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焦点:黒田日銀緩和2年、浮上するQQEの光と影(上) (ロイター)
http://www.asyura2.com/15/hasan94/msg/485.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 3 月 18 日 20:37:15: igsppGRN/E9PQ
 

3月18日、「異次元」の異名をとる日銀の量的・質的金融緩和(QQE)が始まって、間もなく2年が経過する。写真は17日、政策決定会合後の記者会見に臨む日銀の黒田東彦総裁(2015年 ロイター/Yuya Shino)


焦点:黒田日銀緩和2年、浮上するQQEの光と影(上)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0ME08J20150318
2015年 03月 18日 19:53 JST


[東京 18日 ロイター] - 「異次元」の異名をとる量的・質的金融緩和(QQE)が始まって、間もなく2年が経過する。日銀が前例のない大胆な政策に着手したのは、黒田東彦氏が総裁に就任した2013年3月20日。この間、市場心理は劇的に変化し、15年ぶりの株高を演出、最高益企業も続出している。

だが、目標の物価2%は未達だ。ロケットような推進力を目指す黒田日銀はどこへ向かうのか、2年間の足取りから今後の軌道を探った。

<緒戦の大勝利と突風>

「2年でマネタリーベースを2倍にして、物価を2%に引き上げる」という「2年・2倍・2%」のボードを黒田総裁が使って、QQEを発進させたのが13年4月4日。そこから円安が加速し、日経平均は「棒上げ」状態で上昇した。

1週間後の4月11日、元日銀審議委員で安倍晋三首相の経済ブレーンの1人である中原伸之氏は、QQEで大きく価格変動する市場を見据え、爆弾低気圧ならぬ「爆弾高気圧」のニックネームを考案する。マーケットが想定外に変動し、QQEが内外の市場関係者から注目されている様子は、まさに「爆弾」の形容詞がピッタリと当てはまった。

この激変の中核に存在したのは、市場心理の変化だった。黒田総裁と同じ財務官経験者である渡辺博史・国際協力銀行(JBIC)総裁は「センチメントを変えたことは評価されるべき」と称賛する。

だが、1回目の「突風」が海外発で吹いた。13年5月22日、バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長(当時)が「今後数回の会合で債券購入のペースを減速させる決定をすることもあり得る」と述べ、円安と株高のトレンドが乱れた。

翌23日以降、日経平均.N225は一転して下げ基調となり、一時高値からの下げ幅は1000円を超えた。

ある国内金融機関の関係者は「アベノミクスと黒田緩和は、海外からの力に意外ともろいという印象を市場に与えた」と振り返る。

日銀幹部の1人もその直後、「日本経済の基調が弱いため、海外経済に左右されやすいのがわかった」と述べていた。

しかし、米経済と米株が「バーナンキショック」から立ち直り出すと、ジワリと円安が進み出し、株価も底を打って再び上昇トレンドを描き出す。

2013年の1年間でドル/円JPY=EBSは90円から105円へ下落、日経平均は1万0604円から1万6291円へ5割も上昇した。竹中平蔵・慶大教授が「アベノミクスの最初の1年3カ月は大成功」(15年3月3日の講演)と賞するのも、その市場パフォーマンスの高さからだろう。  

円安も誘因となって外国人観光客が急増。東南アジア旅行客のビザ緩和と相まって、2012年に836万人にとどまっていた訪日外国人数が13年には1036万人、14年には1341万人に増加した。「倒産直前の温泉旅館が、中国人観光客の急増で復活した例もある」(政府・与党関係者)と、低迷がちな地方の景気回復に一役買っている。

その間、物価も着々と上昇。13年4月には前年比で0.4%のマイナスだった消費者物価指数(生鮮食品除くコアCPI)が、14年4月に同プラス1.5%(消費増税の影響除く)まで上昇した。

急速な円安進行に加え、労働需給のひっ迫も物価上昇をサポート。実質経済成長率見通しが下振れる一方で、雇用環境は改善を続け、顕在化した供給の天井が、物価動向に重要な需給ギャップの縮小を促す構図を作り出した。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の嶋中雄二・景気循環研究所長は、円安・株高・外国人観光客数増・国内生産回帰の開始により「名目3%成長が実現できる環境ができた」と評価する。

