http://www.asyura2.com/15/hasan94/msg/426.html
Tweet |
脱デフレ、随所に兆し
消費者物価低迷でも…賃金・輸出価格は堅調 需給も先行き改善
日銀総裁に黒田東彦氏が就任してまもなく2年となり、15年越しのデフレ脱却がどこまで進んだか論争が活発だ。経済全体は持ち直しの動きがあるものの、原油安で消費者物価は上昇率が鈍っている。だが、賃金や投資、輸出価格などを含めた様々な物価関連の統計をみると、改善している指標も少なくない。
「基調的な物価上昇率はしっかり高まっていく」。20日に就任から丸2年となる黒田総裁は、2月末の講演でこう強調した。黒田総裁が就任時に掲げたのは物価上昇率を「2年で2%」に高める目標だ。その後、日銀は達成時期を「2015年度前後」と微妙に修正したものの、今春はその検証が必要になる。
日銀が示す「2%」はモノやサービスの値段である消費者物価指数(CPI、生鮮食品除く総合)だ。CPIの上昇率は14年4月に前年同月比1.5%(増税の影響除く)まで高まったが、今年1月は0.2%に鈍化した。ガソリンなどの価格が再び下落したためだ。
日銀が「量的・質的金融緩和」を始めた13年4月以降、物価上昇をけん引したのは、ガソリン、食料品、輸入ハンドバッグなどで、金融緩和での円安の影響が大きい。ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎氏は今年夏にはCPIが再びマイナスに転じると指摘し「円安頼みには限界がある」と語る。
ただ、物価には様々な指標があり、後ろ向きな材料ばかりではない。政府・日銀はデフレ脱却の目安として(1)CPI(2)国内総生産(GDP)デフレーター(3)需給ギャップ(4)単位労働コスト――の4指標を示す。
上向きなのは「単位労働コスト」だ。企業がモノをつくるのにどれだけ人件費がかかるかを計算した指標で、昨年10〜12月期まで3四半期連続のプラスだ。賃金が上昇すると人件費がかさむサービス分野の物価は上向きやすい。今春も企業は賃上げを打ち出す見込みで、民間調査では三大都市圏のアルバイト・パート時給も上昇基調にある。賃金面からデフレ脱却の動きは強まっている。
消費に加え設備投資や輸出入など幅広い価格の動きを示すGDPデフレーターも上昇を続ける。10〜12月は前年同期比2.4%上昇し、増税の影響を除いても1.0%程度上昇した。石油などの輸入価格は下がっているが、輸出する自動車や機械類の価格は下がっておらず、GDPデフレーターを押し上げている。
日本全体の需給の差を示すGDPギャップは14年10〜12月時点でマイナス2.2%と、需要が約11兆円不足している状態だ。第一生命経済研究所の永浜利広氏の試算では、16年10〜12月期には需給ギャップはプラスになり構造的なデフレ圧力も弱まる可能性がある。
脱デフレの進捗度は見方が割れる。「5合目にとどまる」(みずほ総合研究所の高田創氏)との声があり、メリルリンチ日本証券の吉川雅幸氏は「名目成長率は上がっているが、CPIが計画通りには上がっていない」と指摘する。ただ、原油安が一服すればCPIも今年秋以降に再び上昇する可能性があり、永浜氏は「経済が順調なら物価4指標がプラスとなり、16年にはデフレ脱却が見えてくる」と話す。
[日経新聞3月15日朝刊P.3]
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。