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原発廃炉と株式市場(在野のアナリスト)
http://www.asyura2.com/15/hasan94/msg/468.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 3 月 17 日 23:36:08: igsppGRN/E9PQ
 

原発廃炉と株式市場
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52687852.html
2015年03月17日 在野のアナリスト


日本の株式市場が、ふたたび活気を失っています。朝高後、値動きが止まってしまい、日中は売買も低調。今日も売買代金が2.5兆円を切るなど、SQ後の高所恐怖症と、「上げる」と思っている層も朝高で出動機会が減るなど、閑散商状です。すでに米市場離れを起こしているので、これは単なるFOMC待ちではなく、市場参加者の減少を感じさせます。個人投資家が好む銘柄、新興市場がまったくこの上昇についていけてないように、「上げる」層がいない市場の低迷ぶりは、日本市場への魅力が薄れていく、その過程の一つということなのかもしれません。

一つ、川柳を紹介しておきます。『安倍が(嘘を)つき、黒田が(屁理屈を)こねし、バブルもち、すわって食うは、外国人投資家』というものです。途中に『かんぽ、年金が味付けし…』を付け加えると、現状を示すのかもしれません。詠み人知らずですが、結果として天下をとるのではなく、食った後に逃げられる、という意味ではより深刻な状況であり、笑える状況でもありません。

原発が廃炉、と一斉に報じられます。廃炉にしても放射化し、高レベル廃棄物となった圧力容器を処分することもできないため、現地に置かざるを得ません。また低レベル廃棄物をどう処理し、再利用するつもりなのか? それを監視しておかないと、日常生活に低レベル破棄物が入り込んでくる恐れもあります。例えば、山奥にある高圧電線用の鉄塔など、安全性さえ確認できれば、電力会社としては再利用もしやすいので、使用される恐れが拭えません。

しかも気になるのが、電源三法交付金が消える地方都市に、別の財源を政府が検討し始めていることです。原発には寿命があり、補助金はいつまでも受け取れない。原発立地自治体は、それを見据えて将来に亘って収益になるような、そうした事業をつくらなければなりません。しかし豪華な保養施設をつくったり、市庁舎だったり、分相応の贅沢な暮らしを享受してきたことも事実です。それを維持するための補助金なら、日本国民は何のために高い電気料金を払っているのか? 『かつて』原発を立地していた地域を養うために、ずっと補助金を払い続けるなら、日本は今後も増えていくその負担で、自滅の道を歩むことになるのでしょう。

日銀の緩和マネーで、じゃぶじゃぶになった株式市場、補助金で財政規律が緩み、原発が廃炉になった途端、苦境に陥る原発立地自治体は、実は明日の株式市場の姿なのかもしれません。公的マネーが消えたとき、自立できる姿をみつけておかないと、今のバブルは将来の負担になって、日本の株式市場ばかりでなく、日本経済全体を襲う災厄となってしまうのでしょう。

賃上げで来年度の消費が活発…という理屈は、トリクルダウンと同じぐらい、実証性は何も証明されていない話です。原発が、安全を重視するとどんどん高コストとなり、実は他の発電方法よりも効率の悪い発電であることが議論されていますが、それと同じ。日銀の緩和が、高コストの経済政策であるかどうか、あったのかと後に証明されるかどうかは、この株高が実体経済とどう整合するのかを、今からよく見ておく必要があるのでしょう。原発にしろ、日本だけが特殊な状況におかれ、議論がすすまないように、日銀の質的、量的緩和もまた世界からみると、かなり特殊な状況なのに、それの成否については未だに冷静な議論が為されません。この国は、お金があると気持ちが緩み、浮かれて使いまくる、という他人の金を扱う行政や、市場関係者の体質そのものに、問題の根があると云えるのかもしれませんね。


 

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コメント
 
01. ピッコ 2015年3月18日 01:34:40 : ldyqn.PAmBFfI : 5ef0KxTwEM
>日銀の質的、量的緩和もまた世界からみると、かなり特殊な状況なのに、それの成否については未だに冷静な議論が為されません。

この点についてマスコミもホントみんな気持ち悪いくらいダンマリなのよね。 円安で物価が上がった、株が上がった、それだけだものね。 その(円安の)原因の大元である日銀の異次元金融緩和について、何で国民に考えさせようとしないのでしょうね? 何の理由があって黒田日銀には「アンタッチャブル」なのかな? 私たちの未来に関わるスゴイことが、そこで行われているというのに。 「とりあえず大企業がそれで(円安で)儲けているから、異次元金融緩和の悪いところは国民に知られないようにそっとしておきましょ」ということなのかな?


