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竹中平蔵:好循環をつくれるか、デフレ克服こそが設備投資の起爆剤
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150316-00000000-fukkou-bus_all
nikkei BPnet 3月16日(月)7時53分配信
今年に入ってから、株価が興味深い動きをしている。金融緩和による昨年来の株価上昇トレンドに加えて、市場にとって良い条件が出てきた証拠である。
■金融緩和第2弾により株価上昇トレンドへ
現在の株価上昇トレンドは、昨秋から形づくられた。昨年の日本経済はゼロ成長だったが、実は株価は9%上昇していた。9%の株価上昇というのは、米国の上昇率とほぼ同じだ。
これは言うまでもなく日銀の金融緩和第2弾によるものである。金融緩和第2弾を行った10月31日だけで株価は700円も上昇した。年9%上昇の半分はあの日だけで達成したことになる。
さらに今年に入ってから最初の2カ月間だけで、株価は8%上昇した。もちろん、金融緩和第2弾の効果だけでここまで株価が上昇し続けるはずがない。
では、どうして今年に入ってからも、株価は上がり続けているのだろうか。多くのプレーヤーや様々な要因が介在する株価のことなので断定的なことは言えないが、株式市場という観点から見ると、市場に良い条件がいくつか出てきたことが反映されているのだと思う。
■日本版コーポレートガバナンス・コードの「Comply or Explain」
良い条件の一つは、マイナス成長だった昨年に対して、今年はプラス成長になると見込まれていることである。もう一つは、今年は米国経済が好調と予測されていることだ(昨年が2%成長、今年は3%超成長)。米国経済が世界経済を牽引し、日本経済にも良い影響をもたらすと考えられている。
そうした背景に加えて、政府による改革の進展が、とりわけ2月以降の株価上昇をもたらしているように思う。投資家の間では、改革がじわじわと進んでいるとの見方が広がっている。
最もわかりやすいのは「日本版コーポレートガバナンス・コード」だ。東京証券取引所と金融庁による有識者会議で「コーポレートガバナンス・コード原案」が作成され、3月5日に公表された。
その中では、社外取締役の設置が明示され、「Comply or Explain(遵守せよ、さもなくば、説明せよ)」というルールが示されている。つまり、社外取締役設置などのガイドラインを守るか、ガイドラインを守らないのであれば、その理由を説明しなければならない、としているのだ。
こうしたルールが導入されれば、日本企業の多くは社外取締役を設置しない合理的な理由を説明することができないだろう。その結果、大半の企業が社外取締役を設置することになるはずだ。今後は社外取締役の“マーケット”が一気に広がることにもなる。
■株価に関して今年は良い条件がそろっている
広く一般には伝わりにくいが、安倍政権下で実は重要な改革がじわじわと進行している。そうしたことが株式市場ではいち早く評価されて、株価の上昇につながっていると言えよう。
それからもう一つ、株価上昇にとって決定的な出来事があった。それは年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の改革だ。
GPIFをどのように改革するか、ガバナンスをどうするか、ということに関しては政府の中でも意見の対立があると言われていて、一筋縄ではいかない面もある。しかし、ポートフォリオ(株式、債券への分散投資の組み合わせ)については間違いなく変わるので、今年になって株式市場には数兆円規模のお金が入ってくる。
ここまで見てきたように、実体経済がプラス成長に転じ、米国経済が好調であり、じわじわと改革が進み、GPIFのお金が市場に入ってくる、といった点が最近好調の株式市場の背景にあると考えられる。今年は株価に関しては非常に良い条件がそろっていると言える。
このまま株価が堅調に推移していけば、資産効果で消費意欲が高まっていくことも予想される。また、株価が高ければ企業の資金調達も容易になるので、設備投資にもつながっていく可能性がある。株価上昇から消費増、設備投資増への好循環をつくることができるかが最大のポイントになってくる。
■経済には必ず「ヒステレシス効果」が働く
現に、キヤノンは国内生産比率40%を50%に引き上げると表明した。まだ一部の企業だが、生産の相対的なウエートを国内に移すところが出てきている。
ただ、全体としては、2014年10〜12月の設備投資はまだマイナスであり、これをプラスに転じて、さらに持続させていくのは容易なことではない。一度、円高などを理由に海外へ出て行ってしまった生産拠点は、円安になったからといって簡単に国内には戻ってこないからだ。
経済には必ず「ヒステレシス効果(履歴効果)」が働くので、単純に過去の状態にすべて戻すことはできない。ヒステレシスとは、もともとは物理学の言葉で、磁界の中に磁性体を置くと磁石になる(磁化する)が、そこから磁界をゼロにしても磁性体が磁石のままであり続けるような現象を指す。
国内の設備投資が活発になるためには、相当良い条件がそろわなければならない。現状のままでは、ヒステレシス効果もあり、急激な回復は期待できないと思う。
最低限、現在の円安が一時的なものではなく、安定的なものになるとの見通しが広まる必要がある。そういう観点からして、金融政策が依然として重要になってくる。
■デフレ克服こそが設備投資の起爆剤
そのうえで、「デフレが克服される」という最大の条件がそろえば、設備投資を大きく後押しすることになるはずだ。デフレが克服されればキャッシュで持っている資金は目減りするわけだから必ず投資に回すようになる。
やはり、デフレ克服こそが設備投資の起爆剤になるのである。
引き続きデフレ克服を目指すとともに、まずは株式市場にとって良い条件がそろっている現状を、何とか実体経済に取り込んでいきたいところだ。
今年は市場関係者だけでなく、実体経済の動向を注視する多くの国民にとっても非常に重要な一年となるだろう。
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