ある日銀幹部が「想定通りというか、正直に言えば想定以上に順調に物価は上がっている」と述べていた。

<うわさされる官邸と日銀の認識ギャップ>

ところが、第2の「突風」が今度は予想以上に強く、そして長く吹き出した。14年4月からの消費増税だ。消費の落ち込みは、政府・日銀の想定を上回り、安倍晋三首相も国会答弁などで、消費に弱さが見える要因の1つに、消費増税の影響を挙げた。

民間でも、積極的な金融緩和を支持する三菱UFJリサーチ&コンサルティング・主任研究員の片岡剛士氏は「消費税の影響が誤算だった」と指摘する。

早稲田大学の若田部昌澄教授は「消費税でアベノミクスは、振りだしに戻ってしまった」と分析する。

日銀はQQE導入後の2013年4月に公表した「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)で、需給ギャップについて13年度から15年度までの「見通し期間後半にかけて、需要超過幅を拡大させていく」と見込んでいた。

だが、こうした需要の低迷や成長の下振れを受け、改善が後ずれした。日銀試算では、14年7─9月期でも小幅マイナスにとどまっており、需給ギャップ改善の遅れが物価の足取りを鈍らせた面もある。

さらに消費税をめぐって、安倍首相と黒田総裁との間に微妙なずれが生じているのではないかとの思惑も、政府・与党内の一部で意識され出していた。

2014年4─6月、7─9月と2四半期連続で国内総生産(GDP)が前期比マイナスとなったことで、官邸は消費増税の影響の大きさに驚く。

消費不振の理由について財務省・日銀が「駆け込み需要の反動」「夏の天候不順」としたことなども含め、安倍首相とその周辺は「本当にそうなのか、と懸念を深めていた」(官邸筋)という。

4月増税の影響が色濃く残る中、黒田総裁が当時、2015年10月に予定されていた10%への消費税再増税の重要性を力説したことも、安倍首相周辺の心証を悪くしたとの声も、政府関係者の一部から挙がっていた。

さらに3つ目の突風が、日銀ロケットの軌道に大きな影響を与え出した。原油価格の下落によるCPI上昇率の鈍化だ。足元の上昇率がどんどんゼロ方向に縮小すれば「2年・2%」という日銀の目標や、目標達成に向けた日銀のやる気を疑われかねない。

日銀のやる気が疑われ出すと「せっかく上がってきたインフレ期待に、水をかけることになりかねない」(日銀幹部)という判断が、電撃的な追加緩和を決断させる。

複数の政府筋は、日銀から直前まで財務省に追加緩和に関する「動き」は伝わらず、財務省にとっても電撃的だったと打ち明ける。

ところが、ここでも首相官邸と日銀との間に、認識ギャップが生じていた可能性がある。政府関係者の一部は「黒田総裁が消費税再引き上げを狙って動いたのではないか」とささやいていた。  

ただ、当時の状況を振り返ると、追加緩和によって「だれがち」だった日経平均に再び上昇モメンタムの「スイッチ」が入り、安倍政権の支持率上昇に貢献したことも事実だ。

ある与党関係者は、追加緩和による株高が、増税延期に反対だった自民党内の声を抑制する効果を持ったと指摘する。政府高官のひとりは、追加緩和が「結果的に解散支援になった」と述べた。

<追加緩和反対者が指摘した副作用>

また、日銀のこの決定過程では、政策委員9人のうち4人が反対に回るという投票結果も生み出した。

そこで論点として浮上したのは、1)国債買い入れの拡大に伴って市場がQQEを財政ファイナンス(財政の穴埋め)と認識する可能性、2)一段の金利低下による金融機関収益への影響と金融面の不均衡が蓄積するリスク、3)円安進行に伴う中小企業経営や家計への悪影響──などだ。

市場関係者の中にも、QQEの副作用に目を向ける声が出始めた。ある国内金融機関の幹部は「金融の現場には、得体のしれないマグマが溜まりつつある」と述べる。

昨年10月31日の追加緩和は、QQEスタート時の「全面的称賛」から、「副作用」を指摘する声を生み出し、図らずも「満2年」を前に、QQEの効果と副作用について、議論を再構築する場を提供したとも言える。