02. 2015年3月18日 04:46:45 : bfiJIUelwU
中央銀行は量的緩和をやりながら、その経済的意味を理解していない。

米国で量的緩和が打ち切られると、すぐにドル不足、流動性不足の世界経済が出現した。米の中央銀行が利上げできるはずもない。量的緩和の意味を理解するのは今だ。ドル高で企業収益は圧迫され、流動性不足で資産価格の下落に歯止めがかけられない。官製バブル崩壊こそ、量的緩和終了後の経済の均衡点だ。

現在、アメリカ市場では株価と米国債の価格が変動しているが。資金の移動がほとんどなく、二つの資産市場の中で価値の比率が完結しているだけだ。このような価値の変化は本質的な経済現象ではない。

本当に意味のある現象は別の市場や領域で資金需要が起こることだ。これが起こると、価値が変動しやすい資産市場に値下がりの連鎖が起こる。バブル崩壊は中央銀行の資産買い取りにより資金需要を満たすマネーのプレゼントがなければ、簡単に起こる。

量的緩和なしの正常な市場を取り戻した後で、別の領域で資金需要が起こること、それがどんなものか想像できるだろうか。できなくても、これがバブル崩壊の主因だ。


03. 2015年3月18日 05:33:04 : jXbiWWJBCA

【第166回】 2015年3月18日 森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト]
安定的な「CPI前年比2%」を実現する焦点―森田京平・バークレイズ証券チーフエコノミスト
「逆スタグフレーション」に向かう日本経済:
景気回復下での物価停滞
景気とCPI(消費者物価指数)の方向感が全く異なる時間帯が、始まろうとしている。昨年10〜12月期ごろから、ようやく輸出が実質ベースで増え始めた。背景として、(1)底堅く推移する米国経済、(2)変動相場制移行(1973年2月)後の最安値に減価した実質実効為替(REER)ベースの日本円、の2点が挙げられる。 
(1)が海外景気の面から、(2)が価格競争力の面から日本の輸出をサポートし始めている。今後は民間企業の設備投資が加わる形で、潜在成長率(年率0.5%程度)を明確に上回る景気回復が続くであろう。 
一方、コアCPI(生鮮食品を除く総合CPI)は昨年7月の前年比+1.4%(消費税除く、以下同)をピークとして、直近1月には同+0.2%まで減速している(図表1参照)。これについてはエネルギー価格の下落が主因とされるが、コアコアCPI(酒類以外の食料およびエネルギーを除く総合CPI)も、昨年2月の前年比+0.7%をピークとして、今年1月は同+0.3%まで鈍化している。 

一般に、物価が上昇する中で経済が停滞することを「スタグフレーション」と呼ぶ。そうであれば、足元で見られる景気回復下での物価停滞は「逆スタグフレーション」と呼ぶことができよう。 
問われるインフレに対する期待形成:
「合理的」か「適応的」か?
日本経済が「逆スタグフレーション」に向かう中、日銀にとっての課題は、企業や家計など経済主体のインフレ期待のあり方を見極めることだ。GDPなど多くの指標を予測しながら「合理的」(rational)に期待形成するのであれば、予想インフレ率の下振れは回避できよう。なぜならば、今後は景気回復が続く可能性が高いからだ。 
一方、現実の物価動向に基づいて「適応的」(adaptive)に期待形成をするのであれば、今後予想インフレ率が下振れるリスクが高まる。なぜならば、コアCPIは6月ないし7月に向けてさらに減速し、前年比マイナスに転じる可能性が高いからだ。 
昨年10月31日のサプライズ緩和は、原油価格が急落する中で行われた。これは、長期のデフレを経験した日本の場合、インフレ予想が「適応的」に形成されやすく、原油価格の下落がデフレマインドの払拭を遅らせるリスクがあるとの見方に基づくものであった。インフレ予想が「合理的」ではなく「適応的」だとすれば、日銀が目指す安定的な「CPI前年比2%」の実現性を見極める上で、今後も現実の物価動向から目が離せない。 
エネルギー価格の低下と言われるが……。
電気代・ガス代は下がっていない
CPIインフレ率の鈍化については、エネルギー価格の低下がしばしば主因として挙げられる。CPIの「エネルギー」に含まれる品目は電気代、ガス代、ガソリン代、灯油代の4つである。 
このうち、原油価格に直接的に反応するガソリンや灯油の値段は確かに大きく下がっている。しかし、電気代やガス代はほとんど下がっていない(図表2参照)。特に、エネルギーの中で最も大きなウェイトを持つ電気代は、第二次石油ショック後の1980年代前半に次ぐ高水準で横這っている。 

