスマンの中には、あからさまに「日本人はこちらの言うことを疑わないから、騙すのは簡単」と言う人もいます。
渡部 私もAに言われたことがありますよ。「社長は騙されやすいから気をつけて」と。まさか、その本人から本当に騙されるとは思いませんでしたが。
■「小日本」のくせに
松原 それから、中国には「小日本」という日本の蔑称がありますが、彼らは自分たちこそが世界の中心であり、日本は中国の属国に過ぎないという意識もどこかにある。
渡部 そうかもしれませんね。中国の五つ星クラスの高級ホテルでも、車寄せに立っていると「おい、小日本人が早くクルマ回せって言ってるぞ」なんて従業員が囁いていることがある。
表面上は愛想よくしていても、本心では日本人を下に見ているのかもしれません。
松原 中国人は、ことのほかメンツを重視します。中国社会では法律が平等に適用されないので、一度世間に対するメンツが傷つくと、回復することは至難の業なんです。
だから、中国人ビジネスマンは自己主張は強いけれど、他人の自分に対する評価を非常に気にします。日本人が絶対にしてはいけないのは、中国人の前で中国人を批判したり、中国人社員を人前で叱ったりしないこと。中国人はメンツを潰されたことは決して忘れないので、遅かれ早かれ、必ず仕返しが待っています。
渡部 そうした考え方も含めて、現地に進出する企業はもっと中国について学ぶ必要があるでしょうね。私もそれなりに勉強したつもりですが、まんまとやられてしまった。
松原 中国で騙された企業というのは多いんですが、みんな体面を考えて黙っているんですよ。でも、渡部社長が包み隠さず体験を明らかにしてくださったのですから、日本の企業はぜひ参考にしてほしいですね。
自社の中国人社員に技術を盗まれ、被害を受けたバイオジェニック社長の渡部政博氏
自動車メーカー、スズキの中国法人・重慶長安鈴木汽車の社長などを務めた松原邦久氏
「週刊現代」2015年3月21日号より
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