上記の3つの副作用とは別に、QQEの政策効果として当初期待されていた1)金利低下による貸出増、2)円安による輸出増──という波及経路も、見込みと食い違っていたのではないかとの指摘が、市場関係者から出ている。

14年の銀行貸出は前年比2%程度の伸びにとどまり、アベノミクス開始前と比べ、伸び率は1%程度しか拡大していない。

輸出は、14年末から前期比ベースでようやく増加基調に転じている。ただ、12年11月ごろと比べ、円安が5割も進んだのに比べ、輸出の回復ペースは鈍い。

黒田総裁は2月26日の参院財政金融委員会で「原油価格の急落と、消費税引き上げ後の消費低迷と、円安にもかかわらず輸出が伸びなかった点」が想定外であったことを認めた。

「アベノミクスの終焉」の著者として、反アベノミクスの立場を鮮明にしている福井県立大学の服部茂幸教授は「消費の落ち込みは過去と比べて圧倒的に今回の方が大きく、消費増税に全てを押しつけることはできない」「消費は伸び悩んでおり、その意味で金融緩和の効果はない」と述べている。

また、物価が上がらないのは、果たして原油価格の下落だけが原因なのかどうか。一部のエコノミストは、コアコアCPI(除くエネルギー、食料品)の上昇率も鈍化していることを見れば、物価の基調が決して強くないことを物語っているとみている。

デフレ脱却には強力な金融緩和政策の継続が必要としている東京大学大学院経済学研究科・経済学部の渡辺努教授は、日本では、多くの品目の物価上昇率が前年比ゼロ%となっており、2%に多数の品目がある米国とは、インフレ期待のアンカーのされ方が異なると説明。今後も強力な緩和で、企業の価格設定に影響を及ぼす必要があると分析している。

黒田総裁は2月27日の講演の中で、15年も続いたデフレ均衡から脱出するためには「ロケットが強力な地球の引力圏から離れる時のように、大きな推進力が必要になる」「他国の衛星より低い高度1%の軌道までたどり着けば十分というのではない」と力説した。

2年間のQQE実施で得られた「利点」と「副作用」の詳細な点検によって、この先のロケットの軌道が決まることになるだろう。その際に重視されるのは、QQE緒戦の戦いで勝利を飾った原動力である「期待」ではないだろうか。

その期待を維持、強化するため、黒田総裁がどういう手を打ってくるのか、内外の市場関係者の注目は、春の気温上昇とともに高まりそうだ。

*見出しを修正して再送しました。

(竹本能文、伊藤純夫 編集:田巻一彦)


 

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01. 2015年3月18日 21:19:39 : hh1OJvoMvU
焦点:想定超えた大手賃上げ、広がりと持続性に不透明感
2015年 03月 18日 16:56 JST
http://jp.reuters.com/news/pictures/articleslideshow?articleId=JPKBN0ME0NH20150318&channelName=topNews#a=1
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[東京 18日 ロイター] - 製造業を中心にした大手企業の賃金交渉は18日に集中回答日を迎え、多くの企業で昨年実績を上回り、過去最高の賃上げ実績となったところも続出した。ただ、今後明らかになる非製造業や中小・零細企業に波及するかは不透明だ。

さらに、非正規社員の賃上げは人手不足の割には伸びが鈍くなりそうだとの観測もあり、格差は残存する公算が大きい。大手における来年以降の賃上げの持続性に疑問符を付ける声も出ている。

<ベア平均0.7%程度へ、政府期待に呼応>

大企業では、業績が好調な自動車産業が先陣を切る形で、製造業を中心に軒並み昨年実績を上回るベア提示が相次いだ。

複数のエコノミストは、円安のメリットを受けにくい非製造業なども含め、産業全体のベア平均は、昨年の0.4%を上回って0.7%程度になりそうだと分析している。足元で輸出競争力を一段と強めているドイツでは、最大の労組であるIGメタルが3.4%の賃上げを勝ち取っており、それとの比較では見劣りすることは否めないが、日本では当面の物価上昇率がゼロ%の下で、ボーナスや諸手当も含んで1%弱の賃上げが見込まれ、実質賃金が1%程度上がることも期待されている。