エネルギーのCPIへの影響はさらに強まる:
高まるLNGと石炭による発電依存度
2011年3月の東日本大震災以降、日本の発電は原子力依存度を下げる一方、天然ガス(LNG)と石炭への依存度を高めてきた。今やLNGと石炭で日本の総発電量の70%(2012年度でLNGが42%、石炭が28%)を占める(図表3参照)。 

一方、原油による発電は18%に止まる。これは電気代が下がるには、原油だけではなくLNGや石炭の値段も下がる必要があることを意味する。ところが、LNGと石炭の輸入価格は今のところほとんど下がっていない(図表4参照)。 

一般に、日本のLNG輸入契約は(1)原油価格連動(ただし3ヵ月ほどのラグあり)、(2)長期、(3)大型ロットという特徴を持つ。(1)を踏まえると、2月ないしは3月からLNGの輸入価格が本格的に下がり始めてもおかしくない。 
そこから3ヵ月ほど遅れて、5月ないし6月からCPIベースの電気代、ガス代が下がり始めるであろう。その結果、6〜7月ごろには日本のコアCPIはついに前年比マイナス圏に入ると見込まれる。つまり、エネルギーがもう一段CPIの足を引っ張る局面が、むしろこれから始まる。 
強まる賃金上昇圧力:
循環的な失業率はほぼゼロに
経済主体、とりわけ家計の予想インフレ率が高まるには名目賃金の増加も欠かせない。その点、足元で労働力の需給が逼迫してきている点は心強い。たとえば、景気の強弱を原因とする失業率(循環的失業率)は、当社の試算によると0.1%とほぼゼロまで下がっている(図表5参照)。 

こうした中、賃金上昇圧力は強まっている。筆者は2015年の春闘賃上げ率(ベースアップ+定昇)を2.35%と予想しており、これは2014年の2.19%を上回る。問題は、労働力の需給が均衡する際に、賃金がどの程度上がるかだ。別の言い方をすれば、日銀は経済の均衡状態(=需給ギャップがゼロ)において、CPIが年率2%で上がる状況をつくり出そうとしているが、賃金はそれに負けないスピードで上がることができるだろうか。 
フィリップス曲線の切片はまだ低い:
企業の予想インフレ率のさらなる上昇が必要
1990年代初頭以降の循環的失業率と1人当たり名目賃金の伸び率に基づいて「賃金版フィリップス曲線」を描くと、循環的失業率がゼロのとき、つまり労働力の需給が均衡したときの名目賃金の上昇率(=フィリップス曲線の切片)は、ほぼ2%となる(図表6参照)。 

これでは、CPIの2%上昇にぎりぎりついて行けるだけであり、1人当たりの購買力(=実質賃金)は高まらない。つまり、フィリップス曲線はもう一段、上にシフトしなくてはならない。そのためには、企業の予想インフレ率が上がらなくてはならない。 
労働市場における世代・性別交代:
「参加」に加えて「移動」も不可欠
さらに、平均賃金が上昇しにくい背景として、労働市場における世代および性別の交代が挙げられる。 
非製造業で人手不足が強まる中、本来であれば人が余っている業種から労働力がスムーズに移動することが望まれる。ところが、日本では労働力の可動性(mobility)が低く、「移動」ではなく「参加」で労働力が調達される傾向がある。これが労働市場で世代・性別交代を促している。 
それが具体化した姿が、男性の労働参加率の低下と女性の労働参加率の上昇である(図表7参照)。男性の労働参加率の低下は、高齢化に伴う退職の増加、女性の労働参加率の上昇は、人手不足に直面する非製造業への新規参加を主な背景とする。 

日本の賃金構造を踏まえると、退職時の賃金水準は新規参加時の賃金水準を大きく上回るはずだ。その場合、こうした労働力の世代・性別交代の下、平均賃金は上がりにくく、フィリップス曲線(前出図表6参照)にフラット化の圧力がかかる可能性がある。 
やはり「第三の矢」が欠かせない
急いで付け加えるが、筆者は悲観論を唱えているわけではない。今年の春闘は、昨年を上回る結果になると見ている。景気の底堅さを踏まえると、賃金ひいては先行きの消費に弱気になる必要も、ないであろう。 
しかし、「2015年度を中心とした期間にCPIが安定的に2%上昇する」という日銀の描く構図が、賃金の面からはまだ見えないという点に、注意を促したい。企業の予想インフレ率ひいては予想成長率を引き上げると同時に、労働力の可動性を高める「第三の矢」がやはり欠かせない。 

http://diamond.jp/articles/-/68567



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