ただ、政府が音頭を取って行ってきた政労使会議を中心に、企業に対しかなり強い圧力があったことも、今回の賃上げに影響しているとみられる。

実際、1月ロイター企業調査では、賃上げ実施の背景として「政府からの要請があるため」(化学)、「業績が回復する中、政府・日銀の物価目標を下回る賃上げは実質賃下げと見なされ、許されないと思う」(ゴム)といった本音のコメントがいくつも寄せられた。

こうした官製春闘とも言える流れについて、経済同友会の長谷川閑史・代表幹事は17日の会見で、経済の好循環という目標を達成すれば、政労使会議の継続は望ましくないとの見解を示した。

一方、トヨタ(3116.T: 株価, ニュース, レポート)の上田達郎・常務役員は「政労使、政府との関わり合いだが、もちろん政労使会議での合意事項は会社としても十分認識している」と18日の会見で述べた。さらに「通常であればなかなか難しい金額を、日本経済の好循環、それから会社の競争力向上のために出した」と説明した。

日本総研・調査部長の山田久氏は「今は政府の要請があるし、デフレ脱却に協力するというニュアンスが残っている。仮に政権の力が弱くなった時に、政府の要請自体の力がなくなると賃上げが止まる可能性がある」と指摘する。

山田氏は、景気後退期になっても大きく生産性が下がらない、将来に向けて生産性が上がってくるという確信がないとベアは持続的に実施できないため、政府が成長戦略を前倒しし、より強力に推進していくことが条件となると述べた。

<所得格差10万円、中小賃上げどこまで>

もう1つの視点は、所得の二極化に歯止めがかかるかどうかだ。雇用者の7割を占める小規模企業や非正規雇用への賃上げ波及は、消費の低迷から抜け出し、好循環を確実なものとする鍵となる。このため「今年の春闘での注目は、中小、非正規雇用への波及という一点に尽きる」(シティグループ証券・エコノミスト、飯塚尚己氏)とするコメントが、エコノミストから出ている。

安倍首相は今年2月の施政方針演説で「賃上げの流れを来年の春、再来年の春と続け、景気回復の温かい風を全国津々浦々にまで届けていく」と述べた。

中小企業の間では、人材確保が賃上げの強いインセンティブとなっており、賃上げには追い風となる材料もある。

だが、賃上げの原資となる企業収益面で、今年の中小企業は昨年よりも厳しい状況に直面している。「中小企業は、円安コストの転嫁もできていない状況。2年連続で政府に協力するという状況ではない」(日本商工会議所)という声が出てくるのも、そうした環境が影響しているようだ。

12日に財務省が発表した「法人企業景気予測調査」によると、14年度の経常利益見込みは大企業が増益なのに対し、中堅、中小企業は前年度の増益から一転して減益となった。

もともと、大企業との賃金水準の格差は10万円近くあり、大きな格差が存在している。そのうえ今年の春闘で賃上げ率でも差が出るようだと、大企業とそれ以外の労働者の所得格差は拡大する方向になってしまう。

中小の金属機械産業労組である「ものづくり産業労働組合JAM」では、大企業との差をいくらかでも縮小するため要求額を3%、9000円に設定。経営側と交渉中だ。真中行雄会長は昨年より1000円上積みの2500円程度は確保したいとするが、大企業の上積み回答の流れを生かして増額回答を引き出せるのか、現段階では全く見通せないとしている。

<非正規雇用、労働者の権利保護が急務>

さらに深刻なのは、今や雇用者全体の4割程度まで増えた非正規社員の待遇だ。足元における月額平均賃金は20万円と正規社員平均の6割にすぎない。

今年の春闘で、連合は非正規労働者の賃上げ要求額についても「最低到達水準」を設定し、時給の37円の引き上げを要求した。交渉の本格化は大手の決着後、月末にかけてとなるが、その実現はかなり厳しいとの声が相次いでいる。

UAゼンセンの広報担当者は「時給30円台の要求(連合統一方針)というと、小幅な金額に聞こえるかもしれないが、かなり厳しい交渉だ。非正規雇用の割合が大きい企業もたくさんあり、時給を月給に換算すると、億円単位のコスト増になりかねない」と話す。

ただ、引き上げに応じた企業もいくつかあり「ニトリ(9843.T: 株価, ニュース, レポート)ではパート時給を30円引き上た。外食では、すかいらーくグループのうちの1社で引き上げ、サービスゼネラルユニオンの中の芸人派遣の組合では40円の引き上げで決着した」と述べた。

派遣ユニオンの関根秀一郎・書記長は「格差がどんどん広がっている。正社員はベースアップにより少しずつでも賃金アップしているが、非正規雇用は低賃金のまま放置されている」と指摘。

東京東部労働組合・菅野在執行委員長は「賃金以前に、労働基準以前の問題が多い。有給休暇がないとか、残業代が払われないといった相談が多い」としている。

メリルリンチ日本証券・エコノミストの吉川雅幸氏は「正規と非正規の法的保護の差が残っているために、金額的な格差以上に格差感をもたらしている可能性が高い。労働市場全体を改革する中で、正規と非正規を法律的にどう位置づけていくか、という問題を通じて解決していくべきだ」と語った。

安倍政権にとって、単に大手企業への賃上げを要請するにとどまらず、「同一労働同一賃金」の実現や、平等に法的保護を受けられるような状況を作り出すことも課題になりそうだ。

そうした労働市場改革の推進が、遠回りなようで、今後の消費再増税を吸収できる雇用・所得環境を作ることに結びつくとの声も、専門家から出ている。


(中川泉 梶本哲史 斉藤真理 取材協力:白木真紀 編集:田巻一彦)

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0ME0NH20150318?feedType=RSS&feedName=topNews&utm_source=feedburner&utm_medium=feed&utm_campaign=Feed%3A+reuters%2FJPTopNews+%28News+%2F+JP+%2F+Top+News%29&sp=true


02. 2015年3月19日 00:47:44 : hh1OJvoMvU
インタビュー:物価目標達成、17年より後ずれ=篠原元財務官
2015年 03月 18日 21:52 JST
http://jp.reuters.com/news/pictures/articleslideshow?articleId=JPKBN0ME1BP20150318&channelName=topNews#a=1
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[東京 18日 ロイター] - 篠原尚之・前国際通貨基金(IMF)副専務理事(元財務官)は18日、ロイターのインタビューに応じ、日銀が掲げる物価目標2%の達成時期について、17年以降、当分の間難しいと見通した。

目標達成に固執すれば副作用が大きいとし、現時点で追加緩和の必要はないとの認識を示した。

質的・量的金融緩和(QQE)の政策効果について篠原氏は「一定の成果はあったが、道半ば」と指摘。実質金利低下を通じた設備投資への波及効果が期待ほどではなかったとした。

そのうえで金融政策スタンスについて、2%の物価目標は尊重するが、「期限にこだわる必要はない」と指摘。「2%が遠ざかったから、金融政策で2%にもっていくのは乱暴な議論だ」と述べ、物価目標の2%はあくまでも「中長期的に目指すべき目標で、弾力的に考えた方がよい」と語った。そのうえで、2%の目標達成時期について、「2017年より後ずれする。当分の間難しい」と見通した。

仮に追加緩和を行うとすれば、実体経済が下振れた時だと強調。手法については、買入れ対象資産を拡大し、地方債や社債なども選択肢になり得るとした。

ドル高・円安傾向で推移する為替相場に関しては「マクロ的には、円安は若干のプラス」としながらも、主体によって影響は異なると述べ、注意が必要とした。

年央の米利上げ観測が強まる一方、日本では追加緩和観測も払しょくされていない。篠原氏は、米国の金融引き締めによってドル高に振れた場合、「懸念は、日本(円)ではなく、市場でボラティリティーが高まり、新興国の資金の流れに影響が及ぶこと」と指摘。米利上げ時期については「間違いなくなく秋以降だと思う」との見通しを示した。

米国の通貨政策に関連して、米当局者から円安懸念の声は「あまり聞かない」と述べ、「(日米の)金融政策のポジションの結果で大きな問題にはならない」と語った。

米議会では自動車業界などの声を反映して円安懸念の声が表面化することはあるが、「昔のような通貨戦争にはならない」と強調した。


(吉川裕子 梶本哲史 木原麗花)

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0ME1BP20150318?feedType=RSS&feedName=topNews&utm_source=feedburner&utm_medium=feed&utm_campaign=Feed%3A+reuters%2FJPTopNews+%28News+%2F+JP+%2F+Top+News%29&sp=true


03. 2015年3月19日 20:24:30 : jXbiWWJBCA

インタビュー:物価目標達成、時期に固執すれば副作用=篠原元財務官
2015年 03月 19日 11:23 JST
[東京 19日 ロイター] - 篠原尚之・前国際通貨基金(IMF)副専務理事(元財務官)は18日、ロイターのインタビューに応じ、日銀が掲げる物価目標2%の達成時期について、2017年以降に後ずれし、当分の間難しいと見通した。目標達成時期に固執すれば副作用が大きく、現時点で追加緩和の必要はないとの認識を示した。

<現時点で追加緩和の必要ない>

質的・量的金融緩和(QQE)の政策効果について、篠原氏は「一定の成果はあったが道半ば」と指摘。「資産価格効果を通じて企業収益は好転、消費にも一定の効果があった」とする一方、実質金利低下を通じた設備投資への波及効果が、期待ほどではなかったとした。

そのうえで金融政策スタンスについて、2%の物価目標は尊重するが「期限にこだわる必要はない」と指摘。「2%が遠ざかったから、金融政策で2%にもっていくのは乱暴な議論だ」と述べ、物価目標の2%はあくまでも「中長期的に目指すべき目標で、弾力的に考えた方がよい」と語った。「一定の期限を設けて何でもやるとすれば、副作用の方が大きくなる」とも語り、期待インフレ率は上がってきており「それを追求していくことだ」と述べた。

2%の目標達成時期では「2017年より後ずれし、当分の間難しい」と見通した。

追加緩和を行うとすれば、実体経済が予想以上に下振れた時だと強調。手法については、買い入れ対象資産を拡大し、地方債や社債なども選択肢として考えたほうが良いとした。

日銀は17日の金融政策決定会合で、足元の物価見通しを下方修正した。物価上昇率が前年比マイナスに転じる可能性も認めたが、企業や家計の物価観に影響はなく、原油安の影響がはく落することで、2015年度を中心とする時期に物価目標の2%に達するとの従来方針を維持した。

もっとも、多くのエコノミストは黒田東彦総裁が当初掲げた「2年程度で2%の物価上昇」という目標の実現は難しいと見ている。

篠原氏は、物価目標に関して諸外国でも「中長期の目標」として設定されていることを強調。達成時期に固執して追加緩和に追い込まれる事態を回避するためにも、市場とのコミュニケーションを図りながら、時間軸を修正するよう期待したとみられる。

<円安は若干のプラス、主体によって異なる影響に注意必要>

ドル高/円安傾向で推移する為替相場に関しては、「マクロ的には円安は若干のプラス」としたうえで、輸出企業にはプラスでも消費者にとっては輸入物価上昇で景気回復が実感できないマイナス面があるとし、「主体によって異なる影響に注意が必要だ」と述べた。

<米利上げは秋以降、市場への影響「ボラ拡大と新興国市場」が懸念>

年央の米利上げ観測が強まる一方、日本では追加緩和観測も払しょくされていない。篠原氏は、米国の金融引き締めによってドル高に振れた場合、「懸念は日本(円)ではなく、市場でボラティリティーが高まり、新興国の資金の流れに影響が及ぶこと」と指摘。

米利上げ時期については「間違いなく秋以降だと思う」と見通した。米労働市場が思ったほど良くないとし、利上げベースは「時間をかけてゆっくり」になると見通した。

<「通貨戦争」否定、米当局者から円安懸念「あまり聞かない」>

米国の通貨政策に関連し、米議会では自動車業界などの声を反映して円安懸念の声が表面化することはあるが、「昔のような通貨戦争にはならない」と強調した。

米当局者から円安懸念の声は「あまり聞かない」とも語り、最近の円安傾向は「(日米の)金融政策のポジションの違いの結果で大きな問題にはならない」と語った。

インタビューは18日に行った。

*内容を追加します。

(吉川裕子 梶本哲史 木原麗花 編集:田巻一彦)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0ME1BP20150319


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